「夜勤中の疲れ」の危険さは、例えるなら「酒気帯び運転」のようなもの
夜勤時の疲れが、どれほど危険かをオーストラリアの研究者が調べた研究を紹介しましょう2。彼らは夜勤時の疲れが酒気帯び運転状態とどれだけ似ているかを調べています(図2)2。
図2を見ると、夜勤時刻帯の眠気の状態は、オーストラリアの酒気帯び運転の基準である血中アルコール濃度0.05%以上の非常に危ない状態であることがわかりました。
ちなみに、オーストラリアとわが国の酒気帯び運転の基準は異なっており、わが国では呼気中アルコール濃度で0.15mg/Lです。それを血中濃度に換算しますと0.03%になります。オーストラリアでもわが国でも、夜勤は酒気帯び運転以上の状態なのですから、疲れて当たり前なのです。
したがって、欧米の病院では、夜勤中の抗がん剤の投与やインスリンの投与を行わないことを取り決めていることが多いのです。
わが国では、治療行為を行う際には、複数の看護師によるダブルチェック、トリプルチェックが勧められています。しかしあまり効果は上がりません。それもそのはず。夜勤中は、看護師が何人集まっても、眠たい看護師が集まっているからなのです。
- 1.Folkard S:Do permanent night workers show circadian adjustment? A review based on the endogenous melatonin rhythm.Chronobiol Int 2008;25(2):215-224.
2.Dawson D,Reid K:Fatigue,alcohol and performance impairment.Nature 1997;388(6639):235.
この記事は『エキスパートナース』2019年4月号特集を再構成したものです。
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