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放射線治療③帰室後に行いたいケア【検査・治療の帰室後注意!:最終回】
別部門での検査・治療から帰ったあとに起こる変化は意外と多い!「帰室時の状態」や「異常への対応」をわかりやすく紹介します。放射線治療後に注意したい、放射線宿酔や放射線粘膜炎のケア方法について解説します。 放射線宿酔のケア 放射線宿酔(しゅくすい)は、放射線治療を開始した初日の数時間~数日後に発症し、それ以降は改善します。症状には、倦怠感や悪心・嘔吐、食欲不振、頭痛などがあり、船酔いや二日酔いのような症状ともいえます。上腹部への照射、全脳照射、全身照射は注意が必要です。 治療開始前に、放射線宿酔は必ず起こるものではないこと、症状が出現しても一時的であることを患者に伝え、緊張や不安を取り除くことが必要です。 治療前後で食事の工夫も大切です。上腹部へ照射する場合は、照射前の食事(特に胃に長く停滞する高脂肪食や固形食品)を少なくしたり控えたりすることがあります。放射線宿酔発症時は、3回の食事にこだわらず、食べられるときに、無理のない量を、少しずつ摂取するように指導します。 また、悪心・嘔吐があるときは、グラニセトロンを点滴、あるいは内服することがあります。全身照射では事前に投与することもあります。 放射線宿酔のケアでは、心身の安寧、食事の工夫、必要に応じた薬剤の使用が大切です。 放射線粘膜炎のケア 放射線粘膜炎は、口腔や食道、膀胱、腸管などの粘膜に放射線が照射されることで発症します。症状には、口腔内・咽頭痛、嚥下時痛、頻尿・排尿時痛、下痢などがあります。 口腔へのケアでは、治療前より歯科受診し口腔衛生を改善することや患者へ日ごろのケアの方法を指導することが重要になります。有害事象共通用語規準(CTCAE、表1)1「グレード1」で、紅斑が軽度の場合は、アズノール®含嗽液を使用します。 「グレード2」では、疼痛を伴うため、アズノール®含嗽液に加えキシロカイン®を配合した含嗽液や内服薬の処方とスポンジブラシ・柔らかい歯ブラシの使用、食事形態を変更することが必要です。香辛料や酸味などの刺激が強い食品は避けましょう。また、口腔内が乾燥する場合は、こまめな水分摂取や含嗽、ジェル型の口腔保湿スプレーなどの使用を心がけましょう。 「グレード3」では、高度の疼痛により食事摂取が困難であるため、オピオイドの処方と高カロリー輸液や胃瘻での栄養管理が必要になります。 腸炎(下痢)へのケアでは、肛門周囲の衛生が必要になります。温水洗浄便座の使用をすすめ、水圧は弱く、温度はぬるくすることを説明します。それでも疼痛で使用できないときは、サニーナ®などのケア用品で無理なく拭きとることができます。洗浄は、弱酸性のボディーソープなどで1日1~2回程度、ぬるま湯で洗いましょう。洗いすぎはバリア機能が低下しますので注意します。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 外用薬や整腸薬・止痢薬などの薬剤の処方も必要です。また、消化管の負担を軽減するため、食事にも配慮します。栄養価が高く消化吸収のよい、温かいものをすすめ、脂肪分が多いものや刺激物、食物残渣の多いものなどは避けてもらうのがよいでしょう。 放射線粘膜炎のケアでは、清潔(洗浄)、保湿(湿潤)、刺激の回避に加えて、疼痛緩和、栄養管理が大切です。 表1 有害事象共通用語基準(CTCAE v5.0、抜粋)口腔粘膜炎【Grade1】症状がない,または軽度の症状;治療を要さない【Grade2】経口摂取に支障がない中等度の疼痛または潰瘍;食事の変更を要する【Grade3】高度の疼痛;経口摂取に支障がある【Grade4】生命を脅かす;緊急処置を要する 下痢【Grade1】ベースラインと比べて<4回/日の排便回数増加;ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が軽度に増加【Grade2】ベースラインと比べて4-6回/日の排便回数増加;ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量の中等度増加;身の回り以外の日常生活動作の制限【Grade3】ベースラインと比べて7回以上/日の排便回数増加;入院を要する;ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量の高度増加;身の回りの日常生活動作の制限【Grade4】生命を脅かす;緊急処置を要する 放射線性皮膚炎【Grade1】わずかな紅斑や乾性落屑【Grade2】中等度から高度の紅斑;まだらな湿性落屑.ただしほとんどが皺や襞に限局している;中等度の浮腫【Grade3】皺や襞以外の部位の湿性落屑;軽度の外傷や擦過により出血する【Grade4】生命を脅かす;皮膚全層の壊死や潰瘍;病変部より自然に出血する;皮膚移植を要する肺臓炎【Grade1】症状がない;臨床所見または検査所見のみ;治療を要さない【Grade2】症状がある;内科的治療を要する;身の回り以外の日常生活動作の制限【Grade3】高度の症状;身の回りの日常生活動作の制限;酸素投与を要する【Grade4】生命を脅かす;緊急処置を要する(例:気管切開や気管内挿管)(文献1より引用) 放射線皮膚炎のケア 放射線皮膚炎は通常、放射線治療開始から3~4週以降に発症し、徐々に強くなります。症状には、紅斑、乾燥、脱毛、掻痒感、色素沈着、水疱、びらんなどがあります。 現在は、放射線皮膚炎が悪化しないように、治療初期から保湿剤を使用することがあります。しかし、塗布の方法とタイミングが重要です。軟膏が治療の直前についた状態で照射をすると、ビルドアップ効果*1により、かえって放射線皮膚炎を悪化させてしまうことがあります。 保湿剤の塗布は、放射線照射後・入浴後や就寝前・照射の数時間前の2~3回程度とし、照射直前は無理に軟膏を落とさなくても自然に吸収している程度がよいでしょう。触れてみて軟膏がわかるようであれば、擦らずに洗いましょう。塗るときも、擦らずに押さえるようにします。 また、有害事象共通用語規準(表1)において、「グレード1」では保湿剤としてヒルドイド®ソフト、「グレード2」の乳腺などでは掻痒感の軽減、重症度の軽減のため、ステロイド外用薬の使用が浸透しています2。「グレード2」以上の頭頸部などでは、ワセリン軟膏に加え被覆材による処置が行われます。その他、照射部位に物理的刺激がないように、硬い素材の衣類やカミソリなどの使用を避けることも説明します。 放射線皮膚炎のケアでは、清潔(洗浄)、保湿(湿潤)、刺激の回避が大切です。 *1【ビルドアップ効果】=ドレッシング材や軟膏、クリームなどが照射のときに皮膚の表面に厚く存在することで、本来は深いところで線量が高くなるはずが、皮膚表面の線量が高くなること。 コラム:照射野やマーキングの場所を避けて貼付薬を貼るために オピオイドや湿布などの貼付薬や心電図モニタの電極をどこに貼ればよいか、放射線皮膚炎の症状の緩和のためには軟膏をどこに塗ればよいか、病棟での看護で悩むことはありませんか?その解決策をお伝えします。 放射線治療では、治療の位置合わせのために患者の皮膚にマーキングをしています。しかし、マーキングがある場所に照射しているとは限りません。 放射線が「どこに」「どの方向から」「どれだけ」の量の放射線が照射したかを知る必要があります。 そのためには、カルテから、照射方法・総線量・1回線量・入射方向などの情報を治療計画で確認することが必要です。そうすれば、貼付薬などを貼るときも、照射野やマーキングの場所を避けて貼ることができます(図1)。また、放射線皮膚炎が出現する範囲も理解でき、軟膏をどこに塗ればよいかわかるため、具体的な看護ケアの方法を立案することができます。 しかし、高精度治療を受ける患者の治療計画は複雑であるため、治療計画を見て判断することは難しい場合があります。いずれにしても、わかりにくいときは放射線治療室で働いている看護師だけではなく、医師や診療放射線技師といった多職種へ相談するとよいでしょう。 親切に、そして一緒に患者へのケアを考えてくれると思います。そうすれば、以前より放射線治療が身近になるのではないでしょうか。 図1 マーキングの上に貼ってしまった事例 マーキングが消えてしまうと、照射できなくなる恐れがある 引用文献1.日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG):有害事象共通用語規準v5.0日本語訳JCOG版.http://www.jcog.jp/doctor/tool/ctcaev5/(2024.8.14アクセス)2.大西洋,唐澤久美子,唐澤克之 編著:がん・放射線療法2017.Gakken,東京、2017: 129. 参考文献1.菱川良夫 監修,藤本美生 編:放射線治療を受けるがん患者の看護ケア.日本看護協会出版会,東京,2008:23,126-127,156.2.唐澤久美子,藤本美生 編:がん放射線治療パーフェクトブック.Gakken,東京,2016.3.丹生健一,佐々木良平 編:放射線療法の有害反応.日本看護協会出版会,東京、2011:145-150.4.日本放射線腫瘍学会:ペースメーカーおよび埋め込み型除細動器装着患者に対する放射線治療ガイドライン.http://www.jastro.or.jp/guideline/(2017.10.20アクセス) この記事は『エキスパートナース』2017年12月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。 【第1回】心臓カテーテル検査①検査を受けるとき・帰室後の状態【第20回】放射線治療①放射線治療を受けるとき・帰室時の状態【第21回】放射線治療②帰室後急変・急性合併症
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脳神経疾患による排泄障害のしくみ【麻痺の看護#9】
「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は脳神経疾患による合併症の1つ、排泄障害のしくみについて紹介します。 排泄障害のしくみ 排泄障害も重要な合併症の1つです。排泄の自立は人間の尊厳にかかわるため、QOLの向上に必須です。排泄の自立への働きかけは、看護の大切な役割です。「治す医療」から「支える医療」への変換が図られている今、「排泄自立」へのアプローチはチームで行う必要があります。 こうしたことから平成28年度診療報酬改定で「排尿自立指導料」が新設。これは排尿自立を促すために多職種共同でアプローチをしようというものです。令和2年度の改定では「排尿自立支援加算」が新設され、「排尿自立指導料」は「外来排尿自立指導料」へと変更になりました。 排泄障害は主に、排尿障害と排便障害とに分けられます。排尿障害では膀胱に尿が溜まってくると、尿意として脳に伝えられます。次に「尿ががまんできない」と感じ、排尿をしようとすると、脳の中の橋から排尿の命令が出されます(図1)。これが排尿の一連の過程です。 脳血管疾患により脳が損傷を受けると、このような一連の動作を指令する情報が伝わりにくくなります。そのため、尿意として感じられなくなったり、排尿ができなくなったりします。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図1 排尿のシステム 排便障害のしくみと便秘のリスク 便意なども脳によって管理されています。直腸にまで降りてきた便塊は直腸を刺激します。この刺激は脊髄を上行して脳に伝わり、便意として認識されます。これらの刺激が脳にうまく伝わらないと、便の失禁などが見られたりします。 脳血管疾患においては、便秘との関連はそれほど議論されていません。しかし、便秘を訴える患者さんは多数存在します。高齢者では、排便のために努責をかけると血圧が上昇します。血圧の上昇は排便後も続くと言われています。 高血圧は、脳卒中再発のリスクを高めます。そのため、常に便は軟らかく、努責をかけなくても自然な形で排便できるようにするための介入が必要です。 参考文献1.松尾友子:【治療・ケア後に注意! 急変回避の法則】法則1 高血圧患者の排泄時は努責を避ける.ナーシング・トゥデイ 2012;27(3):19.2.赤澤寿美:高齢者における日常生活動作中の血圧変動-とくに入浴と排便の影響について-.自律神経2000;37(3):431-439.3.喜多奈々,中川友恵,井上真由美,他:排便時の努責と血圧変動の関係, 看護研究発表論文集録 金沢大学 2004;36:89-92.4.谷口珠美,武田正之 編著:下部尿路機能障害の治療とケア.メディカ出版,大阪,2017. 【第10回】脳神経疾患による高次脳機能障害の種類(5月14日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2018年3月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。 【第1回】錐体路から麻痺のしくみを理解【第2回】危険な舌の麻痺の見抜き方【第3回】危険な顔面麻痺の見抜き方【第4回】手が握れないときの麻痺の見抜き方【第5回】脳神経疾患による運動障害とは【第6回】脳神経疾患による感覚障害が起こるメカニズム【第7回】脳神経疾患による言語障害【第8回】脳神経疾患による嚥下障害が起こる理由
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冠動脈インターベンション(PCI)後の患者さん[後編]研究結果からみる実践したいケア【第42回】
冠動脈インターベンション(PCI)後の患者さんについての研究結果をもとに、実践したいケアを紹介します。 【第41回】冠動脈インターベンション(PCI)後の患者さん[前編]研究から明らかになったこと 「心臓病であることの意識」をもち、療養行動を継続できるように支援 ケアのポイント●「心臓病であることの意識」がどのようであるかを確認し、 心臓病であることを再認識できるようにかかわる●療養行動の必要性と虚血性心疾患の危険因子に関するデータもあわせて、継続的に療養行動を支援していく●急性期から慢性期にわたり、「心臓病であることの意識」と療養行動を継続して支援する 治療による安心感や症状が消失したことなどが「心臓病であることの意識」を薄れさせる 入院から退院後、外来通院中において継続して「心臓病であることの意識」をもち続けるためには、薄れる要因や薄れていく時期をポイントにした支援を行うことが必要になります。 そして、「心臓病であることの意識」をもち続けることができるような支援を行うことが療養行動の継続につながっていきます。具体的な支援の内容を以下に示します。 1)「心臓病であることの意識」を確認する1-3 「心臓病であることの意識」の薄れは患者により、初回外来通院時、特に2~3か月後の外来通院時に見られていました。そのため、初回・2~3か月・6か月後等の外来通院時ごとに、患者さんとのかかわりを通して、心臓病であることの意識がどのようであるかを確認する必要があります。 ●自覚症状の有無や、退院してからどのように過ごしているのかなどの会話から、患者さんが自分の心臓病に対して現在どのように理解・認識しているのか、心臓病に対する思いなどを確認する 2)心臓病であることを再認識できるように支援を継続的に行う1-3 自覚症状のない患者さんは症状のないぶん、危機を感じとることができません3。しかし、外来通院することや医療者とかかわることで、自分が心臓の病気であることを再認識したり、これまでの経過を振り返ることで自分が心臓病であることを意識する患者さんもいました。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります そのため、入院中から外来通院中を通して、定期的に患者さんと十分な対話をすること、語る場をもつことで、心臓病であることを再認識できるようにかかわることが必要となります。 「心臓病であることの意識」が薄れてしまうような患者さんに対しては、間隔をあけずに支援をすることが大切です。 ●心臓病の経験や心臓病に対する思いを自由に語ってもらうことで、自分の病気に対する意識づけや療養行動に対する動機づけを行う*患者さんが自分自身を振り返り客観視することで、心臓病であることや病気と療養行動との関係性について考える機会となる●理解や認識不足等があれば修正を行ったり、必要時には医師からも説明してもらえるように調整する(専門用語ではなく、患者さんが理解しやすい言葉にする)○「心臓病であることの意識」をもち続けている患者さん→不安等を傾聴し安心できるようにかかわる○「心臓病であることの意識」が薄れてしまう患者さん→間隔をあけずに通院毎にかかわる 3)「心臓病であることの意識」の継続と、療養行動に対する支援を行う1-3 心臓病であることの意識が薄れる要因として、“治療したことや症状の消失による安心感”“完治したという思い”“発作や治療体験からの時間経過”が挙げられました。また、「心臓病であることの意識」が薄れた患者さんは「心臓病であることの意識」が薄れた時期とほぼ同時期において、療養行動が継続できなくなり、虚血性心疾患の危険因子となる疾患に関するデータも悪化する傾向がありました4。 そのため、虚血性心疾患が完治したわけではなく、治療後も危険因子をコントロールし、療養の必要性を理解できるような支援とともに、危険因子となる疾患に関するデータを患者さんと一緒に確認しながら療養行動を継続的に支援していく必要があります。 療養行動の支援については一方的なものではなく、その患者さんの人生観や生活スタイルを踏まえて一緒に考えることが大切です。 ●虚血性心疾患は完治したわけではないため、そのあとの適切な療養行動が必要であることを理解してもらえるようにかかわる●虚血性心疾患の危険因子に関するデータを医療者と患者で一緒に確認し、できたことやがんばったことを認めたり、改善できそうな部分はアドバイスしながら療養行動を支援していく(可能であれば家族にも協力を依頼する)●患者さんの性格、ニーズ、生活スタイルに合わせて下記のように情報提供の仕方を工夫する パンフレット 自己管理手帳 ソーシャルサポートの依頼 要点のみとする 具体例で示す など ●一方的なものではなく、その患者さんの人生観や生活スタイルを踏まえて一緒に考える 4)急性期から慢性期にわたって継続的な支援を行う1-3 心臓病であることの意識を薄れさせる要因である“完治したという思い”には、治療の低侵襲化も関与しているのかもしれません。加えて、在院日数の短縮化に伴い、短期間で内服、運動、食生活等に関する退院指導を受け退院し、退院後は日常生活に戻りつつも、指導内容と自分の生活とを照らし合わせながら療養行動の維持や改善に努めているのが現状です。 入院中の短期間の支援を効果的なものにするためには、治療後は患者さんとともに回復を分かち合い、危機からの回復を実感できるようにかかわることが、患者さんが退院後の療養生活への思いを寄せたり、退院指導を受け入れる準備にもつながるため重要です。 また同時に、急性期から心臓病であることと、療養行動継続の必要性についての意識づけを行うことも重要です。そして、これには集中治療室を含む急性期病棟、慢性期病棟、外来での連携が不可欠です。急性期も慢性期においても心臓病を抱えた患者さんの人生の歩みにかかわり合っているという認識をもち、再狭窄や新規病変がないといった長期的な目標に向けて連携し支援していく必要があります。 ●治療後は回復を実感できるようにかかわり、退院後の療養生活を考えたり、退院指導を受け入れる準備ができるようにする●支援の際には傾聴的な態度、話しやすい雰囲気にする●急性期病棟、慢性期病棟、外来での連携を行う(患者情報と目標や課題の共有) 引用文献1.森摩由美,北山恭子,竹中康子,他:冠動脈インターベンションを繰り返す患者の思い.第40回日本看護学会論文集 成人看護Ⅱ 2009:212-214.2.松本亜矢子,土本千春,竹中康子,他:経皮的冠動脈インターベンション後の心臓病であることの意識の推移 ─ 入院時から6ヵ月後まで─.看護実践学会誌 2015;27(2):44-51.3.南出千鶴,山崎愛子,宝住由香,他:経皮冠動脈形成術後患者のセルフケア行動の実態.2007;第37回日本看護学会論文集 成人看護Ⅰ 2007:140-142.4.松本亜矢子,土本千春,竹中康子,他:経皮的冠動脈インターベンション後の患者の心臓病であることの意識の違いによる療養行動と検査データの比較 ─ 入院時から6カ月後まで─.看護実践学会誌 2016;29(1):54-59. 障害たしかめ体験を行う回復期の片麻痺患者さん[前編]研究から明らかになったこと【看護研究からわかる患者さんのこころの中:第43回】(5月13日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2018年1月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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