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麻痺のあるときの車椅子への移乗・移送【麻痺の看護#13】
「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は麻痺のある患者さんに行う車椅子への移乗・移送について紹介します。 車椅子で行動が広がれば、膿瘡性が引き出せる 麻痺や感覚障害など脳血管障害をも患者さんにとって、車椅子はその後の生活やリハビリに大きな役割を果たします。車椅子のみならず、ベッドから離れて座ることによって、立ち上がりの動作ができ、手を自由に動かすこともできます。そして、景色が広がることによって周囲の環境を認識し、生理的欲求が高まります。 また、交流の幅が広がることによって他者との関係性が変化し、自尊心が維持されます。車椅子に座ること、そして移動手段を得ることによって行動が拡大し、能動性が引き出されるわけです。 私たちはベッドから起き上がり、ベッドの横の椅子に座ろうとしても、それほど苦痛を感じません。それは、意識せずに手や足が自由に動くからです。同様に、高次な脳機能が保持されているため、「椅子に座る」という動作をしっかりと目的をもって行うことができます。 しかし、麻痺や感覚障害、高次脳機能障害があると、それらの行為は途端に難しくなります。私たちにとって簡単に見える動作でも、患者さんにとってはとてつもない“ミッション”なのです。 ベッドからの起き上がり動作のポイント 患者さんは健側の力を利用します。ベッドから起き上がる際には、健側へ寝返りを行い、健側の腕でマットを押し返して起き上がります。 もともと麻痺がある患者さんであれば、慣れた動作かもしれません。しかし、新たに麻痺を生じた患者さんは、この動作に慣れていません。だからと言って、看護師がすべてを介助しては、患者さんのためになりません。どのように起き上がると楽にできるのか? 患者さんとともに考え、一番よい方法を習得してもらうことが退院後の生活につながります。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 起き上がり動作を身につけてもらう具体的な方法は、健側でベッド柵を持ち、寝返りをまず打てるようになること。そして、起き上がることよりも先に、下肢をベッドから下ろすことが大事です。下肢をベッドから下ろすことによって、上体を起こしやすくなります。また紐をくくりつけることや電動ベッドの操作で上半身を起き上がらせることも1つの方法です。 そして、私たち看護師の役割は、セラピストと協働するためにコミュニケーションを密にすることです。一番よい方法を考えることは重要ですが、看護師とセラピストの方法が違っては、患者さんは混乱するだけです。 車椅子に移乗する前のポイント 健側の力を使って起き上がるため、車椅子は健側に用意します。ベッドに座るときには、姿勢に注意します。麻痺や感覚障害があると、後方や前方へ倒れたり、前述したプッシャー症状(【第12回】・図1)があると、自分の姿勢を正中に保持することができません。健側は柵を持ったり、ベッドマットに手を置くなどして、倒れてしまうことによる事故を防がなくてはなりません。座ったときには足底がしっかりと床に着くように、ベッドの高さを調整する必要もあります。 移乗のため、立ち上がる際のポイント 次に立ち上がりです。立ち上がりの際は、「L」の法則を考えます(図1)。 図1 立ち上がりの際のポイント 読者の皆さんも一度体験してください。椅子から立ち上がるとき、下肢が膝より前に出ていては立ち上がることはできません。また、必ず額は前方に倒れていると思います。 立ち上がるときにも患者の力を最大限に引き出さなければなりません。立ち上がる際の身体の構造と生理を一度考え、下肢の位置、額の位置などに注意を払い、立位をとってもらうことが必要です。 ポイントは、患者さんに2mほど前方の床を見るように伝えることです。そうすると額が前方へ動き、より立ちやすくなります。 看護のポイント●車椅子は健側に置き、足底をしっかり床に着けて準備します。●立ち上がるときは 2m 前方の床を見てもらい、「Lの法則」を意識した動きを!●「セラピストとの協働」も大切に。方法が違うと、困るのは患者さんです。 参考文献1.山田静華,藤原正史,大前瑞穂,他:立ち上がり動作が不安定であった脳血管障害片麻痺患者の一症例.関西理学 2008;8:121-127.2.浅井葉子,金子誠喜,大津慶子:椅子からの立ち上がり動作における体幹前傾角度と下肢関節モーメントとの関係.日本保健科学学会誌 2005;8(1):51-58.3.大川弥生,上田敏:脳卒中後片麻痺における全身動作の回復過程に関する研究.リハ医学 1988;25(5):377-381.4,伊藤和寛 畠中泰彦:脳卒中片麻痺者の立ち上がり動作における体幹運動分析.日本理学療法学術大会2009,2010. 【第14回】麻痺のある患者さんの食事介助のポイント(6月11日配信予定) さらに学ぶなら認知症患者の移乗の介助認知症患者の車いすでの姿勢車椅子への移乗のための立ち上がり(軽介助レベルの移乗動作)そのほかの連載記事はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2018年3月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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がん疼痛のある進行肺がん患者さん[後編]研究結果からみる実践したいケア【最終回】
がん疼痛のある進行肺がん患者さんの体験についての研究結果をもとに、実践したいケアを紹介しています。 【第45回】がん疼痛のある進行肺がん患者さん[前編]研究から明らかになったこと 自律した存在として生活を送りたいという患者さんの願いを支えるケアを行う ケアのポイント●前向きな態度に苦悩が隠されていることがあるため、感情表出しやすい機会をつくる●患者さんの行動の背景にある考えを理解し、がんから解放される機会をつくったり、快の欲求を満たすために清潔援助などを行う●患者さんの希望の実現に有用な情報を提供し、現実的に可能なものをともに考える 患者さんの回復意欲を促進し、希望のなかで実現可能なものを考える これまで、がん疼痛のある患者さんに対しては、不安や恐怖心、抑うつなど情動のネガティブな側面が強調されてきました。 しかし、患者さんが自己コントロール力を発揮して悲観的意識を回復への期待感に転じることができたのは、周囲からの心に響くかかわりや、これまでの苦難を乗り越えてきた自分自身への信頼によるものと考えられます。 また、療養への取り組みの背景には、たとえがんは完治できなくともできる限り心身を健やかに保ち、自律した存在として生活を送りたいという願いがあり、死を覚悟のうえで肯定的に生きようとする思いや、仕事がしたい・自宅で過ごしたいという希望が存在しています。 そこで、下記のような心理社会的ケアが必要となります。 ①がん疼痛の体験をありのまま語る機会をつくる ●痛みの体験を言語化できるよう助ける●語りのなかにある患者さんの精神性に敬意を払う●意図的に感情表出を促して、こころのケアの機会を逃さない 研究結果には、痛みの存在にがんの完治できない現実を認識し死を覚悟しつつも、自己コントロール力を発揮して回復意欲を促進し、前に向かって生きようと努力する患者さんの姿が表れており、そこには人間のもつ高い精神性を見てとることができます。このような患者さんの姿を包括的に理解することは、ケアを行ううえで有用であると考えます。 しかし、感情表出に躊躇(ちゅうちょ)する患者さんの場合、前向きな態度に苦悩が隠されていることがあります。例えば、いつも明るく振る舞う患者さんでも、「夜、眠ろうとするとがん細胞が身体中を巡っているように感じられて怖い」と話されることがあります。 そのため、看護師は身体的な痛みのアセスメントに加えて、患者さんががん疼痛の体験をありのまま語ることができる機会を作り、ケアの機会を逃さないことが必要です。 ②回復への期待感を高めて回復意欲を促すケアを行う このブロック以降のコンテンツは非表示になります ●ネガティブな情動の悪循環へ陥らないように、がん疼痛の緩和に早期から取り組む●麻薬性鎮痛薬に対する懸念や誤解を解く教育的介入を行う●麻薬性鎮痛薬の使用が、患者さんにとって緊張を伴うはじめての経験であることに配慮する●麻薬性鎮痛薬の使用を控えようとする行動の背後にある患者さん個々の考えを理解する●自身の方略でがん疼痛を緩和しようと努力する患者さんに対し、その努力を認める●笑い、楽しむことでがんから解放されるひとときを提供する●清潔援助などの快の感覚をもたらすケアを重視する 回復への期待感を高めるには、ネガティブな情動の悪循環に陥る前にがん疼痛を早期に緩和することが必要です。 現在、医療者にとって麻薬性鎮痛薬の処方はめずらしいことではありませんが、患者さんにとっては緊張を伴うはじめての体験です。そこで、鎮痛薬を使おうとしない患者さんに対しては、鎮痛薬に対する誤解や理解不足と判断してしまわずに、自身の方略で痛みを緩和しようとする努力を認め、行動の背景にある考えを理解することが必要です。 また、ときには楽しみ、笑うことでがんから解放される機会を提供することや、清潔援助などの快の感覚をもたらすケアを行うことも回復意欲を促進します。 ③自律的存在として社会で生きることを支えるケアを行う ●心身を健やかに保ちたいという患者さんの希望を共有する●患者さんの希望を支持する態度で接する●患者さんが望む生活の実現に有用な情報を提供する●社会で生きるための具体的方略をともに考え、取り組む 看護師には、患者さんの希望が、がんの状態からは実現不可能だと感じられることがあります。しかし、患者さんはけっして現実から逃れようとしているのではなく、がん進行や死を意識したうえで心身を健やかに保ちたいと願っています。 そのような患者さんが社会で生きることを支えるためには、患者さんの希望に理解を示し、その実現に有用な情報を提供して、取り組むべき方法のなかから現実的に可能なものをともに考えることが必要です。 例えば、「麻薬性鎮痛薬を使用しているあいだは職場復帰できない」とあきらめている患者さんに対しては、通勤手段や仕事内容、同僚の理解を求める方法について話し合い、対応策を見つける手助けをすることが、患者さんに寄り添うケアになります。 この記事は『エキスパートナース』2018年3月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】人工呼吸ケアのよくあるギモン
人工呼吸器装着中の患者さんの毎日のケアで、すぐに直面することの1つが気道ケア。気道管理で知っておきたいポイント、日常ケアで役立つ知識を解説する連載です。 【第1回】気管吸引が必要な理由と合併症の危険性 〈目次〉●気管吸引はどうして必要なの?・気管吸引の合併症●どんなときに気管吸引を行う?・気管の構造●合併症の怖さを知ったうえでケアを・気管吸引で起こる合併症のメカニズム 【第2回】気管吸引のタイミングを判断するには? 〈目次〉●気管吸引のタイミングはどうやって判断するの?①フローボリュームのパターンを見る②フロー曲線を見る・気管吸引のアルゴリズム 【第3回】気管吸引時に吸引カテーテルを挿入する長さは? 〈目次〉●気管吸引時に吸引カテーテルを挿入する長さはどのくらい?●気管分岐部直上とは?●吸引カテーテルを深く挿入しすぎると?①無気肺②出血③肉芽形成 【第4回】気管吸引時の適正な吸引圧は? 〈目次〉●気管吸引時の適正な吸引圧は?●安全域とされる吸引圧は?●高圧吸引の合併症は? 【第5回】気管吸引は何秒までが安全?1回の吸引時間 〈目次〉●1回の気管吸引の時間はどのくらい?●吸引時間が長くなると?・気管吸引と低酸素血症●吸引時間とSpO2との関係は?●吸引時間の適切な配分は? 【第6回】SpO₂が低いときの気管吸引の安全対策は? 〈目次〉●SpO2が低いときの気管吸引はどうすればいいの?●人工呼吸器で高濃度酸素を投与するには?●ジャクソンリースなどによる徒手的酸素投与は危険! 【第7回】閉鎖式気管吸引は開放式より安全?具体的な手順とメリット 〈目次〉●閉鎖式気管吸引のほうが開放式気管吸引より安全なの?●開放式気管吸引と閉鎖式気管吸引の違いは?●閉鎖式気管吸引の具体的な進め方1.準備2.実施の手順●閉鎖式気管吸引のメリットは?・開放式気管吸引と閉鎖式気管吸引の酸素化への影響 【第8回】気管切開患者の吸引方法は?吸引カテーテルを挿入する長さは? 〈目次〉●気管切開患者の吸引方法は? 【第9回】人工呼吸ケアでの吸引後の評価ポイント 〈目次〉●吸引後の評価、何をどう見る? 【第10回】気管チューブのカフの役割とカフ圧調整の重要性 〈目次〉●カフは何のためにあるの?なぜカフ圧調整をするの?●気管チューブのカフの役割とは?●カフの定期的な脱気は?●カフは誤嚥を防止できるの?●カフ圧調整の重要性とは? 【第11回】カフの適正圧と最適な調整方法 〈目次〉●カフの“適正圧”はどのくらい?●カフの適正圧の基準は?●カフ圧調整時に、なぜ30cmH2Oに調整するのか●カフ圧計でカフ圧測定はできない?●自動カフ圧計では、25cmH2O程度に設定する 【第12回】カフ圧調整の頻度と自動カフ圧計による管理 〈目次〉●カフ圧の調整は何時間ごとに行う?・ゴム球を使用した調整方法●自動カフ圧計で常時一定圧に維持する管理が一般的・自動カフ圧コントローラ「Puritan Bennett™ カフ圧マネージャ」・自動カフ圧コントローラ SmartCuff●自動カフ圧計を搭載した人工呼吸器も登場・elisa ベンチレータ 500 【第13回】写真付き:テープによる気管チューブの固定方法 〈目次〉●テープによる気管チューブの固定方法の種類は?●4面固定・方法1 テープ2本で上頬部~上顎、下頬部~下顎に固定する・方法2 切り込みを入れたテープを2本重ねる●3面固定・方法1 気管チューブを支点に「上顎」「下顎」「頬」の3方向でチューブを支持する・方法2 切り込みを入れたテープを重ねる●2面固定・方法1 テープ1本で上頬部~上顎に固定する●1面固定・方法 「口唇の上」1方向でチューブを支持する 【第14回】写真付き:テープによる気管チューブの固定手順 〈目次〉●テープによる気管チューブの固定手順1.準備2.実施の手順 【第15回】バイトブロックの使用基準と気管チューブとの固定方法 〈目次〉●バイトブロックの使用は全例に行うの?●バイトブロックの固定方法は? 【第16回】気管チューブの固定器具はどう選ぶ? 〈目次〉●固定器具を使う場合の、選択のポイントは?●気管チューブ固定用具(例)・トーマスチューブホルダー(レールダル メディカル ジャパン株式会社)・アンカーファスト(アルケア株式会社)・気管内チューブホルダー 万能タイプ(村中医療器株式会社) 【第17回】人工呼吸器装着中の口腔ケアの目的は? 〈目次〉●挿管中のオーラル(口腔)ケアは何のために行うの?●人工呼吸器装着患者の口内環境はどう変化する?●気管挿管患者のオーラルケアはなぜ行う? 【第18回】気管挿管患者への口腔ケアの実施手順とは? 〈目次〉●気管挿管患者のオーラル(口腔)ケアの進め方・実施の手順①患者への説明 ②必要物品の準備 ③口腔の観察 ④体位を整える ⑤カフ圧を30㎝H2O程度へ調節する ⑥汚染物の除去 ⑦ブラッシング ⑧洗浄 ⑨口腔粘膜と舌の清拭 ⑩保湿●キット製品を用いた口腔ケア 【第19回】挿管患者の口腔乾燥が招くリスクとは? 〈目次〉●挿管患者の口腔乾燥がよくないのはなぜ?1.口腔細菌の増殖によるVAPのリスク増加2.粘膜損傷リスク増加3.口腔機能の低下(嚥下障害リスク)●挿管患者の口腔はなぜ乾燥するのか1.唾液分泌の低下2.口腔の自動運動の低下3.上気道のバイパス4.経口摂取の不能5.開口状態●口腔乾燥の予防法は? 【最終回】人工呼吸器装着中の口腔トラブルに注意!正しい対処法とは? 〈目次〉●口腔トラブル時の対応はどうするの?・出血・潰瘍・痛み そのほかの連載はこちら
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