人工呼吸器の一種で、挿管せずマスクで呼吸管理ができるNPPV(非侵襲的陽圧換気)。今回はNPPVで使用するマスクの種類や選択のポイントを解説します。

「NPPV(非侵襲的陽圧換気)のポイント」の連載まとめはこちら

Q. NPPVで使用するマスクの種類と選択のポイントは?

Answer
マスクのタイプとして、「フェイスマスク」「トータルフェイスマスク」「ネーザル
マスク(鼻マスク)」があります。

 マスクには「急性期向け」と「慢性期向け」があります。

急性期向け:口と鼻を覆って、開口したときでも圧をかけて換気できるタイプ(フェイスマスク、トータルフェイスマスク)
慢性期向け:鼻を覆うタイプ。食事や会話および自由な休憩ができる(ネーザルマスク、ピローマスク)

それぞれの特徴を下記に示します。

フェイスマスク(口鼻マスク)

メリット
●口鼻を覆うため、リークが比較的少ない。
●サイズは XS/S/M/L/XLから選択でき、さまざまなタイプのマスクを選択可能。

デメリット
●痰の喀出時にマスクを外す必要がある。
●嘔吐時に誤嚥しやすい。
●会話が聞き取りにくい。

F&P Nivairo™ フルフェイス非侵襲的換気療法 (NIV) 用マスク

F&P Nivairo™ NPPV療法用フルフェイスマスク(画像提供:Fisher & Paykel HEALTHCARE株式会社)
●「窒息防止バルブ付エルボータイプ」「スタンダードエルボータイプ」「呼気ポート/窒息防止バルブ付エルボータイプ」の3種類から選択できる。

トータルフェイスマスク

メリット
●マスクサイズ選択の必要性がないため救急に使用可能。
●リークが少なく、皮膚トラブルが少ない。
●フェイスマスクより視界が開けるため、好まれる患者もいる。

デメリット
●閉塞感が強い、会話が困難、眼球乾燥が起こりやすい、マスクが大きく死腔が大きい。
●嘔吐や誤嚥のリスクがある患者には推奨できない。
●マスクが大きく、のどや前胸部に下部が接触してしまうこともある。

パフォーマックス トータルフェイスマスク

パフォーマックス トータルフェイスマスク(画像提供:株式会社フィリップス・ジャパン)
●S/L/XLの3サイズから選択できる(小児用としてXS/XXSもあり)。
●額の部分にリークを生じる場合は、ヘッドギアを最大限に広げながら装着するとリークを抑えられる。それでもリークが多い場合には額に皮膚保護材や冷却シートを貼るとよい。

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