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小脳失調症状とは?鑑別・観察・対応のポイントを解説
小脳失調症状の基礎知識を紹介。測定障害、変換運動障害、企図振戦といった症状や、危険な小脳失調症状の鑑別方法、観察のポイントなど、看護師が知っておきたい要点をわかりやすく解説します。 観察のポイント小脳失調症状●指鼻指試験、膝踵試験●座位・立位・歩行の観察(つぎ足歩行)●手回内・回外試験●会話の流暢さ↓気づきたいポイント●突然に右手で物をつかもうとすると、大きく揺れてつかみにくそう●麻痺がないはずなのに、ふらつきがある●言葉の抑揚が強くて、いつも怒鳴っているように聞こえる●立ち上がるとき、前後・左右にふらつく 小脳失調の症状・徴候は? 小脳には、体を動かすときにスムーズに・しなやかに動かすはたらきがあります。そのため、小脳が障害されると運動時のぎこちなさなどが出てきます。 小脳失調では、具体的には下記の障害がみられます。運動麻痺はないけれど動きがなんとなくぎこちない、会話が聞き取りにくい、立ち上がり時に前後・左右にふらついたりすることで気づくことがあります。 小脳の障害が軽度の場合に、“なんとなくおかしい……”と気づくことはありますが、ふらつきやめまいから他の疾患に注意が向いてしまうことがあるため、症状をくわしく観察することが大切です。 小脳の症状 ①測定障害 ●コップをつかむときに、目標としているコップまでの距離を適切に調整できない ②運動の分解 ●腕を伸ばすとき、複数の筋肉が複雑に協調してスムーズに動かせず、バラバラになってしまう ③変換運動障害 ●手掌と手背を交互に回内・回外するときに、ぎこちなさが出る ④企図振戦 ●何か物をつかもうとしたときなどに、特に手が振戦する ⑤体感失調(酩酊様歩行) ●立位時など、バランスを保持して立とうとしてもふらつき、酔っ払ったような歩行になる ⑥小脳性構音障害 ●会話の強弱が、単調になったり、過剰になったりする 小脳性の構音障害では、会話の抑揚をつけることが難しく、患者がそのように意図していなくても、ときどき家族や新人看護師から「いつも怒鳴っている」と捉えられてしまうことがあります。家族や周りのスタッフにも、“怒鳴っているわけではない”ことを理解してもらうことが必要です。 小脳失調の事例 ●突然の激しいめまい・嘔吐があった●左側の手足の動きがぎこちなく、しゃべり方がおかしい 事例が起こったのはなぜ? ■「小脳失調」による小脳失調症状 ①指鼻指試験、膝踵試験:左側の動きにぎこちなさがみられる②座位・立位・歩行の観察(つぎ足歩行):体幹が左側に揺れる③手回内・回外試験:左側の動きにぎこちなさがみられる④会話の流暢さ:話し方が途切れ途切れになる●急激に症状が出ていることから、小脳を取り巻く血管の障害(脳梗塞、脳出血)が考えられた●CT画像により小脳出血がわかった。左側の小脳出血のため、同側の“左側”の運動失調につながった こちらもチェック!●頭蓋内圧亢進で注意すべき嘔吐・めまい小脳失調を伴い起こる場合がある嘔吐やめまいについて解説しています。 小脳失調のメカニズムと鑑別のポイント 1)小脳失調のメカニズム 小脳半球(図1-A)は四肢の協調運動に対してはたらくため、障害により測定障害や変換運動障害、構音障害などが起きます。 また小脳虫部(図1-B)は体幹の起き上がりや歩行動作に対してはたらくため、平衡障害や体幹失調に関連します。 小脳(縦断面)とはたらき 2)危険な小脳失調の鑑別 鑑別のポイントとしては、“急激に症状が出現したのか”“徐々に症状が出現したのか”など発症の形式も重要になってきます(表2)1。このとき、症状だけでは判断が難しいため、画像所見などから障害されている部位がどの程度あるのか判断していきます。 表2 運動失調の発症形式と原因 突発発症型何時何分かきっちりと特定できる〈原因〉血管障害性(脳伷塞、脳出血など)→危険 慢性発症型半年以上にわたってゆっくり進行している〈原因〉遺伝性(フリードライヒ運動失調症*など) *【フリードライヒ運動失調症】=心臓と神経系が損傷されることで、歩行障害や感覚麻痺を引き起こす遺伝性疾患。 急性発症型 1週間以内に症状の完成を認めている〈原因〉感染性(髄膜炎、脳炎など)→危険免疫性(神経ベーチェット病、重症筋無力症など)中毒性(アルコールなど)代謝性(低血糖、代謝性疾患、ビタミン不足など) 突発再発症型繰り返し起こり、何時何分かきっちりと特定できる〈原因〉機能性(てんかん、片頭痛など) 亜急性発症型数週~数か月にわたって発症・経過する〈原因〉占拠性(脳腫瘍など)→危険感染性(髄膜炎、脳炎など)→危険免疫性(神経ベーチェット病、重症筋無力症など) 急性再発型繰り返し起こり、1週間以内に症状の完成を認めている〈原因〉脱髄性(多発性硬化症など) (文献1より引用) このブロック以降のコンテンツは非表示になります 運動麻痺などは錐体交叉で対側半身の障害となりますが、小脳半球の障害の場合、病変と同じ側に症状が出現します。つまり、右小脳半球の出血の場合は右側に小脳失調症状が出現します。小脳の中央に位置する小脳虫部が障害された場合は体幹失調が生じます。 注意したいのが、小脳の前方には脳幹が位置しており、脳神経核が存在していることです。つまり小脳に障害が起こると、動きがスムーズにできず、嚥下機能にも影響を及ぼすだけでなく、嚥下に関係する下位脳神経核に障害が起きます。また脳出血のように急激な症状の場合、脳幹にまで影響を及ぼしたりします。 小脳は大脳と小脳との間に小脳テントがあり、後方を頭蓋骨に囲まれています。また、前方には脳幹が位置します。そのため小脳に脳梗塞や脳出血などが起きると脳ヘルニアが生じたり、髄液の通り道である第 4脳室を圧迫し水頭症を起こしたりします。異常を発見したら、早期対応・早期治療が必要です。 小脳失調の観察ポイント 1)小脳症状の観察の方法 測定障害や振戦などで、上下肢それぞれ左右の動きを見るための試験に指鼻指試験、膝踵試験があります。 特に指鼻指試験では、「患者の鼻」と「検者(看護師)の指」との間が近いと振戦などの動きがわかりにくくなるため、検者(看護師)の指の位置は、患者の腕が伸びきる距離にすると評価しやすくなります。 ①指鼻指試験 方法●患者の人差し指を、「患者自身の鼻」と、「検者(看護師)の指先」に交互に触れてもらう評価●検者(看護師)の指は、患者の届く位置で左右、さまざまな場所に動かし評価する●小脳失調があれば、患者の指が振戦し、ぎこちない動きとなる ②膝踵試験 方法●患者の踵を反対側の膝につけ、脛に沿って下降してもらう評価●スムーズに踵を沿わせることができるかどうかで評価する●小脳失調があれば、患者の下肢が脛に沿ってスムーズに動かせず、ぎこちない動きになる ③運動失調(座位・立位・歩行の観察) 座位時、立位時、歩行の様子をみて判断します。小脳失調の際は、特に座位時や立位時に、体幹の動揺や障害側に倒れるなどがあります(下記のつぎ足歩行参照)。 方法●“つぎ足”で一直線をまっすぐに歩けるかチェックする評価●失調によりまっすぐに歩けない ④変換運動障害(手回内・回外試験) 変換運動障害をみるときに、手回内・回外試験を行います。両手の手掌と手背を回内・回外させることで、動きのぎこちなさがないか判断していきます。 方法●回内:腕を水平に保ちながら、手掌を“下に”向けてもらう●回外:腕を水平に保ちながら、手掌を“上に”向けてもらう評価●小脳失調があれば、障害側はぎこちない動きとなる ⑤小脳性構音障害(会話の流暢さ) 会話の流暢さが欠け、抑揚がなく単調になったり、逆に抑揚が強く爆発的になったり、途切れ途切れの会話になります。 2)観察時の注意点 運動障害(運動麻痺)や感覚障害にも言えますが、観察項目だけで、どこにどのような障害があるのか判断するのは困難です。また、嘔吐やめまいが強い場合や意識障害の場合、小脳失調症状を判断するのが難しい場合があります。 画像所見などの検査データを用いながら判断していくことが大切です。 小脳失調の対応ポイント 1)小脳失調の治療 小脳失調の治療は、運動麻痺や感覚障害と同じように、小脳出血などの根本的な原因疾患の治療となります。 特に小脳病変の出血や梗塞の急性期の場合、麻痺を伴わないことから失調症状は見つけられにくく、めまいや嘔気・嘔吐症状に対する援助が必要になってきます。また、麻痺を伴わないことから小脳失調が自覚症状として捉えられにくく、1人で動こうとして転倒するなどがあることから、安全面への配慮が必要です。 2)小脳失調への援助 小脳失調症状の場合、失調症状により物をつかみ損ねたり、体幹失調によるふらつきを起こしたりすることから、転倒・転落のリスクが高くなります。 安全面に十分配慮して、生活環境を整えたり、後方に倒れたときなどに手を差し出すことができるように看護師の立ち位置を工夫したりするなどの配慮が必要です。 小脳失調症状は、リハビリテーションなどの訓練により慣れてくるため、根気強くリハビリテーションを行うための支援を行い、病棟内でもできることが増やせるよう見守る姿勢も大切です。 (第13回) 引用文献1.松本直人:ナースができるベッドサイド・アセスメントと異常への対応 ④運動系─失調.木村哲也 編,脳・神経の異常“とっさの”見かたと対応,エキスパートナース2015;31(3):43. 参考文献1.西澤正豊 監修:脊髄小脳変性症(SCD).医療情報科学研究所 編,病気がみえるvol.7 脳・神経,メディックメディア,東京,2011:292-299.2.田崎義昭,斎藤佳雄:小脳機能の診かた.ベッドサイドの神経の診かた 改訂18版,南山堂,東京,2016.3.窪田惺 監修,塗って覚えて理解する! 脳の神経・血管解剖,メディカ出版, 大阪,2008:113-118.4.馬場元毅:小脳の障害.JJNブックス 絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム第4版,医学書院,東京,2017. この記事を読んだ方におすすめ●【連載まとめ】脳からわかる麻痺の看護●【連載まとめ】脳から起こる症状・徴候の見抜き方●【連載まとめ】キケンを見抜こう 脳の画像●そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2014年10月号特別付録を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
特集記事
看護師のための委員会活動活用術:楽しく進めるためのコツ
看護師にとって負担になりがちな委員会活動を、前向きに楽しむための活用術を解説。自分のメリットにつなげる活用方法や、楽しく進めるためのコツを紹介します。 委員会活動が「大変」だと感じる理由は? 多忙な看護師の業務には、患者さんへのケアに関するもの以外に「委員会」の業務があります。なかには他部門・他職種が参加する委員会もあり、予定を看護師間だけで調整するのに比べて、委員会に参加するためのタイムマネジメントで苦戦することが多々あります。 しかし、診療報酬に関係する施設基準を満たすために設置が必要な委員会もあり、経営的な側面、医療や看護の質の確保をする側面から参加が避けられない場合があります。また、委員会の設置によって専門性をみがいたり、管理者への道が広がったりなど、キャリア形成に活用できる側面もあります。 本特集に際して、『エキスパートナース』編集部が同誌モニターにアンケートを行いました。その回答によると、委員会活動が「大変」だと感じる理由は、圧倒的に「時間・業務の調整が大変」というものでした。上記理由も含めた、委員会活動が「大変」だと感じているモニターからの具体的なコメントを紹介します。 ●委員会の仕事を、休憩時間なども使ってやらないといけない●委員会に入っているからといって、日常業務を軽減はしてもらえない●業務時間内に終わらず、持ち帰り残業になる●委員会活動に協力を得られずストレス●委員会から伝達しているにもかかわらず、スタッフが実行してくれない(記録委員会)●いろいろな職種や経験年数の人が集まるため、人間関係が大変 そこで今回は、「委員会」の存在をポジティブな視点からとらえ、有意義な時間として活用してもらえるようにまとめてみました。 委員会活動に限らず、どのような仕事も「嫌だな~」と思って雑にやってしまうと、それは“雑用”になってしまいます。しかし、その業務によって得られることにスポットを当てると、「楽しい」時間になるかもしれませんね。本特集が、みなさんにとっての委員会活動を楽しいものに変えていく一助となりますと幸いです。 委員会活動のポジティブな活用方法 近年、医療現場は細分化・複雑化してきており、今後はますます医療DX(digital transformation:「デジタルトランスフォーメーション」の略。具体例としてはオンライン予約や問診・診療、または医療や福祉現場の業務の効率化などに用いられる)が進んでいきます。こうした時代においては、他の職種の専門性を把握したり、理解したりすることが大切です。報告や連絡をする機会があったときに同じ患者さんの、同じ状況の情報でも、理学療法士に報告する内容と管理栄養士に報告する内容は、視点を変化させる必要があります。そのような“視点”を理解するためにも、コミュニケーションが重要となります。 そうしたなかで、委員会を組織内での「ちょうどよいコミュニケーションの場」「専門性を高める場」「多職種の友人をつくる場」としてとらえてみてはいかがでしょうか。視野が広がり、日々の看護にすぐに取り入れられるアイデアをゲットすることができます。看護以外から得られた視点という意味では、筆者の以前の勤務先で、患者さん用洗面台の詰まりを修理してくれた担当者が、患者さんの異変に気づき、看護師に報告してくれたことがありました。このように、看護師以外の職種や立場の人と話し合う機会をもつことで、看護師の視点からでは見えていなかったことに気づかせてもらうことができます。 また、委員会にはさまざまな職種や経験年数の職員が集まるため、コミュニケーションの難しさや人間関係の複雑さ、院内ヒエラルキーを感じてしまうこともあります。そのようなときも、自分の偏狭(へんきょう)な価値観やこだわりに気づき、「何をすべき人材」として委員会メンバーにいるのかという自分の役割、つまり、患者さんやその家族に最善の医療や看護を提供することにつながるということを再認識する機会になります。 委員会のメンバーに選ばれたということは、その理由があるはずです。参加によって何かしらの成果を得ることを求められています。例えば、上司があなたを委員会のメンバーに選んだとしましょう。その背景には、「タイムマネジメントができるようになる」「委員会に行く間に他のメンバーに業務の依頼を交渉し、1人で何もかも背負い込まないようになる」などの課題克服への期待があるかもしれません。他にも、管理者・教育者・研究者として期待している可能性もあります。それらの点について、上司との話し合いをしておくことが大切です。 委員会活動を楽しく進める方法 委員会活動をさらに有意義な時間にするために、委員会自体の進行方法に問題はないかを見直しましょう。 「配布された資料を読むだけ」「プレゼンを聴くだけ」「可決するだけ」といった時間の使い方はもったいないです。どの委員会においてもいえることですが、参加者が主体的に意見を述べ、建設的に話し合い、学び合える委員会をめざす必要があります。 私事で恐縮ですが、先日、とある公立中学校の職員会議に出席する機会がありました。そこには、校長先生をはじめとする教職員はもちろんのこと、地域の人や市会議員、生徒会の代表など、まさに多様なメンバーが参加し、混合でグループワークを行いました。とても有意義でした。こんな会議なら何度でも行きたくなります。議長である校長先生はファシリテーターの役割に徹し、メンバーの活発な発言を促していらっしゃいました。 時間は、誰にとっても等しく有限なものです。“むだづかい”にならないよう、注意が必要です。上記職員会議では、課題に対して意見交換を行って、全体の方向性を決定するというプロセスを1時間でやり遂げました。オンラインでできるものはオンラインで行い、メールなどの伝達ツールで事足りるものはそれで情報共有して時間を節約しましょう。 「委員会がマンネリ化している」という声が挙がると、なかには「委員会を見直す委員会が必要」と言い出す組織があるかもしれません。それを防ぐため、例えば自発的に新しい画期的な委員会を提案するとしましょう。そのためには、いずれにしてもまず委員会メンバーに入ることが必要です。 参考文献1.全日本病院協会ホームページ:みんなの医療ガイド 病院の機能と組織.https://www.ajha.or.jp/guide/6.html(2026.3.10アクセス)2.厚生労働省:資料 医療安全に関する体制について.https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1118-8g.pdf(2026.3.10アクセス)3.厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要 【ポストコロナにおける感染症対策】.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001224802.pdf(2026.3.10アクセス)4.日本看護協会ホームページ:認定看護師.https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html(2026.3.10アクセス)5.尾原和啓:モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書.幻冬舎,東京,2017. この記事を読んだ方におすすめ●「勉強会担当になった!」そんな看護師におすすめの実践的な本●看護リフレクションや現場でのフィードバック方法が学べる本●そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2024年8月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
特集記事
脳出血の画像の見方とケアでの活用ポイント
脳出血を画像で理解するための基本を解説。被殻出血、視床出血、皮質下出血、脳幹出血、小脳出血の画像の見方や、画像を見てケアで予測すべきことなどを紹介します。 目次●脳出血とは?●脳出血の画像診断の第一選択は?●脳出血の画像の見方1)被殻出血の画像の見方2)視床出血の画像の見方3)皮質下出血の画像の見方4)脳幹出血の画像の見方5)小脳出血の画像の見方●脳出血の画像を見てケアで予測すべきことは?1)脳ヘルニアの状態を確認しておく2)脳浮腫の状態を確認しておく3)皮質下出血ではけいれんに注意4)脳出血のたどる経時的変化を想定しておく●脳出血の治療の進み方は?1)外科的治療、保存的治療2)脳出血の管理3)脳出血のケア 脳出血とは? ●脳出血とは、脳実質内に起こる出血をいいます。●脳出血のうち高血圧が原因で起こる高血圧性脳出血が全体の80%以上を占めます。●種類は出血する部位によって、被殻出血、視床出血、脳幹出血、小脳出血、尾状核出血、皮質下出血、その他の出血に分けられます。発生頻度を図11に示します。●原因として、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病と思われがちですが、それ以外に血管奇形や脳腫瘍などが原因のことがあります。 図1 脳出血の部位別頻度 (文献1より引用、一部改変) 脳出血の画像診断の第一選択は? 脳出血の画像診断は、迅速に判別しやすいため、CTが第一選択になります。 脳出血はCT画像で脳実質内に白く描写される“高吸収域”の有無で診断されます。MRIでも診断可能ですが、脳出血の程度によっては緊急手術の判断などが求められるため、実施前の確認事項や検査に時間がかかるMRIよりCTが選択されることが多いです。その後、脳出血の種類や程度によって原因検索として、造影CTや脳血管造影などにより脳血管に異常がないかの確認が進められます。 こちらもチェック!●脳出血と髄膜炎の症状・特徴的所見「脳出血」「髄膜炎」の症状やアセスメント方法を解説しています。 脳出血の画像の見方 1)被殻出血の画像の見方 図2は被殻出血の画像です。出血部位が白く見える“高吸収域”が確認できます。 図2 被殻出血(CT) 責任血管は中大脳動脈(MCA)から分岐するレンズ核線条体動脈です。 被殻は運動神経の通り道である内包が近いため(図2)、反対側の運動麻痺が現れます(機能局在は脳画像の読み方入門:図で学ぶ脳の構造を参照)。図2の症例では、左の内包が障害され、右半身の運動麻痺が出現していました。 また視床まで出血が及ぶと感覚障害が出現することがあります。 2)視床出血の画像の見方 図3は視床出血の画像です。 図3 視床出血(CT) 責任血管は後大脳動脈から分岐する視床穿通動脈と視床膝状体動脈です。 視床は感覚神経が通る部分であり、反対側の感覚障害や運動神経が通る内包も近くにあるため、反対側の運動麻痺が出現することがあります。また、視床は意識にもかかわっているため、意識障害や、眼球が内側下方に向く(鼻先凝視)の共同偏視を認めることがあります。 図3の症例では、左の視床と内包が障害され、意識障害、右半身の運動・感覚障害が出現していました。 なお、視床出血は脳室内に出血が及ぶ脳室穿破(せんぱ)が多い脳出血です(図3も側脳室が白くなっており、出血が脳室内に及んでいるのがわかります)。脳室穿破を合併すると、意識障害が重度になってしまうことがあります。急性水頭症になると手術が必要になる場合もあり、予後不良になってしまいます。 3)皮質下出血の画像の見方 図4は皮質下出血の画像です。 図4 皮質下出血(CT) 責任血管は前・中・後大脳動脈から分岐した血管です。皮質とは大脳皮質のことで、大脳の表面の部分をいいます。 皮質下出血は、部位によって症状が異なります。 図4の症例では左の前頭葉の障害により、右上下肢の運動麻痺が出現していました。 なお皮質下出血は、“高血圧性脳出血以外”の脳出血のアミロイドアンギオパチー*1や脳動静脈奇形*2が原因の脳出血が多く見られます。 また皮質下出血では、けいれんの可能性を念頭に置く必要があります(詳細は後述)。 *1【アミロイドアンギオパチー 】=脳表近くの血管にアミロイド蛋白が付着し、血管壁の脆弱化が起こる疾患のこと。沈着が高度になると血管が破綻し、出血が起こる。アミロイドアンギオパチーは高齢者に多く、年齢とともに増加し、比較的短時間に再発を繰り返すことがある。また、アルツハイマー型認知症を合併することもある。MRI(T2強調像など)の検査で鑑別される。 *2【脳動静脈奇形(arteriovenous malformation、AVM)】=通常、動脈と静脈の間には毛細血管があるが、脳動静脈奇形は毛細血管がなく、nidus(ナイダス)と呼ばれる拡張・蛇行した血管の塊が見られる(図5)。脳動静脈奇形は20~40歳の若年成人に多いため、若年成人の脳出血では脳動静脈奇形を疑って、造影CTやMRI、脳血管造影などの検査を進めていく必要がある。 図5 脳動静脈奇形(AVM) こちらもチェック!●出血性脳卒中とは?脳卒中の原因、早期発見のポイントなどを解説しています。 4)脳幹出血の画像の見方 図6-1は脳幹出血の画像です。脳幹は中脳・橋・延髄から構成されますが、脳幹出血で多いのは橋出血です。 図6-1 脳幹出血(CT) 責任血管は脳底動脈から分岐する橋動脈です。 橋は意識や呼吸の調整などの役割があるため、障害されると強い意識障害や呼吸障害を起こし、脳出血のなかで最も予後不良です。 図6-1の症例では出血量が多く、強い意識障害と呼吸障害などが出現していました。 また、橋には左右の運動を司る錐体路が通るため、四肢麻痺の症状が起こったり、嚥下中枢も隣接することから嚥下障害が出ることもあり(図4参照)、救命できたとしても大きな後遺症が残ります。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図6-2 脳幹・小脳の機能局在 5)小脳出血の画像の見方 図7は小脳出血の画像です。 図7 小脳出血(CT) 責任血管は上下小脳動脈です。 小脳出血では、回転性のめまいや反復する嘔吐、出血と同側に運動失調が出現することがあります(図6-2参照)。 図7の症例では左小脳が障害され、左上下肢の失調症状とめまいの症状が出現していました。 なお小脳は、第4脳室(図6-2参照)が近くにあるため脳室穿破を起こしやすく、急性水頭症も起こすことがあります。 脳出血の画像を見てケアで予測すべきことは? 1)脳ヘルニアの状態を確認しておく 脳出血の画像を見る際に注意したいこととして、脳ヘルニアがあります。脳ヘルニアとは、血腫や脳浮腫などにより頭蓋内圧が亢進し、本来の位置から押し出される状態です。 脳ヘルニアになるとさまざまな神経症状や呼吸・循環障害や脳幹の圧迫を起こし、生命の危機的状況になります。画像でよく見られる脳ヘルニアの特徴として、血腫や脳浮腫などにより圧迫され、正中線がずれる正中偏位(図8)があります。 図8 脳ヘルニア(CT) 2)脳浮腫の状態を確認しておく 脳浮腫とは、脳出血が起こると血漿中の水分が間質に流出し、水分で脳が腫れることです。 脳浮腫は、脳出血の発症3~4日で最大となります。そのため、出血量は増えていないにもかかわらず、脳浮腫により周囲の細胞が障害されるため、新たな症状が出現したり、症状が増悪したりします。 さらに脳浮腫が増強していくと頭蓋内圧が上昇し、脳ヘルニアの危険性があるため、治療・管理していく必要があります。CTの画像の特徴として出血周囲に低吸収域を認めます(図9)。 図9 脳浮腫(CT) 3)皮質下出血ではけいれんに注意 脳ヘルニア以外にも注意しなければいけないのがけいれんです。けいれんの原因は、大脳皮質で異常な電気信号が生じることです。そのため脳出血、なかでも特に皮質下出血ではけいれんが起こる可能性を考えておく必要があります。 また、けいれんは急性期だけでなく、回復期・慢性期でも起こる可能性があります。けいれんを発見したときには、“どの部分から始まって”“どのように広がったか”を確認します。全身にけいれんが広がったときには、気道を確保し、呼吸状態を観察し、医師に報告しましょう。 4)脳出血のたどる経時的変化を想定しておく 脳出血は、時間の経過とともに画像も変わっていきます。図10-①のように発症直後は血腫がありCTで白く写っていますが、血腫は徐々に吸収されていき、3か月後のCT(図10-②)では黒く写っていきます。発症直後に血腫が広がっていた部位も血腫が吸収され、障害が改善してくることもあります。 脳出血の慢性期になると血腫は髄液と同じ濃度になるため、低吸収域(=黒く見える)になります。 なお画像上、脳梗塞でも低吸収域になりますが、脳出血の慢性期では不整形に見えるのが特徴です。CT画像の判別で見間違えることもあるため、“今起きている症状”と画像所見からの判断、MRIなどで精査していく必要があります。 図10 脳出血の経過 * 脳出血では、全身状態の管理や症状の観察をすることに目を向けがちです。もちろん大切なことではありますが、看護師として、画像から得た情報をケアに活かすことも大切です。 例えば「脳幹出血」の場合では嚥下障害が出現することがあり、食事を開始する際にはスクリーニングテストなどで嚥下障害の有無を判断する必要があります。また「視床出血」「被殻出血」の場合は、運動麻痺に加えて感覚障害が出現することがあり、移乗や移動の際などに麻痺側をぶつけてしまっても気がつかずに外傷などになることがあるため、麻痺側の管理をしなければなりません。 画像から、治療や今後起こりうる症状を予測し、何を観察しなければいけないかの判断につなげていく必要があります。 脳出血の治療の進み方は? 1)外科的治療、保存的治療 脳出血の治療として、「外科的治療」「保存的治療」が行われます。 外科的治療の適応は『脳卒中治療ガイドライン2021』で推奨されており、血腫量や大きさなどによって決まります(表1)2。 表1 外科的療法の適応 被殻出血 :血腫量が31mL以上かつ血腫による圧迫所見が高度の場合視床出血:手術適応なし皮質下出血:脳表より深さ1cm以下の場合脳幹出血:手術適応なし小脳出血:血腫径が3cm以上で、神経学的徴候が増悪している場合、出血が脳幹を圧迫し水頭症を併発している場合 (文献2より引用、一部改変) 外科的治療は開頭して血腫を除去する「開頭血腫除去術」と、内視鏡を使用する「内視鏡下血腫除去術」があります。急性水頭症に対しては、「脳室ドレナージ術」が行われます。 保存的治療は、再出血を予防するために止血薬(アドナ®、トランサミン®など)を使用します。また、頭蓋内圧亢進を防ぐために浸透圧利尿薬(グリセオール®、マンニットールなど)を使用します(保存的療法で使われる止血薬や抗浮腫薬は、外科的治療の適応のある患者さんにも使われます)。 2)脳出血の管理 脳出血の管理のポイントとして、再出血を予防することが重要です。 再出血は発症直後から 24時間以内(特に数時間以内)に多いとされます。高血圧が持続すると再出血を起こし、症状の悪化 ・ 生命の危機になることがあるため、血圧の管理が大切です。 発症直後は血圧が200mmHg以上に上昇することがあります。『脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]』では“で きるだけ早期に収縮期血圧140mmHg未満へ降圧させることが示されています。降圧薬や、必要に応じて鎮静薬も使用します。 さらに抗凝固薬や抗血小板薬を内服している患者さんは、特に血腫が増大するリスクが高いため、入院時に内服や既往歴について十分に確認する必要があります。 3)脳出血のケア 観察のポイントとして、バイタルサイン・意識レベル・神経症状・瞳孔所見(図11)3が重要です。 脳出血は、運動麻痺や感覚障害だけでなく、障害される部位によって記憶力や注意力が低下する後遺症が残ることがあります。後遺症が残ると患者さんのADLの低下はもちろん、介護をする家族への負担も大きくなります。後遺症を最小限にするため、早期リハビリテーションが大切です。 図11 瞳孔所見 (文献3をもとに作成) 脳出血では、発症24時間後のCTで「血腫の増大」と「水頭症」がなければ、離床することが勧められています。リハビリテーションスタッフだけに任せるのではなく、看護師も食事や排泄、整容などの生活場面で、離床を意識してかかわっていきましょう。また、麻痺だけでなく障害された部位の症状にも注意して離床を行います。多職種と情報共有を図り、チームで進めていきましょう。 (第5回) 引用文献1.国循脳卒中データバンク2021編集委員会 編:脳出血部位、血腫量と転帰.脳卒中データバンク2021,中山書店,東京,2021:102.2.日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会 編:高血圧性脳出血の手術適応 開頭手術、神経内視鏡手術.脳卒中治療ガイドライン2021.協和企画,東京,2021:129-133.3.服部悦子,井口秀人,波多野武人:脳出血のケアのポイント.波多野武人 編著,まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた,照林社,東京,2016:64. この記事を読んだ方におすすめ●画像検査の情報を看護に活かすための見方と注目ポイント●X線画像やエコー画像の原理などを解説!観察とケアがつながる画像●「キケンを見抜こう 脳の画像」の記事一覧●そのほかの連載記事はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2017年2月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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