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終末期の定義は?緩和ケアの対象となる非がん疾患の特徴は?
余命告知や病状の説明など、繊細で難しい場面が続く終末期のケア。終末期の定義を確認し、近年の主な死因や、緩和ケアの対象となる非がん疾患の特徴を解説します。 非がん疾患患者の終末期における看護師の役割とは? 2020年3月より日本でも猛威を振るった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、人々の生活様式を一変させました。また私たち医療・介護従事者も、感染対策の基本として「人との接触をできる限り避ける」という方法をとり、病院や施設では、面会制限や面会禁止など、さまざまな制限が設けられてきました。2023年現在(執筆当時)でも、医療の世界は完全に元通りになったわけではありません。 病院や施設のなかであたりまえのようにできていた家族とのかかわり、家族看護ができなくなり、新型コロナウイルス感染拡大のなかで看護師として働きはじめた皆さんは、その状況があたりまえとなっていると思います。また、少ない人員のなかで人との接触を最小限にしてきたこの数年間は、先輩の看護を見たり、自分の悩みを共有して知恵を出し合ったりする支援者どうしのつながりも絶たれてしまいました。 しかし、この記事を読んでいる皆さんは、あらためて、患者さんや家族を支援するために何が大切かを見つけ出そうとされているのではないでしょうか。 そこで今回は、新型コロナウイルス感染拡大を経て求められる、非がん疾患患者の終末期における看護師の役割について考えていきたいと思います。看護師だからできることが、きっと見つかるはずです。 緩和ケアの対象は? 世界保健機関(WHO)が2002年に発表した緩和ケアの定義において、緩和ケアの対象は、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族」1と明記されており、生命を脅かす疾患をもつすべての人々は、緩和ケアを受ける権利があるとされています。 またWHOでは、緩和ケアを必要とする主な疾患として、表1を挙げています2。 表1 WHOが挙げる、「緩和ケアを必要とする主な疾患」 ●心血管疾患 ●がん ●慢性閉塞性肺疾患(COPD)●後天性免疫不全症候群(AIDS) ●糖尿病●腎不全 ●肝不全 ●多発性硬化症●パーキンソン病 ●関節リウマチ ● 神経疾患●認知症 ●先天性疾患 ●薬剤耐性結核 (文献2を参考に作成) 終末期の定義とは? ここで、「終末期の定義」について整理したいと思います。 終末期とは、人生の最期の時期を指す言葉です。全日本病院協会の『終末期医療に関するガイドライン~よりよい終末期を迎えるために~』では、終末期を次のように定義しています3。 1.複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること2.患者さんが意識や判断力を失った場合を除き、患者さん・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること3.患者さん・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること このガイドラインの注釈には、「救命救急の場では発症から数日以内の短い期間で終末期と判断されることも多いのですが、癌や難病の末期などでは1~2ヶ月ということもあります。また、重い脳卒中後遺症などでは、数年前からいずれ死が訪れることが予測されることがあるものの、間近な死を予測することが出来るのは生命に関する容態が悪化してからとなります。 したがって終末期を期間で決めることは必ずしも容易ではなく、また適当ではありません」3と記載されています。 近年の主な死因は? 終末期を明確に決めることは難しいですが、終末期に至った際に、どのように対応したらよいかを、疾患別予後予測モデルをもとにあらかじめ本人や家族と医療従事者が対話を通して考えておくことが必要であると思います(図1)4。 図1 疾患別予後予測モデル (文献4より引用) 日本の緩和ケア対象疾患は、がんを中心に広まってきました。そのため、「緩和ケア=がん患者」というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、がんによる死亡者数よりも、それ以外の疾患で亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。 実際に、令和6(2024)年の厚生労働省が発表した人口動態統計を見ると、死亡数は160万5,378人で、そのなかでも悪性新生物〈腫瘍〉の死亡数は38万4,111人(死亡総数に占める割合は23.9%)、前年と同様死因順位の第1位となっています5。しかし、それ以外の非がん疾患の死亡数はがんを含めない人数となるため、圧倒的に多いことがわかると思います(図2)。 余談ですが、死因で2番目に多かったのが「心疾患(高血圧性を除く)」の22万6,388人、3番目は「老衰」で20万6,887人でした5。特に老衰は前年より1万7,000人近く増加しており、社会の高齢化を反映して、死亡率は2005年以降急上昇しています。 図2 令和6(2024)年の主な死因の構成割合 非がん疾患の特徴は? 人口動態や疾病構造が変化するなかで、非がん疾患患者に関するさまざまな苦痛や困難が明らかとなっています。そして、今までがん患者を中心に発展してきた緩和ケアは、非がん疾患患者も含めた、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者さんとその家族を対象として、さらに普及・発展することが求められています。 非がん疾患の特徴として、がんとは異なり、予後予測が難しいところがあります。そのため、緩和ケアが必要な患者さんを見定めることは容易ではありません。しかし、非がん疾患の終末期の症状については、痛み・倦怠感・食欲低下・呼吸困難・不安など、さまざまな身体的・精神的症状を感じていることが明らかになっています(表2)6。 表2 各疾患での症状の合併頻度<sup>※</sup> ※各疾患でサンプル数は異なっている。(文献6を参考に作成) (第1回) 引用文献1.日本緩和医療学会ホームページ:「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定(2002)」定訳.https://www.jspm.ne.jp/information/WHO/index.html(2026.3.19アクセス)2.WHOホームページ:Palliative care.https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/palliative-care(2026.3.19アクセス)3.全日本病院協会:終末期医療に関するガイドライン~よりよい終末期を迎えるために~.https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/161122_1.pdf(2026.3.19アクセス)4.日本終末期ケア協会監修:終末期ケア専門士 公式テキスト 第2版.アステッキ,兵庫,2023:236.5.厚生労働省:令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況 第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/10_h8.pdf(2026.3.19アクセス)6.Moens K,Higginson IJ,Harding R:Are there differences in the prevalence of palliative care-related problems in people living with advanced cancer and eight non-cancerconditions? A systematic review.J Pain Symptom Manage 2014;48(4):660-677. この次に読みたい記事●非がん患者の緩和ケアとは?●そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2023年10月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
特集記事
硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像の見方とケアでの活用ポイント
頭部外傷のうち、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫を画像で理解するための基本を解説。それぞれの鑑別のポイントや、画像を見てケアで予測すべきことなどを紹介します。 見出し●頭部外傷とは●硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像診断●硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像の見方1)急性硬膜外血腫2)急性硬膜下血腫3)慢性硬膜下血腫●硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像を見てケアで予測したいこと1)意識レベル等の変化を確認していく2)脳ヘルニアの状態を確認しておく●硬膜外血腫・硬膜下血腫の治療の進み方・急性硬膜外血腫・急性硬膜下血腫の外科的治療・保存的治療・慢性硬膜下血腫の治療(穿頭血腫洗浄ドレナージ、保存的治療)・急性期の管理・ケア・術前の管理・ケア・術後の管理・ケア・回復期の管理・ケア 頭部外傷とは ●頭部外傷は、“頭部に外力が加わり、皮膚・頭蓋骨・脳に損傷を生じた状態”のことを言います。●頭部外傷の主な原因は交通事故や転倒・転落が多く報告され、近年では高齢化に伴う転倒・転落の事故が増加傾向であると言われています。令和6年度の厚生労働省「人口動態統計」のうち「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率」によれば、不慮の事故は45,689人で第7位となり、そのうち転倒・転落・墜落は11,912人にあたります1。 ●頭部外傷は、損傷部位により種類や重症度が変わってきます。本項では、頭部外傷のなかでも「急性硬膜外血腫」「急性硬膜下血腫」「慢性硬膜下血腫」について、急性期の看護を中心に説明します。 硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像診断 頭部外傷が起こった場合、まず頭部CT検査が行われ、必要に応じて頭部X線検査が実施されます。頭部CT検査では「頭蓋骨の骨折の有無」「頭蓋内出血の有無」「出血の部位」「脳の損傷の有無」を確認でき、頭部X線検査では「頭蓋骨の骨折の有無」を確認できます。特に、頭部CT検査は迅速・正確に脳と骨の評価ができるため、第一選択の検査です。 頭部外傷の場合、外傷を受けた側の脳に損傷を受ける直撃損傷(図1-①)と、外傷を受けた反対側の脳に損傷を受ける対側損傷があります(図1-②)。 図1 直撃損傷と対側損傷 通常、頭部を打撲すると、脳は受傷側へ移動し頭蓋骨に衝突し、同側の脳に損傷を受けます。次いで反対側の頭蓋骨と脳との間に陰圧が生じ、脳は反対側へ引き戻されるため、受傷側と反対側の頭蓋骨に衝突して脳や血管に損傷を受けます。 よって頭部外傷の頭部CT画像を見る際には、受傷部位の対側も注意深く観察する必要があります。 硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像の見かた 1)急性硬膜外血腫 急性硬膜外血腫は、頭部外傷により硬膜にある硬膜動脈が破れて出血し、頭蓋骨と硬膜の間に血腫ができたものです(図2-1)。 頭部CT画像では、外傷を受けた部位を中心とした凸レンズ型の高吸収域が見られるのが特徴です。 図2 急性硬膜外血腫(CT) 出血源は中硬膜動脈が多く、ほかにも椎間静脈の損傷等でも急性硬膜外血腫が生じやすいとされます。 受傷直後は脳震盪により意識障害が出現しやすいでしょう。その後、一時的に意識が回復する意識清明期を経ますが、徐々に血腫が増大し、脳幹が圧迫されるために再び意識障害が生じます。 そのほかにも、血腫増大により頭蓋骨の内側の圧が高まると、脳が圧迫され受傷部位と反対側の片麻痺や、硬膜や脳血管に存在する痛覚が刺激され頭痛が生じます。また、延髄にある嘔吐中枢が圧迫されることで悪心・嘔吐を生じることもあります。 図2の症例では血腫により脳が圧迫され、左上下肢麻痺が出現していました。 2)急性硬膜下血腫 急性硬膜下血腫は、頭部外傷により脳の表面にある動脈が破れて出血し、硬膜とくも膜の間に血腫ができたものです(図3)。 図3 急性硬膜下血腫 頭部CT画像では、脳表を覆うように三日月型の高吸収域が見られるのが特徴です。また、硬膜とくも膜の結合は弱く血腫が拡がりやすいため、血腫が大きいと脳が圧迫され、正中偏位(midline shift〈ミッドラインシフト〉)が見られることがあります。 出血源は脳表動脈が多く、ほかにも架橋静脈の損傷等でも、急性硬膜下血腫が生じやすいとされます。 損傷部位により頭蓋内圧亢進症状(頭痛 ・悪心 ・ 嘔吐)や脳損傷による麻痺や感覚障害などさまざまな症状がみられます。重篤である場合は、脳ヘルニア症状(瞳孔不同、異常肢位、異常呼吸など)が見られます。 また、脳自体が損傷している場合(脳挫傷)も多いため、受傷直後から意識清明期がなく意識障害が重度である場合が多いとされています。 図3の症例では血腫により頭蓋内圧が亢進し、頭痛・嘔吐が出現していました。 3)慢性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫は、通常、数週間前に軽度の頭部外傷を受けたことにより、硬膜とくも膜との間に出血がじわじわとたまり血腫ができたものです(図4)。頭部CT検査では、受傷直後では異常が認められないことが多くあります。 図4 慢性硬膜下血腫(CT) 慢性硬膜下血腫の画像は急性硬膜下血腫と同じように三日月型ですが、ゆっくりと血腫が固まるため、高吸収(白)~低吸収(黒)とさまざまな画像所見がみられます。また、正中偏位、脳室の圧排、脳溝の消失などが特徴的な所見です。 なお、慢性硬膜下血腫の血腫量が少ない場合や境界線がはっきりわからない場合は、頭部MRI検査を実施することにより、境界線をはっきりと確認することができます。 症状は、受傷直後には現れず、数週間経過してから血腫増加による頭蓋内圧亢進症状(頭痛・悪心・嘔吐)、片麻痺、尿失禁、認知障害などさまざまな症状がみられます。高齢者は加齢により脳が萎縮しているため、頭蓋内圧亢進症状は少なく、尿失禁、認知障害、片麻痺(歩行障害)などが起こりやすいとされています。 これらの症状は、認知症症状と間違えられやすいため病院に受診するまでに時間がかかってしまうことがあります。高齢者が数か月単位で認知症様の症状を認めた場合は、数週間前に転倒 ・ 転落歴がないか家族からも情報を得て、認知症、正常圧水頭症、脳梗塞などの疾患との鑑別をすることが重要です。 図4の症例では血腫により脳が圧迫され、尿失禁が出現していました。 以上の3つの病態について、画像上の特徴や症状を表1にまとめます。 表1 鑑別のポイント こちらもチェック!●急性硬膜外血腫を疑って画像を見る際のポイント転倒後意識障害が増悪した場合の画像の見かたについて解説しています。 硬膜外血腫・硬膜下血腫の画像を見てケアで予測したいこと 1)意識レベル等の変化を確認していく 急性硬膜外血腫は、初回のCT検査が受傷後早期に実施されると、“血腫が形成されていない場合”や、“血腫が少量の場合”があります。 『重症頭部外傷治療・管理のガイドライン』2では、受傷跡5時間以内で増大がみられ、神経症状の状態に合わせてCT検査が行われますが、通常、初回CT(図5-①)と受傷6時間後CT(図5-②)が、血腫量の変化を見るうえで重要といわれています2。 図5 血腫の増大の観察 したがって、初回のCT検査で血腫が少量であっても急激に増大する恐れがあるため、注意深く表2を観察する必要があります。 表2 観察のポイント バイタルサイン●血圧上昇●徐脈●呼吸回数・呼吸パターンの異常神経症状●意識レベル低下●瞳孔の大きさ、左右差●対光反射の有無●運動麻痺●頭痛・悪心・嘔吐 2)脳ヘルニアの状態を確認しておく 急性硬膜外血腫や急性硬膜下血腫は、血腫や脳浮腫により脳が圧迫され頭蓋内圧が亢進し、これが進行すると、脳が本来あるべき場所から押し出されてしまい脳ヘルニアを起こします(図6)。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図6 血腫による脳ヘルニア 急性硬膜下血腫の場合は血腫の増大スピードも早いため、初回の頭部CT画像の段階で脳ヘルニア所見が見られることもあります。そのため受傷直後にも、意識障害の程度、瞳孔不同、対光反射消失、異常肢位、呼吸異常などの脳ヘルニア症状がみられないか観察し、早期発見・早期対応することが重要となります。 こちらもチェック!●脳ヘルニアとは?脳ヘルニアで画像を見る際のポイントを解説しています。 硬膜外血腫・硬膜下血腫の治療の進み方 急性硬膜外血腫・急性硬膜下血腫の外科的治療・保存的治療 急性硬膜外血腫と急性硬膜下血腫の治療は、血腫の量と意識障害や神経症状の進行度によって「手術療法」か「保存的療法」を決定します。 手術療法は、全身麻酔下の開頭血腫除去術により血腫を除去し頭蓋内圧を減少させます。また、術後に脳浮腫の進行が予測される場合は、外減圧術により頭蓋骨を外して圧を外に逃がす場合もあります。 保存的療法は、意識障害が軽度で血腫の量が少量の場合に選択されます。その場合は、止血剤の点滴や、頭蓋内圧亢進症状に対して浸透圧利尿薬の点滴治療をして経過観察が行われることもあります。しかし、血腫増大により状態が悪化した場合は手術療法の適応となります。 慢性硬膜下血腫の治療(穿頭血腫洗浄ドレナージ、保存的治療) 慢性硬膜下血腫の手術療法は、基本的に局所麻酔下の「穿頭血腫洗浄ドレナージ術」により血腫を除去・洗浄します。翌日の頭部CT画像を確認し、血腫が除去できていればドレーンは抜去されます。 基本的には手術療法ですが、無症状で血腫の量が少量である場合は止血薬の内服で保存的療法も考慮されます。 急性期の管理・ケア 血腫の増加により入院時の状態と大きく変化する可能性があるため、受傷後数時間は注意深い観察とモニタリングが必要です。入院後は、表2について観察し、異常を早期に発見し早期治療につなげる必要があります。 頭蓋内圧が亢進すると「クッシング現象」と呼ばれる血圧の増大や徐脈がみられます。これは、頭蓋内圧が亢進すると脳の血流が低下し、身体は脳に血流を送ろうとはたらくため、全身の末梢血管抵抗が上昇して血圧が上昇する現象です。また、身体は上昇した血圧を一定に保とうとはたらくため、心拍出量の低下が起こり、徐脈が起こります。そのため、入院後は頭部挙上を30°に保つことで静脈還流をよくして、頭蓋内圧を低下させることが勧められています。 術前の管理・ケア 手術療法の対象となった場合は、入院時の観察とともに手術への準備を早急に実施します。 術前指示の確認、点滴ルート確保、尿道カテーテル留置、更衣、必要となる検査の実施(採血、心電図、胸部X線)、同意書の確認(手術、輸血、麻酔など)、家族対応などが必要となります。家族は急な患者さんの状態変化に動揺している場合が多いため、補足説明や声かけをすることが大切です。 術後の管理・ケア 帰室後は、意識レベル、バイタルサイン、神経症状、頭蓋内圧亢進症状の観察とドレーンの管理を行います。 術後出血や脳ヘルニアが起こると、意識レベルが低下し、瞳孔不同、麻痺が悪化するなどの症状が出現するため、しっかりと観察し、早期発見に努める必要があります。 ドレーンの管理は、刺入部の状態、排液の性状・量、ドレーンの屈曲などがないか観察します。ドレーンは翌日~数日で抜去されることが多いため自己(事故)抜去等をされないようにドレーンを固定するなど工夫し、必要時は抑制帯を使用し事故防止に努めます。 外減圧を受けている場合は、骨欠損部を圧迫しないように観察時はやさしく触り、体位変換時は欠損部が下にならないようにするなど注意が必要です。 創部は、創部の離開の有無、滲出液・出血の有無、皮膚の状態などを観察し、創部感染に留意して必要時ガーゼ保護を行います。 開頭血腫除去術は深部静脈血栓症(DVT)のリスクレベルが「中リスク」となります。採血でDダイマーの値を確認し、弾性ストッキングやフットポンプを用いてDVT予防をします。 回復期の管理・ケア 頭部外傷では、脳損傷の程度により意識障害、運動麻痺、高次脳機能障害などさまざまな症状が生じ、リハビリテーションが長期間にわたることもあります。 医師、リハビリテーションスタッフ、ソーシャルワーカーなど多職種と連携し、患者 ・ 家族が望む生活に戻れるようかかわることが大切です。 (最終回) 引用文献1.厚生労働省:令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/index.html(2025.11.17アクセス)2.頭部外傷治療・管理のガイドライン作成委員会 編:5手術適応と手術方法 5-4急性硬膜外血腫,5-5急性硬膜下血腫.頭部外傷治療・管理のガイドライン 第4版,医学書院,東京,2019:105-112. 参考文献1.太田富雄:12章頭部外傷.太田富雄 総編集,脳神経外科学Ⅲ 改訂12版,金芳堂,京都,2016:1896-1914.2.ベンセラデュライ,ピーターレイリー:PartⅢ 評価と診断 第5章放射線学的評価.横田裕行,荒木尚 監訳,頭部外傷の初期診療,メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2011:70-74.3.森達郎,平山晃康:Chapter4頭部外傷 Unit1頭部外傷.脳神経疾患ビジュアルブック,Gakken,東京,2010:158-165.4.早瀬睦,中山幸代,高嶋美紀,他:頭部外傷.波多野武人 編,まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた,照林社,東京,2016:76-89.5.服部悦子,井口秀人,波多野武人:脳出血のケアのポイント.波多野武人 編,まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた,照林社,東京,2016:64.6.森本雅徳 監修:急性頭蓋内血腫.医療科学研究所 編,病気が見えるvol7脳・神経,メディックメディア,東京,2011:446-445.7.高橋伸明:第2章 疾患別の治療とケア頭部外傷.高橋伸明 著,やさしくわかる脳神経外科,照林社,東京,2011:83-95.8.酒井保次郎 監修,小宮桂治 編:CT画像のしくみ.解剖・病態・画像がつながる! よくわかる脳の障害とケア,南江堂,東京,2013:62. この記事を読んだ方におすすめ●画像検査の情報を看護に活かすための見方と注目ポイント●X線画像やエコー画像の原理などを解説!観察とケアがつながる画像●そのほかの連載記事はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2017年2月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】心電図波形の読み方の要点を解説
代表的な18種類の不整脈の波形が読めるように、波形の読み方の要点をコンパクトにまとめました。知っておきたいポイントがぎゅっと詰まった、全24回の連載です。 【第1回】洞調律の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞調律の特徴は?●洞調律を理解するために重要な刺激伝導系 詳しくはこちら 【第2回】P波とは?QRS波とは?心電図波形の各部の名称 〈目次〉●心電図波形の各部の名称を紹介(P波/QRS波/ST部分/T波/PQ間隔/QRS時間(間隔)/QT時間/PP間隔/RR間隔) 詳しくはこちら 【第3回】サイナス(洞調律)の心電図波形の読み方 〈目次〉●サイナス(洞調律)の特徴は?●心拍数が変化するとサイナス(洞調律)はどうなる?・洞徐脈(sinus bradycardia)・洞頻脈(sinus tachycardia) 詳しくはこちら 【第4回】洞徐脈の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞徐脈の特徴は?●無脈性電気活動(PEA)、房室接合部調律との違いは?・洞徐脈の場合はまず薬剤の影響を確認・房室接合部調律へ移行する可能性も 詳しくはこちら 【第5回】洞頻脈の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞頻脈の特徴は?●心房細動(AF)、発作性上室頻拍との違いは?●洞頻脈の原因とは?・心房細動(AF)に移行している場合もある 詳しくはこちら 【第6回】洞不全症候群(SSS)の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞不全症候群の特徴は?●Rubenstein分類 詳しくはこちら 【第7回】房室接合部調律の心電図波形の読み方 〈目次〉●房室接合部調律の特徴とは?●「P波が出ていない」とはどんな状態? 詳しくはこちら 【第8回】心房期外収縮(PAC)の心電図波形の読み方 〈目次〉●期外収縮と相対不応期の重なりに注意●心房期外収縮の特徴は?・心房期外収縮の二段脈がポイント・多発する場合は循環血漿量不足の疑いあり 詳しくはこちら 【第9回】心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の特徴は?●Lown分類で重症度を判断●心室期外収縮(PVC/VPC)とともに見るべき検査データは? 詳しくはこちら 【第10回】心電図波形の陰性化のメカニズム 〈目次〉●陰性化とは?・P波が陰性になる・QRS波が陰性になる・T波が陰性になる 詳しくはこちら 【第11回】心房細動(AF)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心房細動の特徴は?●心房細動により心拍出量が下がり、血圧が低下・輸液を絞ったことでAFに移行する場合も 詳しくはこちら 【第12回】心房粗動(AFL)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心房粗動(AFL)の特徴は?・心房粗動(AFL)では、ドクターコールと12誘導心電図は必須 詳しくはこちら 【第13回】発作性上室頻拍(PSVT)の心電図波形の読み方 〈目次〉●発作性上室頻拍の特徴とは?・PSVTが出現したらどうする? 詳しくはこちら 【第14回】心室頻拍(VT)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室頻拍の特徴は?・脈が触れなければ即CPR 詳しくはこちら 【第15回】心室細動(VF)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室細動の特徴とは?・心室細動(VF)は実質上の心停止、すぐにドクターコールを 詳しくはこちら 【第16回】房室ブロックの心電図波形の読み方 〈目次〉●房室ブロック(AVB)とは?・Ⅰ度房室ブロック・Ⅱ度房室ブロック・完全房室ブロック 詳しくはこちら 【第17回】Ⅰ度房室ブロック(Ⅰ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●Ⅰ度房室ブロックの特徴とは?・通常は経過観察でOK 詳しくはこちら 【第18回】Ⅱ度房室ブロック(Ⅱ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●ウェンケバッハ型(Wenckebach型)/モビッツⅠ型(MobitzⅠ型)の特徴とは?・基礎疾患がなければ予後は良好●モビッツⅡ型(MobitzⅡ型)の特徴とは?・モビッツⅡ型はペースメーカーの適応 詳しくはこちら 【第19回】完全房室ブロック(Ⅲ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●完全房室ブロック(Ⅲ度房室ブロック)の特徴とは?・循環動態が保たれているかをアセスメント 詳しくはこちら 【第20回】房室解離の心電図波形の読み方 〈目次〉●房室解離の特徴は?●房室解離が起こる原因は? 詳しくはこちら 【第21回】右脚ブロック・左脚ブロックを見るために必要な「電気軸」とは? 〈目次〉●軸偏位とは?●軸偏位の原因となる疾患●12誘導心電図で確認すること 詳しくはこちら 【第22回】右脚ブロック(RBBB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●右脚ブロックの特徴とは?●右脚ブロックとはどんな状態? 詳しくはこちら 【第23回】左脚ブロック(LBBB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●左脚ブロックの特徴とは?●左脚ブロックとはどんな状態? 詳しくはこちら 【最終回】QT延長症候群の心電図波形の読み方 〈目次〉●QT延長症候群の特徴とは?●後天性QT延長症候群の原因とは? 詳しくはこちら そのほかの連載はこちら
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