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看護現場におけるアンプロフェッショナルな行動とは?
看護現場において、患者ケアの質や医療チームの信頼性、看護師自身のキャリアに影響を及ぼしかねない「アンプロフェッショナル」な行動。具体的にどのような行動を指すのか、なぜ問題となるのか、特に新人看護師や中途入職者で注意したいアンプロフェッショナルな行動について詳しく解説します。 目次●アンプロフェッショナルな行動とは?●アンプロ行動を目撃した医療従事者の反応は?●アンプロ行動に対して教育者が消極的な理由●アンプロ行動が報告不足になる理由●指導者がアンプロ行動に対応しないとどうなる?●アンプロ行動への対応が重要な理由 アンプロフェッショナルな行動とは? ①責任感の欠如とみなされる行動 ●業務の引き継ぎが不十分で、患者の重要な情報が共有されない。●自分の業務範囲を正確に理解せず、手順を守らない行動をとる。●ミスを隠したり、自己の責任を回避したりする態度をとる。 ②コミュニケーション不足による問題 ●医療チーム内での情報共有が不十分で、患者ケアに齟齬が生じる。●患者やその家族への説明が曖昧で、不安を招く。●他職種との連携がとれず、他職種の助言を無視する態度をとる。 ③倫理的判断の不足 ●患者のプライバシーを軽視し、不用意に情報を他者に漏らす。●患者の意思決定を軽視し、医療従事者の価値観を押し付ける。●ケアの優先順位を適切に判断せず、重要なケアを後回しにする。 ④時間管理の問題 ●業務の優先順位が適切でなく、重要なタスクが期限内に完了しない。●シフトへの遅刻や欠勤が多く、同僚に負担をかける。 ⑤プロフェッショナルな態度の欠如 ●職場での服装や言葉遣いが適切でない。●患者や同僚に対する態度が感情的で、誠実さを欠く行動をする。●感情のコントロールが不十分で、ストレスにより患者や同僚に不適切な態度をとる。 アンプロ行動を目撃した医療従事者の反応は? 看護教育や臨床現場では、アンプロフェッショナルな行動(以下、アンプロ行動)に対する適切な対応が求められます。しかし、現状ではこれに対して十分な対応がなされていない場合が多く、教育的・文化的な課題として深刻視されています(課題については後述します)。 「失敗の失敗(failure to fail)」現象と呼ばれる問題が、医療教育の現場で指摘されています。調査によると、教育者の多くが学生の20%にアンプロ行動を観察しているにもかかわらず、報告されるのはわずか3~5%にすぎないといわれています。 アンプロ行動を目撃した医療従事者の反応には表1のような4つが挙げられており、前2者が報告の少なさにつながっています。 表1 アンプロ行動を目撃した医療従事者の反応①承認する別の小話を提供する、笑う ②無視する聞こえなかったふりをする、話題を変える③行動を検討する相談しようとする、責任者に報告しようとする④介入するその場で指導する アンプロ行動に対して教育者が消極的な理由 このことについては3つの社会学的理論で解説されています(表2)。アンプロ行動にかかわろうとしない教育者の消極的態度といえそうです。「見ざる、聞かざる、言わざる」となっていないか、自問自答すべきでしょう。 表2 アンプロ行動に対して消極的な理由 ①無関心な傍観者理論誰か別の人の仕事であると考える ②逸脱の標準化他の誰も誤りを指摘しなければ、誤りではないのではないかと考え、その誤りは承認され、新たな標準となる ③目に見えない利得の法則誤りに介入しても否定的な評価を得てしまう。介入の効果はすぐにはわからない アンプロ行動が報告不足になる理由 とはいえ、報告不足になってしまうのにも理由があります。アンプロ行動の明確な定義や基準が不足しているため、教育者がそれをどう評価し、報告すべきかわからないことがあります(概念の曖昧さ)。 主観的な判断への懸念や、学修者の評判を傷つける恐れが教育者の行動を制約していることも考えられます(報告への不安)。 アンプロ行動の報告後にどのような手続きが行われるかが明確でなく、教育者が対応を躊躇(ちゅうちょ)する原因となっていることもあります(プロセスの不透明性)。 また、教育者が学修者と過ごす時間が限られており、単発的な行動をもとに判断することの難しさもあります(事実の曖昧さ)。 https://expertnurse.jp/articles/id=17935 指導者がアンプロ行動に対応しないとどうなる? 「沈黙の承認(silent witness)」として知られるように、指導者がアンプロ行動に対応しない場合、それが容認された行動であるという隠れたメッセージが学生や新人などに伝わり、「隠れたカリキュラム(hidden curriculum)」として文化的な問題を引き起こすリスクがあります。これにより、看護の現場全体でアンプロ行動があたりまえとなる風潮の形成が懸念されています。 隠れたカリキュラムとは、学校や職場などの組織で、正式に教えられる内容ではないけれど、自然と身についてしまう価値観や行動、考え方のことです。例えば、先生や上司の態度や、組織の雰囲気から「暗黙のルール」を学ぶことがこれに当たります。アンプロ行動をしても誰も指導しなければ、その行動はこの組織では問題ないことと学修者は学んでしまうのです。非常に致命的なことです。 具体例を挙げてみます。職場で指導看護師が「遅刻はだめ」と言っても、実際には遅刻を注意しない場合、新人看護師は「少しの遅刻なら許される」と学ぶかもしれません。医療現場で、形式的には患者さんを尊重する教育が行われても、医師や先輩看護師が忙しさから患者さんをぞんざいに扱っている姿を見て、新人はそれをあたりまえだと感じることがあります。 要するに、「言葉で教えられること」よりも、「現場の雰囲気や行動から自然と学ぶこと」は非常に大きな影響を与えます。 アンプロ行動への対応が重要な理由 アンプロ行動への対応が重要である理由は、多方面にわたる影響があるからです。以下に包括的な視点から解説します。 ①患者安全の確保 アンプロ行動は、患者さんの安全に直接的かつ深刻な影響を与える可能性があります。例えば、次のような状況が挙げられます。 ●医療従事者間のコミュニケーション不足や誤解を招き、診療ミスや薬剤エラーが発生する。●チームのメンバーが意見を言いにくくなり、危険な状況やミスが見逃される。●患者や家族への対応がぞんざいになることで、信頼が損なわれ、診療の質が低下する。 ②チームワークと職場環境 アンプロ行動は、職場の雰囲気やチームの協調性に悪影響を及ぼします。 アンプロ行動を放置すると、他のスタッフのモチベーションが低下し、生産性や業務効率が悪化します(士気の低下)。不適切な行動が蔓延する環境では、よい人材が職場を去る原因となり、人手不足を招く可能性があります(離職率の上昇)。同僚間の信頼が崩れると、情報共有や協力が難しくなり、チーム医療の質が低下します(信頼関係の損失)。 ③社会的責任 医療従事者には、専門家としての行動規範が期待されます。 医療従事者の言動は、患者さんや家族にも影響を与えます。不適切な態度が患者さんの不安を増大させ、治療意欲を損なう可能性があります(患者への模範)。医療機関全体の信用が失われると、地域社会からの信頼も損なわれ、患者さんが医療機関を避けるようになる可能性があります(社会的信用)。 ④法的リスクと倫理的問題 アンプロ行動が患者さんやスタッフの被害につながれば、訴訟の原因となります(訴訟リスク)。医療従事者は患者さんの最善の利益を追求する責任がありますが、不適切な行動はその倫理的義務に反します(倫理的責任)。 ⑤教育と次世代への影響 若い医療従事者がアンプロ行動を見て「これがあたりまえ」と認識すれば、不適切な行動が次世代にも受け継がれる恐れがあります(隠れたカリキュラムの悪影響)。適切な対応をすることで、次世代にプロフェッショナリズムの重要性を示し、医療の質を高めることができます(模範の提供)。 ⑥患者中心の医療と組織文化の改善 患者中心の医療を実現するためには、スタッフ全員が協力して患者さんの利益を最優先に考える文化が必要です。 アンプロ行動への迅速な対応により、スタッフが意見を共有しやすい環境をつくれます(オープンなコミュニケーション)。不適切な行動を排除し、透明性や相互尊重を重視する文化を育むことで、組織全体のパフォーマンスが向上します(ポジティブな文化)。 (第1回) この次に読まれている記事 https://expertnurse.jp/articles/id=18256 https://expertnurse.jp/articles/id=18429 そのほかの連載記事 ※この記事は『エキスパートナース』2025年4月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像・動画等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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検査の記事・連載まとめ
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