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脳画像の読み方入門:図で学ぶ脳の構造
脳画像の見方の基礎知識を紹介。画像を見るために理解しておきたい、脳血管や機能局在などの脳構造を図で解説しています。再検査時の確認ポイントも押さえましょう。 脳画像の見かたを3stepで紹介 ①画像の異常所見を見る ②血管の支配領域から責任血管を見る ③関連する脳機能(脳の機能局在)を確認する こちらもチェック!●CTとMRIの違いは?CTとMRI、それぞれの特徴と断面画像の見方を解説しています。 脳画像で病巣の場所の確認が重要な理由は? 画像を見る際、疾患だけでなく、脳のどこに病巣があるのかもポイントになると第1回の記事で示しましたが、理由として、疾患にかかわらず、運動麻痺や言語障害などは機能局在といって、脳の運動野や言語野が障害されることで症状が出現するためです。 例えば、脳出血でも脳梗塞でも、運動野が障害されれば、運動麻痺が出現します。機能局在は地図のように場所によってそれぞれの役割があり、連携しあっています。「聴覚を司る部位」「視覚を司る部位」「運動の指令を出す部位」「感覚を司る部位」など多種多様に存在します。 こちらもチェック!●運動障害とは?麻痺のある患者さんがもつ合併症の1つ、運動障害について解説しています。 脳の解剖図と脳血管 脳では、それぞれの血管が主に脳のどの部分にエネルギーや酸素を運ぶか支配領域が決まっています。 そのため、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の画像の部位から、どの血管の支配領域が影響を及ぼしているのかを予測することが必要です。 図1 脳の解剖 このブロック以降のコンテンツは非表示になります ●脳と頭蓋骨の間には、硬膜・くも膜・軟膜の3層からなる髄膜があります。●くも膜と軟膜の間にくも膜下腔があり、くも膜下腔は髄液で覆われています。 図2 脳血管 ●脳の表面は、脳表面を覆うようにして、血管が張り巡らされています。●脳底部に内頸動脈、椎骨動脈から前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、脳底動脈とそれぞれを交通する、前交通動脈、後交通動脈などがあり、そこから枝分かれして脳表を覆うように血管が走行していき、穿通枝と呼ばれる細い血管が大脳基底核や間脳などに血液を送ります。●それぞれの血管が主に脳のどの部分にエネルギーや酸素を運ぶか支配領域が決まっています。 ●ウィリス動脈輪とは、脳底部で血管がリング状に形成されている部分をいいます。例えばウィリス動脈輪の一部の血管が閉塞した場合、他の血管から血液が供給され、血液循環が滞らないように補助しあい、脳の虚血を防ぐようにはたらきます。●脳へ送られた血液は脳静脈から静脈洞を形成し、内頸静脈へと流れていきます。 脳の機能局在 脳の機能局在に基づきそれぞれの機能を理解することで、画像を見てどのような症状が出るかを判断していきます。 同じ側頭葉の障害でも、左右で失語が出たり出なかったりと、優位半球か非優位半球かによっても症状が異なったり、同じ運動野でも手の動きや口の動きなどそれぞれ細かく分かれています。 また、障害される部位によっては、脳幹の障害では意識障害や異常呼吸の出現など生命予後に大きく影響してきます。ほかにもけいれん発作は大脳皮質に病変を認める場合に起こりやすく、けいれん発作のリスクなど予測して観察したり、抗けいれん薬の投与を行い予防したりすることがあります。 図3 脳の機能局在 (機能局在は文献1より引用) ●脳は、左右に前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4つの葉に分けられる大脳があり、帯状回や海馬などの大脳辺縁系、尾状核・レンズ核(被殻・淡蒼球)の大脳基底核、視床や視床下部・下垂体などが含まれる間脳、中脳・橋・延髄からなる脳幹、左右の小脳半球と正中の小脳虫部とに分けられる小脳があります。 ●それぞれの部位には機能局在があり、運動を司る運動野から始まる錐体路や言語機能を司る部位、呼吸中枢など生命維持に必要な器官があります。●脳幹周囲には左右に12対の脳神経があり、視覚や眼球の動きや嚥下機能などさまざまな役割を担っています。 脳画像の再検査で観察すべきことは? 脳の画像での「重篤になった」「よくなった」の判断は、画像の再検査で評価していきます。発症後や状態の急激な変化、手術などの治療後などは、おおむね翌日に再度CT検査を行い、発症時の画像と比較(図4-①、②)して、以下を評価していきます。●病変の部位が拡大しているのか否か●病変周囲の浮腫の増減●新たな病変の有無 しかし、画像だけで判断するのではなく、バイタルサインの変化や神経症状の変化なども含めた観察が必要となります。 図4 脳出血の経過(例) 脳梗塞・脳出血の経時的変化 脳疾患の「急性期」「慢性期」の違いは、例えば脳梗塞のCT画像では、発症数時間の超急性期には描写されず(図5-①)、時間経過とともにCT画像でも低吸収域として描写され、梗塞像が明瞭化されます(図5-②)。そして、一度脳梗塞により壊死した脳組織は慢性期のCT画像でも低吸収域として描写されます。 図5 脳梗塞の経過(例) 一方、脳出血のCT画像では、逆に経時的変化に伴い、出血部分(図6-①)が吸収され低吸収域へと変化していきます(図6-②)。そのため、慢性期の脳梗塞や脳出血はCT上、低吸収域として描写されることから判断がまぎらわしいことがあります。 図6 脳出血の経過(例) 硬膜下血腫でも急性硬膜下血腫では高吸収域、慢性硬膜下血腫では血腫の性状や発症の時期からの経時的変化に伴い、高吸収域から等吸収域、低吸収域で描出されます。 このように変化が起こるため、急性期の脳卒中でCTを撮影した際、画像に低吸収域が描写されていたからといって脳梗塞病変を疑うのではなく、既往歴や症状とも関連して画像を評価していかないと、超急性期の描写されていない脳梗塞を見逃してしまう可能性もあります。 (第3回) 引用文献1.宮腰明典,仲辻良仁,山本和雅,他:部位別 脳脊髄の障害とケア.波多野武人 編著,まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた,照林社,東京,2016:124.2.曷川元,永谷悦子 監修:看護・リハビリに活かす脳神経ケアと早期離床ポケットマニュアル.丸善プラネット,東京,2009:19-21. 参考文献1.曷川元 編:脳卒中急性期における看護ケアとリハビリテーション完全ガイド.慧文社,東京,2015.2.波多野武人 編著:まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた.照林社,東京,2016.曷川元,永谷悦子 監修:看護・リハビリに活かす脳神経ケアと早期離床ポケットマニュアル.丸善プラネット,東京,2009.3.荒木信夫,高木誠,厚東篤生:脳卒中ビジュアルテキスト 第4版.医学書院,東京,2015.4.坂井建男,河田光博 監訳:プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖.医学書院,東京,2019.5.市川博雄:症状・経過観察に役立つ 脳卒中の画像のみかた.医学書院,東京,2014. この記事を読んだ方におすすめ●画像検査の情報を看護に活かすための見方と注目ポイント●X線画像やエコー画像の原理などを解説!観察とケアがつながる画像●そのほかの連載記事はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2017年2月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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