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脳疾患をCT・MRIで見る理由とは?看護師が脳画像を理解するメリット
脳画像を読めるようになると、日々の看護ケアに役立ちます。全身管理や日常生活援助への活かし方、脳疾患をCT・MRIを見る理由についてわかりやすく解説しています。 脳神経疾患で全身管理が必要となる時期は? 脳神経疾患患者の管理を行ううえで、特に全身状態の管理が必要になってくる時期が「発症~急性期」です。 このとき最も注意したい点は頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアであり、死に至ってしまう危険性があり、脳ヘルニアの部位によっては救命できたとしても重篤な後遺症が残ったりします。特に急性発症では、急激な病変の出現に伴い周囲の脳組織が浮腫性の変化を認めるため、さらに頭蓋内圧の亢進を助長させます。 よって突然の意識障害やバイタルサインの急激な変化、瞳孔の異常所見、麻痺などの神経症状が出現した際は、全身状態の観察や気道確保、循環動態の管理などの必要な処置を行い、他の原因疾患の鑑別を行うとともに、迅速に“画像による評価”で疾患を特定していく必要があります。 脳画像を読めると看護にどう役立つ? このとき、脳の画像をナースが見ることができると「全身状態を管理するうえで危険を予測する」ことや、「日常生活ケアを行ううえで患者さんに適した援助を計画する」ことができるようになります。以下にその具体例を示します。 ①血圧管理が適切かどうかが検証できる 脳梗塞急性期では、頭蓋内の脳血流を一定に保つ自動調節能が破綻することで、血圧の低下に伴い脳血流量が低下し、虚血状態に陥りやすくなります。 逆に出血性病変の場合、血圧が高いと再出血の危険性が高くなります。特に未処置のくも膜下出血では、降圧・鎮静・鎮痛を行い、再出血を起こさないよう注意を払う必要があります。 このとき、血圧の管理などが疾患によって異なってくるため、“血圧を下げればよい”という判断ではなく、画像や検査所見から疾患を特定し、適切な血圧管理も含めた全身状態の管理が必要になってきます。 ②麻痺の進行・改善を評価できる 同様に、麻痺などの症状から、麻痺の程度が進行したのか改善したのか判断することも大切ですが、同じ半身麻痺でも、前頭葉の運動野だけでなく錐体路の障害で起こるため、症状だけでは部位の細かい特定は困難です。付随する症状も含め症状が進行したかどうか判断が必要になるため、画像を確認することが重要になります。 特に急性期は意識障害を伴うこともあり、症状からの適切な評価が困難なことがあります。画像所見と、血管の支配領域、機能局在から判断して、どのような症状が起こりうるのか視野に入れて観察することも必要です。 ③症状の変化を予測してケアに活かせる 麻痺など“今ある症状”にだけ目を向けて看護を行い、できないことに対して手を差し伸べて看護をしていては、患者さんの自立した生活は遠のいてしまいます。 画像所見から脳の機能局在と照らし合わせ、患者さんの変化に少しでも気づき対処していくことが大切です。 ④起こりうるリスクに対処できる 病変によっては運動麻痺や言語障害だけではなく、嚥下障害などのさまざまな障害を起こします。 ●四肢の運動麻痺がなく、意識清明だから食事摂取は可能”と判断し、誤嚥してから嚥下障害に気づく●運動麻痺がないから1人で歩ける”と判断し、転倒転落の事故を起こしてしまってから障害に気づく のではなく、画像所見から予測し、身体所見のアセスメント、適切なスクリーニング評価を行うことで、「起こりうるリスク」に気づき、対処できるようになります。 こちらもチェック!●頭部打撲後に嘔吐がある場合の頭部CT画像を見るポイント外傷性くも膜下出血や脳挫傷を疑った場合の画像検査について解説しています。 脳の疾患をCT、MRIで見る理由は? 突然に脳神経系の症状が出た場合はどうする? 患者さんに「突然、右半身に運動麻痺が出て、言葉が出てこない」などの症状が現れたときに、私たちはまず、「頭に何かしらの異常が出たのでは?」と考えると思います。 その際、バイタルサインや麻痺の程度、瞳孔の大きさなどを観察すると思います。さらに、脳神経系病棟の看護師であれば、“右上下肢の麻痺+失語”といった症状から、左脳になんらかの病巣があり、さまざまな症状や既往歴から、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)ではないかと予測できるかもしれません。 しかしながらこれらはあくまでも“予測”であり、脳梗塞なのか脳出血なのか、そもそも本当に脳卒中なのかは、画像撮影をしないと判断できません。 緊急時にCTを撮る理由は? ●病巣・範囲を確認するため●疾患を特定するため●頭蓋内圧亢進の状態を確認するため CTでおおまかな異変をつかむ 通常、緊急時の画像撮影はCT(コンピュータ断層撮影)が選択されます。 なぜ緊急時にCTを撮影するのかというと、CTでは検査前に「妊娠の有無」以外に確認が必要な項目がなく、迅速に検査を受けることができ、検査自体も数分で終了するためです。 また、脳卒中や頭部外傷など、緊急に対処しなければいけない疾患の評価や頭蓋内圧亢進の有無なども把握できます。さらに、画像所見と全身状態から、外科的治療、保存的治療の判断、原因検索のためにほかにどの検査が必要か、悪化させないための血圧管理や鎮静の必要性などの判断にもつながります。 CTで医師が見ているポイント 画像診断の重要なポイントとしては、疾患の特定だけでなく、どこに病巣があるか、その程度に関しても確認を行います。 例えば、患者さんに突然の半身の運動麻痺が出現した場合や頭部外傷後意識障害を伴った場合、画像所見で「高吸収域(脳出血やくも膜下出血などの出血性病変の有無)」、もしくは「低吸収域(脳梗塞などの虚血性病変の有無)」があるかどうかによって疾患を特定し、病変の範囲や頭蓋内圧亢進を起こしていないかも判断します。 さらに麻痺の症状と画像所見が一致しているか、他の随伴症状がないかも確認します。 そして、何らかの疾患があった場合に、MRIを撮影するなどして原因の検索を行います。 こちらもチェック!●医師が画像検査をオーダーする目的は?ドクターが画像を見るポイントを紹介しています。 MRIを撮る理由は? ●MRIにより、詳細な原因検索を行うため 次に原因検索のために、必要に応じてMRI(磁気共鳴画像)などが行われます。 MRIでは検査前に、「体内外の金属や貼付薬の確認」「適切な衣類の確認」「身長や体重の把握」などの確認事項が多くあります。またMRIは、CTに比べ時間(20~40分ほど)や費用的な負担もかかりますが、さまざまな撮影条件から詳細な疾患の特定につなげていくことができます。 さらにMRIでは撮影に造影剤(ガドリニウム造影剤)を用いることで、悪性や良性の脳腫瘍の判断や脳膿瘍などの詳細な評価が可能になります(ただし、CTでもヨード造影剤を用いれば脳血管病変などの評価が行えるため、検査の目的によっては「造影CT」を行うこともあります)。 なお造影剤は、腎機能障害、喘息の既往のある患者、造影剤に対するアレルギーがある場合には注意が必要です。特に造影CTの場合、ビグアナイド系の糖尿病薬を内服している患者さんでは、造影剤との併用で乳酸アシドーシスを起こすことがあるため注意が必要です。 いずれにしても、抽出したい画像によってMRIかCTか、また造影剤使用の有無を判断します。 また、患者側の要因でどちらの画像検査を選択するかを判断することもあります。例えば、「閉所恐怖症や体内金属がある場合は、MRIはできないのでCTを実施する」「腎機能障害がある場合は、造影剤は使用しない」などを判断します。 脳疾患で登場するその他の画像検査 脳疾患は、基本的にCTやMRIを用いて画像診断を行っていきますが、さらに細かい確定診断やくわしい病態の判断をするために、“CTやMRI以外”の画像検査も行います。 脳神経外科領域で、CTやMRI以外のよく用いられる画像検査を表1に示します。 表1 CT・MRI以外の画像検査 脳血管造影●動脈瘤などの脳血管疾患のより詳細な血管の状態を見ることができる●動脈にカテーテルを挿入し造影剤を用いて撮影するため、身体への侵襲はCTやMRIに比べると強くなる●脳血管造影は診断によってはそのまま血管内治療が可能 核医学検査(SPECT、PET)●放射性同位元素を静脈より投与し、体内から放出される放射線を画像として取り込み、脳血流などの循環動態やエネルギー代謝動態を描出。その偏りの有無などから診断に役立てる●SPECTは脳の循環動態を評価するのに適しており、脳血流障害、てんかんやアルツハイマー型認知症などの診断に用いられる●PETは脳の代謝機能の評価に適しており、脳腫瘍の診断やパーキンソン病、脳血管疾患などの診断に役立てられる 頸動脈エコー●頸動脈や椎骨動脈は、脳へ酸素やエネルギーを送る重要な役割をもつ。それらの血管に狭窄・閉塞がないか、脳梗塞の原因となるプラーク(粥腫)の有無や状態、血流速度などを評価する (第1回) 参考文献1.曷川元 編:脳卒中急性期における看護ケアとリハビリテーション完全ガイド.慧文社,東京,2015.2.波多野武人 編著:まるごと図解 ケアにつながる脳の見かた.照林社,東京,2016.曷川元,永谷悦子 監修:看護・リハビリに活かす脳神経ケアと早期離床ポケットマニュアル.丸善プラネット,東京,2009.3.荒木信夫,高木誠,厚東篤生:脳卒中ビジュアルテキスト 第4版.医学書院,東京,2015.4.坂井建男,河田光博 監訳:プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖.医学書院,東京,2019.5.市川博雄:症状・経過観察に役立つ 脳卒中の画像のみかた.医学書院,東京,2014. この記事を読んだ方におすすめ●画像検査の情報を看護に活かすための見方と注目ポイント●X線画像やエコー画像の原理などを解説!観察とケアがつながる画像●そのほかの連載記事はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2017年2月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
特集記事
創スワブ検査の検体採取方法:ガーゼ経由での採取がNGな理由は?
創スワブ検査で正確な検査結果を得るための検体採取方法を解説。ガーゼに付着した分泌物の採取を避けるべき理由や、採取時の注意点、また検体を保存する冷暗所についても紹介します。 Q. 創スワブ検査はガーゼについた分泌物を取ってもよい?A.原因菌と皮膚常在菌の区別ができなくなり、診断価値が下がるため、避ける必要があります。 スワブ採取法の手順と注意点 手術、熱傷、外傷のあとに生じる創感染や褥瘡感染などの感染症治療のために細菌培養検査を用いた病原体診断が行われます。検体の採取法には表1などがあり、スワブ採取法が最も多く使われている方法です。 表1 主な検体採取の方法 ●スワブ採取法創表面の付着微生物を拭き取って捕捉する●創部清拭創面に圧力をかけて組織から圧出した液体を採取する●針穿刺吸引注射針を用いて直接病変部の組織を吸引して採取する●創部生検創部の一部を切り取って採取する(侵襲的な方法であり、すべての検査で用いられるものではない) スワブによる創部の検体採取は、創周囲を滅菌生理食塩水で十分洗浄したあとに行う方法が推奨されています(図1)1。それは、常在菌の混入を防ぎ、さらに感染組織に最も近い部位から検体を採取するためであり、これにより診断価値の高い検体を採取できます。 図1 スワブによる創部の検体採取法 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 創がパジャマの中で“むき出し”になっている場合、検体採取前に創周囲の十分な洗浄が必要です。また、創部を覆っていたガーゼについた膿汁をスワブで採取することは極力避ける必要があります。ガーゼに皮膚表面の常在菌が混入してしまい、検出された菌が原因菌なのか、皮膚の常在菌の混入なのか、区別が困難となり診断価値が下がるためです。 スワブ採取による検体は乾燥しやすいため、保存には注意が必要となります。検体が乾燥することで菌が死滅してしまい、培養検査の結果に影響を与えます。 そのため、保存培地入り輸送容器(図2)を使用するか、検体をできるだけ多く採取したうえで容器内には少量の滅菌蒸留水を加えるなどして、乾燥を防ぐ必要があります。 図2 保存培地入り輸送容器 ●検体は乾燥に弱いため、湿潤した状態を保つよう注意する (執筆:成田和也) 引用文献1.Principles of best practice:wound infection in clinical practice:国際コンセンサス.London:MEP Ltd,2008. 検体の「冷暗所保存」とは? Q. 検体を保存する際の「冷暗所」ってどこ?A.直射日光に当たらない涼しいところです。正確な検査値を得るため重要です。 冷暗所保存とは直射日光の当たらない涼しい場所での保存のことであり、必ずしも“冷蔵庫保存”という意味ではありません。 ではなぜ、直射日光が当たらない場所での保存が重要なのでしょうか。それは、直射日光が当たる場所では、細菌の増殖や物質の変化により、検査値に影響を及ぼす恐れがあるからです。 尿を例に挙げて説明しましょう。採尿後2~3時間以内の尿であれば、ほとんどの尿検査(尿定性検査、尿化学定量検査、尿沈渣、尿細胞診)は冷蔵庫に入れず、冷暗所保存で十分です。しかし、このような冷暗所の環境がない場合には、冷蔵庫保存(4℃)でも可能です。また、24時間蓄尿も通常、冷暗所で保存します。 もし、これを直射日光の当たる場所で保存すると、尿の温度上昇による影響(細菌の増殖など)や直射日光によるビリルビン分解などによって正確な検査値が得られなくなります。 (執筆:石澤毅士) (第17回) この記事を読んだ方におすすめ●クロスマッチ用採血の必要量と緊急輸血の対応●「ベッドサイド検査手技の根拠」の記事一覧●そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2014年8月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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頭蓋内圧亢進で注意すべきけいれんの症状と正しい対応
頭蓋内圧亢進症状として起こるけいれんについて、メカニズムや鑑別のポイントを紹介。けいれんとてんかんの違いや、観察ポイント、適切な対応方法もわかりやすく解説します。 観察のポイント頭蓋内圧亢進症状としてのけいれん(大脳皮質の障害で出現しやすい)●前駆症状●発作の鑑別(部分発作・全般発作、ジャクソン発作)●共同偏視●けいれん後の麻痺(Todd麻痺)●呼吸・循環・意識の評価↓気づきたいポイント●四肢の一部や、顔面の不随意運動が持続する●けいれんが一部だけでなく、全身へ波及し、広がっていく●けいれんだけでなく意識障害を伴う けいれんとは? けいれんとは、全身あるいは一部の筋肉に生じる発作性の不随意収縮です。 けいれんは脳の器質的な障害によるものや、全身疾患による二次的な障害など、さまざまな原因によって発生します(表1)。 表1 けいれんの原因 脳の器質的疾患(症候性てんかん)●脳卒中 ●脳血管奇形●頭部外傷 ●脳腫瘍 ●脳炎●髄膜炎 ●脱髄性疾患●変性疾患 脳以外の全身性疾患●水分・電解質異常(低カルシウム血症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低マグネシウム血症)●糖質代謝異常(高血糖、低血糖)●腎不全 ●肝不全 ●薬物中毒●熱性けいれん ●日射病 ●熱射病 また脳の疾患では、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷などで発生します。特に大脳皮質の障害ではけいれんが発生する頻度が高く、急性期以降も遅発性に繰り返しけいれんが発生することがあります(脳出血や脳腫瘍、頭部外傷といった器質的疾患が原因となってけいれんを繰り返す場合は症候性てんかんと呼ばれます)。 けいれんとてんかんの違いは? なお、よく“けいれん≒てんかん”と捉えられがちですが、けいれんとてんかんは異なります。けいれんは、先に述べたように、骨格筋の発作的かつ不随意な収縮であり、「症候」の1つです。 一方、てんかんは、大脳皮質ニューロンの過剰興奮により同一パターンの発作を繰り返す慢性の「疾患」です。 なぜ「症候」と「疾患」という大きな違いがあるにもかかわらず混同されやすいのかというと、てんかん発作は大脳皮質神経細胞が過剰興奮することで、運動だけでなく、意識や精神、感覚、視覚、自律神経などさまざまな症状の発作を呈します。けいれんは、そのうち一番目立つ運動機能発作であるため、けいれん≒てんかんと考えられがちなのです。 こちらもチェック!●『てんかん診療ガイドライン2018』のポイント けいれんの事例 ●右上肢の部分けいれんが発生し、しばらくすると全身性のけいれんになった●叫び声をあげて意識消失し、呼吸停止・チアノーゼが見られた●けいれん後も、右上下肢の麻痺が一時的に持続した 事例が起こったのはなぜ? ■「左皮質下出血」による“大脳皮質障害”を原因としたけいれん 出血病巣がベンフィールドにおける「運動野上肢領域」周囲であるため、上肢からけいれんが発生している ①部分発作・全般発作:部分発作の二次性全般化②けいれん後の麻痺(Todd麻痺):あり③呼吸・循環・意識の評価:呼吸停止、チアノーゼ、意識消失●CT画像により、脳出血(左皮質下出血)が頭蓋内圧亢進を引き起こしていることがわかった●頭蓋内圧亢進が、運動神経の過剰興奮につながったと考えられる●運動野の上肢領域周囲でこれらが起こったため、上肢からけいれんが発生した●けいれん消失後も、一時的に神経活動が低下し、一時的な麻痺が継続している(Todd麻痺) けいれんのメカニズムと鑑別のポイント 1)脳疾患によるけいれんのメカニズム 脳の疾患では、脳腫瘍、脳出血、頭部外傷などを原因として頭蓋内圧が亢進することにより、運動ニューロンの「興奮」と「抑制」の均衡が保てず、神経細胞の過剰興奮が起こることによって発生します。 2)脳疾患によるけいれんの症状 ①けいれん前駆症状 症候性てんかんでは、発作の前駆症状として、めまい、震え、頭痛、四肢のしびれ、ふらつき、顔面・四肢の筋れん縮などが現れることがあります。 また、原因となる病巣に応じて閃輝暗点(せんきあんてん:視野の中心が見えにくくなり視野全体にチカチカとした光が現れる症状)などの視覚異常、異常な雑音や音楽が聞こえるなどの聴覚異常、口の中が苦くなるなどの味覚異常、硫黄のにおいがするなど嗅覚異常を認めることもあります。 ②部分発作・全般発作 部分発作は、障害部位に限局した異常興奮に対応する発作です。通常、意識は保たれます。 一方、異常興奮が両側大脳半球全体で同時に始まると、全身性で対称性のけいれん(全般発作)が起こります。通常、意識障害を伴います。覚えておきたい発作の種類は、「強直性発作」「間代性発作」、そして「強直間代性発作」の3種類です(表2)。 表2 けいれんの全身発作の種類 強直性発作 ●叫び声をあげて意識消失し、筋肉が硬直して硬くなる●後ろに反る弓なりの姿 勢(後弓反張)●瞳孔異常●呼吸停止(チアノーゼ) 間代性発作 ●筋肉が収縮・弛緩を何度も繰り返す●四肢がガタガタと大きく震える●意識消失●失禁 強直間代性発作●強直性発作のあとに、間代性発作が見られる ③ジャクソン発作 頭蓋内疾患で発生するけいれんは、“病巣がある部分”が発作のスタート地点とされ、部分発作がまず発生します。その後、過剰興奮が改善しない場合は、周りの大脳皮質に波及して、全般性の発作となっていきます。 この部分発作から全般発作に移行していく過程を伴う発作をジャクソン(Jackson)発作といいます。 ④共同偏視 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 通常の眼球運動は、皮質注視中枢からの神経線維(図1-①)が中脳下部で交叉し(図1-②)、橋下部にある傍正中橋網様体(PPRF、図1-③)、外転神経核(図1-④)に至り、同側眼球の外転運動と反対側の内転運動を支配し、左右の神経線維のバランスをとっています。よって出血の場合は、眼球は病巣と同側に向きます。 一方、けいれんは病巣の“異常興奮”であり、刺激が強く起きている方向に強く引っ張られます。そのため眼球は、けいれん時には病巣と反対側に向かいます。 図1 「出血時」と「けいれん時」の共同偏視の違い ●左の皮質注視中枢からの神経線維(①)は、内包を通り交伹し(②)、右の橋下部の傍正中橋網様体(PPRF)(③)、外転神経核(④)に至り、右眼の外転運動と左眼の内転運動を調整している●左脳出血などで神経伝達が不可能になると、右眼の外転と、左眼の内転ができなくなり、病巣である“左側の”共同偏視がみられる ●けいれんの場合は、神経伝達が不可能ではなく、過剰になっている●そのため、右眼の外転と、左眼の内転運動が過剰になり、病巣と対側の“右側の”共同偏視が見られる ⑤Todd麻痺 けいれんは脳の電気的興奮が上位運動ニューロンを過剰に刺激し、骨格筋の発作的かつ不随意な収縮を起こすことで発生します。このときけいれん後、一時的に脳の血流が低下し、神経活動が低下することによって一時的に麻痺が起こることがあります(図2)。これをTodd(トッド)麻痺と呼びます。Todd麻痺は数時間から48時間ほど持続することもあります。 図2 Todd麻痺 ⑥けいれん重積 全身性のけいれん発作が長時間持続する(多くの文献では20分以上とされる)、または、意識障害が改善する前に発作を短時間のうちに何度も繰り返す状態を、けいれん重積といいます。 けいれん重積は適切な治療を行わないと、低酸素脳症を起こし、大きな後遺症が残存する可能性があります。 けいれんの観察ポイント 1)観察の重要性 全身性のけいれんを発見すると、誰でもあせってしまい、対応に追われ、観察が不足することがあります。けいれんは適切な観察と対応により重篤化を防ぐことにつながります。まずはあせらず前述した徴候をしっかりと観察することが大切です。 2)呼吸・循環・意識の評価 全身性のけいれんやけいれん重積の場合は、嘔吐や呼吸停止などの症状を伴う場合があり、特に呼吸状態の悪化に注意し、モニタリングし、心電図波形、血圧、脈拍を確認し、バイタルサインの観察を行います。また、循環不全でもけいれんは起こります。 次に、意識障害の有無や、けいれん発作の程度(強直性か、間代性か、強直間代性か)、けいれんのはじまった部位、発生の経過、眼位の異常、発作の継続時間、発作後のTodd麻痺の有無などを観察します。 また、突然のけいれん発作により転倒・転落し外傷を負うことも多いため、骨折や頭部外傷、打撲等の有無や、舌を噛んでいないかなどの確認を行います。 意識障害が回復したら前駆症状の有無を確認することも大切です。 けいれんの対応ポイント 1)すぐに報告が必要な状況 全身性のけいれんやけいれん重積の場合は、医師への報告がすぐに必要です。初期対応(後述)と並行して報告を行いましょう。 報告のポイントは、発見時、どのような状況であったのかです(前述「呼吸・循環・意識の評価」参照)。 2)けいれんへの初期対応 ①応援を呼ぶ 患者のそばから離れず、緊急コールでスタッフや医師を呼び、救急カートやモニタなど救急物品を用意します。 ②ABCを確認する けいれん発作時は、気道確保(A、Airway)、呼吸と換気(B、Breathing)、循環(C、Circulation)の確認をします。 嘔吐による窒息を予防するために、気管吸引の準備をしましょう。すでに嘔吐している場合には、顔や体ごと横向きにして、窒息を防ぎ、気管吸引をしましょう。 酸素投与で酸素化が不十分なときにはバッグバルブマスクでの補助換気を行い、それでも酸素化が不十分なときには気管挿管を考慮し準備をします。 ③静脈ルートを確保し薬剤を投与する できる限り太い針(20Gより太い)で、薬剤投与経路となる末梢静脈ルートを確保します。ジアゼパム(ホリゾンⓇ)静注が行われます。けいれんのリスクがある患者は、医師の指示を確認しておくと緊急時に対応できます。また、ジアゼパムによる呼吸抑制に注意して観察する必要があり、モニタリングが重要です。 投与後もけいれんが改善しない場合は、医師の指示を確認し、フェニトイン(アレビアチンⓇ)などの薬剤投与を行います。 3)内科的・外科的治療について ①脳出血・脳腫瘍・頭部外傷への対応 けいれんの原因疾患や、病巣部位、発作の頻度などにより、薬剤の種類や量などが検討されます。 一般的に皮質病巣の頭蓋内病変(脳出血・脳梗塞・脳腫瘍や頭部外傷による挫創)が残存する場合は長期的にけいれんを起こす可能性があり、予防的に内服治療が必要な場合が多いです。 ②けいれんの継続的治療 けいれんの治療は、薬物療法が主体です(表3)。難治性のてんかんに移行し、薬物療法でも発作のコントロールが困難な場合は、外科的治療として焦点切除術や脳梁離断術が行われる場合もあります。 抗けいれん薬を内服する患者には、飲み忘れなどによりけいれんが起こる可能性や、薬剤の副作用により眠気やふらつきを伴うことがあるため、車の運転や運動など制限があります。医師の指示を確認し、服薬指導を行いましょう。 表3 けいれん時に使用する薬剤 発作時に使う薬剤●ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)→けいれん発作時の第一選択薬 急性期に使う薬剤●フェニトイン(アレビアチン®)●フェノバルビタール(フェノバール®) 重積時に使う薬剤●全身麻酔薬(プロポフォール、ドルミカム®)→人工呼吸器管理下で使用する 内服薬●バルプロ酸ナトリウム(デパケン®)●クロナゼパム(リボトリール®)●カルバマゼピン(テグレトール®)●ゾニサミド(エクセグラン®)●ラモトリギン(ラミクタール®)●レベチラセタム(イーケプラ®)●トピラマート(トピナ®)→いずれも単剤から使用し、けいれんの発生状況や種類、血中濃度などをチェックし、増量したり、併用したり医師の指示で調整を行う (第8回) 参考文献1.高橋孝雄 監修:てんかん.医療情報科学研究所 編,病気がみえる vol.7 脳・神経,メディックメディア,東京,2011:372-376.2.川並透 監修:けいれん.医療情報科学研究所 編,病気がみえる vol.7 脳・神経,メディックメディア,東京,2011:467.3.松本ルミネ:痙攣.落合慈之 監修,森田明夫,吉澤利弘 編,脳神経疾患ビジュアルブック,学研メディカル秀潤社,東京,2009:56-57.4.荒崎圭介:てんかん.落合慈之 監修,森田明夫,吉澤利弘 編,脳神経疾患ビジュアルブック,学研メディカル秀潤社,東京,2009:264-268.5.馬場元毅:運動麻痺.JJNブックス 絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム 第3版,医学書院,東京,2009:111-124. この記事を読んだ方におすすめ●【連載まとめ】見逃せない救急症候―頭痛、胸痛、腹痛、呼吸困難に注意!●「脳から起こる症状・徴候の見抜き方」の記事一覧●そのほかの連載記事 ※この記事は『エキスパートナース』2016年5月臨時増刊号を再構成したものです。本記事の無断転載を禁じます。
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