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頭蓋内圧亢進で注意すべきけいれんの症状と正しい対応
頭蓋内圧亢進症状として起こるけいれんについて、メカニズムや鑑別のポイントを紹介。けいれんとてんかんの違いや、観察ポイント、適切な対応方法もわかりやすく解説します。 観察のポイント頭蓋内圧亢進症状としてのけいれん(大脳皮質の障害で出現しやすい)●前駆症状●発作の鑑別(部分発作・全般発作、ジャクソン発作)●共同偏視●けいれん後の麻痺(Todd麻痺)●呼吸・循環・意識の評価↓気づきたいポイント●四肢の一部や、顔面の不随意運動が持続する●けいれんが一部だけでなく、全身へ波及し、広がっていく●けいれんだけでなく意識障害を伴う けいれんとは? けいれんとは、全身あるいは一部の筋肉に生じる発作性の不随意収縮です。 けいれんは脳の器質的な障害によるものや、全身疾患による二次的な障害など、さまざまな原因によって発生します(表1)。 表1 けいれんの原因 脳の器質的疾患(症候性てんかん)●脳卒中 ●脳血管奇形●頭部外傷 ●脳腫瘍 ●脳炎●髄膜炎 ●脱髄性疾患●変性疾患 脳以外の全身性疾患●水分・電解質異常(低カルシウム血症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低マグネシウム血症)●糖質代謝異常(高血糖、低血糖)●腎不全 ●肝不全 ●薬物中毒●熱性けいれん ●日射病 ●熱射病 また脳の疾患では、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷などで発生します。特に大脳皮質の障害ではけいれんが発生する頻度が高く、急性期以降も遅発性に繰り返しけいれんが発生することがあります(脳出血や脳腫瘍、頭部外傷といった器質的疾患が原因となってけいれんを繰り返す場合は症候性てんかんと呼ばれます)。 けいれんとてんかんの違いは? なお、よく“けいれん≒てんかん”と捉えられがちですが、けいれんとてんかんは異なります。けいれんは、先に述べたように、骨格筋の発作的かつ不随意な収縮であり、「症候」の1つです。 一方、てんかんは、大脳皮質ニューロンの過剰興奮により同一パターンの発作を繰り返す慢性の「疾患」です。 なぜ「症候」と「疾患」という大きな違いがあるにもかかわらず混同されやすいのかというと、てんかん発作は大脳皮質神経細胞が過剰興奮することで、運動だけでなく、意識や精神、感覚、視覚、自律神経などさまざまな症状の発作を呈します。けいれんは、そのうち一番目立つ運動機能発作であるため、けいれん≒てんかんと考えられがちなのです。 こちらもチェック!●『てんかん診療ガイドライン2018』のポイント けいれんの事例 ●右上肢の部分けいれんが発生し、しばらくすると全身性のけいれんになった●叫び声をあげて意識消失し、呼吸停止・チアノーゼが見られた●けいれん後も、右上下肢の麻痺が一時的に持続した 事例が起こったのはなぜ? ■「左皮質下出血」による“大脳皮質障害”を原因としたけいれん 出血病巣がベンフィールドにおける「運動野上肢領域」周囲であるため、上肢からけいれんが発生している ①部分発作・全般発作:部分発作の二次性全般化②けいれん後の麻痺(Todd麻痺):あり③呼吸・循環・意識の評価:呼吸停止、チアノーゼ、意識消失●CT画像により、脳出血(左皮質下出血)が頭蓋内圧亢進を引き起こしていることがわかった●頭蓋内圧亢進が、運動神経の過剰興奮につながったと考えられる●運動野の上肢領域周囲でこれらが起こったため、上肢からけいれんが発生した●けいれん消失後も、一時的に神経活動が低下し、一時的な麻痺が継続している(Todd麻痺) けいれんのメカニズムと鑑別のポイント 1)脳疾患によるけいれんのメカニズム 脳の疾患では、脳腫瘍、脳出血、頭部外傷などを原因として頭蓋内圧が亢進することにより、運動ニューロンの「興奮」と「抑制」の均衡が保てず、神経細胞の過剰興奮が起こることによって発生します。 2)脳疾患によるけいれんの症状 ①けいれん前駆症状 症候性てんかんでは、発作の前駆症状として、めまい、震え、頭痛、四肢のしびれ、ふらつき、顔面・四肢の筋れん縮などが現れることがあります。 また、原因となる病巣に応じて閃輝暗点(せんきあんてん:視野の中心が見えにくくなり視野全体にチカチカとした光が現れる症状)などの視覚異常、異常な雑音や音楽が聞こえるなどの聴覚異常、口の中が苦くなるなどの味覚異常、硫黄のにおいがするなど嗅覚異常を認めることもあります。 ②部分発作・全般発作 部分発作は、障害部位に限局した異常興奮に対応する発作です。通常、意識は保たれます。 一方、異常興奮が両側大脳半球全体で同時に始まると、全身性で対称性のけいれん(全般発作)が起こります。通常、意識障害を伴います。覚えておきたい発作の種類は、「強直性発作」「間代性発作」、そして「強直間代性発作」の3種類です(表2)。 表2 けいれんの全身発作の種類 強直性発作 ●叫び声をあげて意識消失し、筋肉が硬直して硬くなる●後ろに反る弓なりの姿 勢(後弓反張)●瞳孔異常●呼吸停止(チアノーゼ) 間代性発作 ●筋肉が収縮・弛緩を何度も繰り返す●四肢がガタガタと大きく震える●意識消失●失禁 強直間代性発作●強直性発作のあとに、間代性発作が見られる ③ジャクソン発作 頭蓋内疾患で発生するけいれんは、“病巣がある部分”が発作のスタート地点とされ、部分発作がまず発生します。その後、過剰興奮が改善しない場合は、周りの大脳皮質に波及して、全般性の発作となっていきます。 この部分発作から全般発作に移行していく過程を伴う発作をジャクソン(Jackson)発作といいます。 ④共同偏視 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 通常の眼球運動は、皮質注視中枢からの神経線維(図1-①)が中脳下部で交叉し(図1-②)、橋下部にある傍正中橋網様体(PPRF、図1-③)、外転神経核(図1-④)に至り、同側眼球の外転運動と反対側の内転運動を支配し、左右の神経線維のバランスをとっています。よって出血の場合は、眼球は病巣と同側に向きます。 一方、けいれんは病巣の“異常興奮”であり、刺激が強く起きている方向に強く引っ張られます。そのため眼球は、けいれん時には病巣と反対側に向かいます。 図1 「出血時」と「けいれん時」の共同偏視の違い ●左の皮質注視中枢からの神経線維(①)は、内包を通り交伹し(②)、右の橋下部の傍正中橋網様体(PPRF)(③)、外転神経核(④)に至り、右眼の外転運動と左眼の内転運動を調整している●左脳出血などで神経伝達が不可能になると、右眼の外転と、左眼の内転ができなくなり、病巣である“左側の”共同偏視がみられる ●けいれんの場合は、神経伝達が不可能ではなく、過剰になっている●そのため、右眼の外転と、左眼の内転運動が過剰になり、病巣と対側の“右側の”共同偏視が見られる ⑤Todd麻痺 けいれんは脳の電気的興奮が上位運動ニューロンを過剰に刺激し、骨格筋の発作的かつ不随意な収縮を起こすことで発生します。このときけいれん後、一時的に脳の血流が低下し、神経活動が低下することによって一時的に麻痺が起こることがあります(図2)。これをTodd(トッド)麻痺と呼びます。Todd麻痺は数時間から48時間ほど持続することもあります。 図2 Todd麻痺 ⑥けいれん重積 全身性のけいれん発作が長時間持続する(多くの文献では20分以上とされる)、または、意識障害が改善する前に発作を短時間のうちに何度も繰り返す状態を、けいれん重積といいます。 けいれん重積は適切な治療を行わないと、低酸素脳症を起こし、大きな後遺症が残存する可能性があります。 けいれんの観察ポイント 1)観察の重要性 全身性のけいれんを発見すると、誰でもあせってしまい、対応に追われ、観察が不足することがあります。けいれんは適切な観察と対応により重篤化を防ぐことにつながります。まずはあせらず前述した徴候をしっかりと観察することが大切です。 2)呼吸・循環・意識の評価 全身性のけいれんやけいれん重積の場合は、嘔吐や呼吸停止などの症状を伴う場合があり、特に呼吸状態の悪化に注意し、モニタリングし、心電図波形、血圧、脈拍を確認し、バイタルサインの観察を行います。また、循環不全でもけいれんは起こります。 次に、意識障害の有無や、けいれん発作の程度(強直性か、間代性か、強直間代性か)、けいれんのはじまった部位、発生の経過、眼位の異常、発作の継続時間、発作後のTodd麻痺の有無などを観察します。 また、突然のけいれん発作により転倒・転落し外傷を負うことも多いため、骨折や頭部外傷、打撲等の有無や、舌を噛んでいないかなどの確認を行います。 意識障害が回復したら前駆症状の有無を確認することも大切です。 けいれんの対応ポイント 1)すぐに報告が必要な状況 全身性のけいれんやけいれん重積の場合は、医師への報告がすぐに必要です。初期対応(後述)と並行して報告を行いましょう。 報告のポイントは、発見時、どのような状況であったのかです(前述「呼吸・循環・意識の評価」参照)。 2)けいれんへの初期対応 ①応援を呼ぶ 患者のそばから離れず、緊急コールでスタッフや医師を呼び、救急カートやモニタなど救急物品を用意します。 ②ABCを確認する けいれん発作時は、気道確保(A、Airway)、呼吸と換気(B、Breathing)、循環(C、Circulation)の確認をします。 嘔吐による窒息を予防するために、気管吸引の準備をしましょう。すでに嘔吐している場合には、顔や体ごと横向きにして、窒息を防ぎ、気管吸引をしましょう。 酸素投与で酸素化が不十分なときにはバッグバルブマスクでの補助換気を行い、それでも酸素化が不十分なときには気管挿管を考慮し準備をします。 ③静脈ルートを確保し薬剤を投与する できる限り太い針(20Gより太い)で、薬剤投与経路となる末梢静脈ルートを確保します。ジアゼパム(ホリゾンⓇ)静注が行われます。けいれんのリスクがある患者は、医師の指示を確認しておくと緊急時に対応できます。また、ジアゼパムによる呼吸抑制に注意して観察する必要があり、モニタリングが重要です。 投与後もけいれんが改善しない場合は、医師の指示を確認し、フェニトイン(アレビアチンⓇ)などの薬剤投与を行います。 3)内科的・外科的治療について ①脳出血・脳腫瘍・頭部外傷への対応 けいれんの原因疾患や、病巣部位、発作の頻度などにより、薬剤の種類や量などが検討されます。 一般的に皮質病巣の頭蓋内病変(脳出血・脳梗塞・脳腫瘍や頭部外傷による挫創)が残存する場合は長期的にけいれんを起こす可能性があり、予防的に内服治療が必要な場合が多いです。 ②けいれんの継続的治療 けいれんの治療は、薬物療法が主体です(表3)。難治性のてんかんに移行し、薬物療法でも発作のコントロールが困難な場合は、外科的治療として焦点切除術や脳梁離断術が行われる場合もあります。 抗けいれん薬を内服する患者には、飲み忘れなどによりけいれんが起こる可能性や、薬剤の副作用により眠気やふらつきを伴うことがあるため、車の運転や運動など制限があります。医師の指示を確認し、服薬指導を行いましょう。 表3 けいれん時に使用する薬剤 発作時に使う薬剤●ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)→けいれん発作時の第一選択薬 急性期に使う薬剤●フェニトイン(アレビアチン®)●フェノバルビタール(フェノバール®) 重積時に使う薬剤●全身麻酔薬(プロポフォール、ドルミカム®)→人工呼吸器管理下で使用する 内服薬●バルプロ酸ナトリウム(デパケン®)●クロナゼパム(リボトリール®)●カルバマゼピン(テグレトール®)●ゾニサミド(エクセグラン®)●ラモトリギン(ラミクタール®)●レベチラセタム(イーケプラ®)●トピラマート(トピナ®)→いずれも単剤から使用し、けいれんの発生状況や種類、血中濃度などをチェックし、増量したり、併用したり医師の指示で調整を行う (第8回) 参考文献1.高橋孝雄 監修:てんかん.医療情報科学研究所 編,病気がみえる vol.7 脳・神経,メディックメディア,東京,2011:372-376.2.川並透 監修:けいれん.医療情報科学研究所 編,病気がみえる vol.7 脳・神経,メディックメディア,東京,2011:467.3.松本ルミネ:痙攣.落合慈之 監修,森田明夫,吉澤利弘 編,脳神経疾患ビジュアルブック,学研メディカル秀潤社,東京,2009:56-57.4.荒崎圭介:てんかん.落合慈之 監修,森田明夫,吉澤利弘 編,脳神経疾患ビジュアルブック,学研メディカル秀潤社,東京,2009:264-268.5.馬場元毅:運動麻痺.JJNブックス 絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム 第3版,医学書院,東京,2009:111-124. この記事を読んだ方におすすめ●【連載まとめ】見逃せない救急症候―頭痛、胸痛、腹痛、呼吸困難に注意!●「脳から起こる症状・徴候の見抜き方」の記事一覧●そのほかの連載記事 ※この記事は『エキスパートナース』2016年5月臨時増刊号を再構成したものです。本記事の無断転載を禁じます。
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イレウス・腸閉塞の急変徴候とは?
腸閉塞とイレウスの違い、定義・分類を解説したうえで、治療中に起こりやすい急変徴候を紹介。絞扼性腸閉塞、脱水・電解質異常、誤嚥性肺炎を早期に発見するポイントをまとめています。 〈見出し〉●腸閉塞とイレウスの違いは?●絞扼性腸閉塞で注意すべき病態は?●絞扼性腸閉塞の早期発見・対処のポイントは?●絞扼性腸閉塞の予防・予測のポイントは?●イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の原因とは?●イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の早期発見・対処のポイントは?●イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の予防・予測のポイントは?●イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の原因とは?●イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の早期発見・対処のポイントは?●イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の予防・予測のポイントは? 腸閉塞とイレウスの違いは? 腸閉塞とは腸管の機械的閉塞を伴う腸管の流出障害、イレウスとは機械的閉塞を伴わない、腸蠕動または腸運動の欠如に起因される腸管の流出障害のことをいいます1。腸閉塞とイレウスはそれぞれ表1のように分類されます。 表1 腸閉塞とイレウスの分類〈腸閉塞〉単純性腸閉塞:腸管血行の障害が加わらないもの・間欠的な痛みがある・メタリックサウンドの聴取(「カラン、コロン」といった金属音)絞扼性腸閉塞:腸管血行の障害が加わったもの・急激で持続的な痛みがある・発熱、悪寒、血圧低下などのショック症状は腸管の穿孔を疑う 〈イレウス〉麻痺性イレウス:腸管運動の減少するもの・痛みがない場合がある・腸蠕動音の減弱(あるいは「なし」)痙攣性イレウス:腸管の平滑筋の痙攣によるもの・初期は痛みがない場合もある・腸蠕動音の亢進、嘔吐がみられることもある 腸閉塞・イレウスの一般的な自覚症状は、腹痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐、排ガス・排便の消失です。特に腹痛は、腸閉塞・イレウスの原因によって特徴的な徴候を示すと言われています。 他覚症状は、腹部膨隆、腹膜刺激症状などがあります。腹膜刺激症状は腹膜の炎症により起こる症状で、筋性防御*1とブルンベルグ徴候*2として確認されます。 治療として、腸閉塞の軽度なものや麻痺性イレウスでは、絶食のうえ、胃・腸内容物の吸引除去で腸管の減圧を行います。腸管の減圧は、胃管やイレウス管が挿入されることによって行われます。 *1【筋性防御】=腹部を手のひらで圧迫したときに腹壁が緊張して硬くなっている状態のこと。*2【ブルンベルグ徴候】=腹部を少しずつ圧迫して、突然離すとはっきりとした痛みを感じる状態のこと。 起こりがちな急変徴候●腹痛の増強●発熱 ●悪寒●全身倦怠感●血圧低下⇒敗血症性ショックや腹膜炎につながる腸管の穿孔を疑おう! 絞扼性腸閉塞で注意すべき病態は? 絞扼性腸閉塞では、腸管の血流障害によって腸管壁が障害されます(表2)。そのため、早期から細菌やエンドトキシン*3などの有害物質が腸管の外へ移行しやすくなり、また腸管内圧亢進による血流障害や、腸管の再吸収が抑制されることからショックや多臓器不全(MOF)につながりやすくなります1。 診断や治療が遅れてしまった場合には、腸管の壊死・穿孔をきたし、敗血症や腹膜炎などの重篤な状態に陥る可能性があります。 *3【エンドトキシン】=大腸菌・緑膿菌などが菌体内にもつ毒素。菌体の破壊によって放出されて重症感染症を起こすことがある 表2 絞扼性腸閉塞からショックにつながる病態 腸管の貯留●腸管細菌が増殖し、エンドトキシン産生、敗血症につながる消化管の拡張●腸管内圧亢進による血流障害が起こり、潰瘍・穿孔・腹膜炎につながる腸管の再吸収抑制●血管内脱水、電解質異常から、循環血液量の減少につながる⇒敗血症性ショック、多機能不全(MOF)に (文献2を参考に作成) 絞扼性腸閉塞の早期発見・対処のポイントは? ①腹痛の増強に注意 腹痛の増強では、絞扼性腸閉塞に移行している可能性があります。症状が変化した場合には、必ず医師に報告しましょう。 ②治療の効果を確認する 高齢者は、まれに、病状が進行しても腹痛を強く訴えない場合があります。また、炎症所見を示す採血データ(WBCやCRP)もすぐには上昇せず、病状の進行を見逃す場合も少なくありません。 治療が開始されてもX線(図1-①)やCT(図1-②)などで症状の改善がみられない場合は、腸管の穿孔へつながる可能性があり、注意が必要です。 図1 腸閉塞の画像の確認ポイント ③ショックの徴候に気づく 敗血症ショックの併発は、多臓器不全となり、死の危険へとつながります。悪寒、発熱、全身倦怠感、血圧低下は、ショックを示す徴候として観察することができます。 入院後は、定期的にバイタルサインや一般状態の観察を行い、ショックの徴候を見逃さないようにしましょう。 ④緊急手術に備える 絞扼性腸閉塞は緊急手術の適応となります。点滴投与などを行うと同時に、手術のための準備が必要となります。 絞扼性腸閉塞では痛みが強いことに加えて、腸管の壊死・穿孔をきたしている可能性があります。よって検査の際に病棟外へ出るときには、痛みの増強と腸管内圧亢進を少なくするためにストレッチャーで搬送を行うなどの配慮が必要になってきます。 こちらもチェック!●腸閉塞、イレウスを術後管理の画像で鑑別するポイント●腸閉塞、イレウスを疑って腹痛患者での画像を見るポイント 絞扼性腸閉塞の予防・予測のポイントは? 絞扼性腸閉塞であった場合を想定して、病棟内での安静度を、あらかじめ医師に確認しておきましょう。 起こりがちな急変徴候●排液量の増加●口渇 ●頻脈●末梢循環不全●脈圧の減少 ●冷汗⇒循環血液量減少性ショックにつながる脱水や電解質異常を疑おう! イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の原因とは? 腸閉塞やイレウスが起こっている場合、それに伴う嘔吐、腸管の吸収障害から、脱水や電解質異常となることがあります。 また、腸閉塞・イレウス治療に伴い胃・腸内容物の吸引がされていることから、その傾向はますます強くなります。 これらが進展することで、循環血液量減少に伴うショックが起こりやすくなります。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の早期発見・対処のポイントは? ①治療に伴うin-out を検討する 胃管やイレウス管からの排液量が増えていないかを確認することが必要です。定期的に胃管、イレウス管からの排液量や尿量を観察し、水分出納バランスを確認することによって、循環血液量減少性ショックの早期発見に努めましょう。また脱水症状を示唆するような口渇の訴えがないかも確認しましょう。 なお、イレウス管の排液量の“減少”は症状の改善を示す所見ですが、イレウス管の屈曲や捻転によって、的確な治療が行われていない可能性もあります。排液量を観察する際には、管が閉塞していないことも必ず確認しましょう。 ②ショックの場合の対応 頻脈、脈圧の減少、末梢循環不全、冷汗などが観察された場合は、循環血液量減少が疑われます。症状が重篤化し、血圧低下やチアノーゼが出現するとショック状態となる可能性があります。 これらの症状が出現した際には、ただちに医師に報告し、採血などの検査の追加や、輸液の追加などの指示を確認し、実施する必要があります。 イレウス・腸閉塞による脱水・電解質異常の予防・予測のポイントは? 嘔吐した量、胃管やイレウス管からの排液量、尿量と輸液量を計算して、500mL以上のマイナスバランスとなった場合には、体内の水分バランスに変調をきたしている可能性があります。また、患者が口渇を強く訴えたときにも脱水となっている可能性があります。 医師に報告して、輸液の追加の必要性について確認しましょう。 起こりがちな急変徴候●発熱●SpO2値の低下●呼吸状態の悪化⇒重篤な肺炎につながる誤嚥性肺炎を疑おう! イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の原因とは? 経鼻的にイレウス管を挿入する際には、管を挿入する際や留置に伴い、嘔吐を誘発させることがあります。嘔吐後は、 誤嚥性肺炎を発症する可能性があります。 イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の早期発見・対処のポイントは? 特に、イレウス管が挿入されたあとは、発熱の有無、 酸素飽和度、 呼吸状態などを観察し、誤嚥性肺炎の早期発見に努める必要があります。 誤嚥性肺炎に対しては治療として抗菌薬の投与などが行われます。 イレウス・腸閉塞による誤嚥性肺炎の予防・予測のポイントは? 腸閉塞・イレウス症状による嘔吐やイレウス管挿入に伴う嘔吐の有無は、誤嚥性肺炎の可能性を予測するための重要な情報となります。嘔吐の有無を必ず確認しましょう。 引用文献1.急性腹症診療ガイドライン2025改訂出版委員会 編:急性腹症診療ガイドライン2025 第2版.医学書院,東京,2025:25-29.2.鈴木武志,前谷容:イレウス.小俣政男,千葉勉 監修:専門医のための消化器病学.医学書院,東京,2013:278-281. 参考文献1.大塚裕一:消化器疾患ビジュアルブック 第2版.Gakken,東京,2014.2.髙野尚史,他:看護のための最新医学講座(第2版)4消化管疾患.中山書店,東京,2005;382-386.3.数野暁人,他:疾患・症状別今日の治療と看護(改訂第3版).南江堂,東京,2013;478-481. この記事を読んだ方におすすめ●「起こりがちな急変徴候への対応」の記事一覧●そのほかの連載記事 ※この記事は『エキスパートナース』2014年5月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】心電図波形の読み方の要点を解説
代表的な18種類の不整脈の波形が読めるように、波形の読み方の要点をコンパクトにまとめました。知っておきたいポイントがぎゅっと詰まった、全24回の連載です。 【第1回】洞調律の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞調律の特徴は?●洞調律を理解するために重要な刺激伝導系 詳しくはこちら 【第2回】P波とは?QRS波とは?心電図波形の各部の名称 〈目次〉●心電図波形の各部の名称を紹介(P波/QRS波/ST部分/T波/PQ間隔/QRS時間(間隔)/QT時間/PP間隔/RR間隔) 詳しくはこちら 【第3回】サイナス(洞調律)の心電図波形の読み方 〈目次〉●サイナス(洞調律)の特徴は?●心拍数が変化するとサイナス(洞調律)はどうなる?・洞徐脈(sinus bradycardia)・洞頻脈(sinus tachycardia) 詳しくはこちら 【第4回】洞徐脈の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞徐脈の特徴は?●無脈性電気活動(PEA)、房室接合部調律との違いは?・洞徐脈の場合はまず薬剤の影響を確認・房室接合部調律へ移行する可能性も 詳しくはこちら 【第5回】洞頻脈の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞頻脈の特徴は?●心房細動(AF)、発作性上室頻拍との違いは?●洞頻脈の原因とは?・心房細動(AF)に移行している場合もある 詳しくはこちら 【第6回】洞不全症候群(SSS)の心電図波形の読み方 〈目次〉●洞不全症候群の特徴は?●Rubenstein分類 詳しくはこちら 【第7回】房室接合部調律の心電図波形の読み方 〈目次〉●房室接合部調律の特徴とは?●「P波が出ていない」とはどんな状態? 詳しくはこちら 【第8回】心房期外収縮(PAC)の心電図波形の読み方 〈目次〉●期外収縮と相対不応期の重なりに注意●心房期外収縮の特徴は?・心房期外収縮の二段脈がポイント・多発する場合は循環血漿量不足の疑いあり 詳しくはこちら 【第9回】心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の特徴は?●Lown分類で重症度を判断●心室期外収縮(PVC/VPC)とともに見るべき検査データは? 詳しくはこちら 【第10回】心電図波形の陰性化のメカニズム 〈目次〉●陰性化とは?・P波が陰性になる・QRS波が陰性になる・T波が陰性になる 詳しくはこちら 【第11回】心房細動(AF)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心房細動の特徴は?●心房細動により心拍出量が下がり、血圧が低下・輸液を絞ったことでAFに移行する場合も 詳しくはこちら 【第12回】心房粗動(AFL)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心房粗動(AFL)の特徴は?・心房粗動(AFL)では、ドクターコールと12誘導心電図は必須 詳しくはこちら 【第13回】発作性上室頻拍(PSVT)の心電図波形の読み方 〈目次〉●発作性上室頻拍の特徴とは?・PSVTが出現したらどうする? 詳しくはこちら 【第14回】心室頻拍(VT)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室頻拍の特徴は?・脈が触れなければ即CPR 詳しくはこちら 【第15回】心室細動(VF)の心電図波形の読み方 〈目次〉●心室細動の特徴とは?・心室細動(VF)は実質上の心停止、すぐにドクターコールを 詳しくはこちら 【第16回】房室ブロックの心電図波形の読み方 〈目次〉●房室ブロック(AVB)とは?・Ⅰ度房室ブロック・Ⅱ度房室ブロック・完全房室ブロック 詳しくはこちら 【第17回】Ⅰ度房室ブロック(Ⅰ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●Ⅰ度房室ブロックの特徴とは?・通常は経過観察でOK 詳しくはこちら 【第18回】Ⅱ度房室ブロック(Ⅱ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●ウェンケバッハ型(Wenckebach型)/モビッツⅠ型(MobitzⅠ型)の特徴とは?・基礎疾患がなければ予後は良好●モビッツⅡ型(MobitzⅡ型)の特徴とは?・モビッツⅡ型はペースメーカーの適応 詳しくはこちら 【第19回】完全房室ブロック(Ⅲ°AVB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●完全房室ブロック(Ⅲ度房室ブロック)の特徴とは?・循環動態が保たれているかをアセスメント 詳しくはこちら 【第20回】房室解離の心電図波形の読み方 〈目次〉●房室解離の特徴は?●房室解離が起こる原因は? 詳しくはこちら 【第21回】右脚ブロック・左脚ブロックを見るために必要な「電気軸」とは? 〈目次〉●軸偏位とは?●軸偏位の原因となる疾患●12誘導心電図で確認すること 詳しくはこちら 【第22回】右脚ブロック(RBBB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●右脚ブロックの特徴とは?●右脚ブロックとはどんな状態? 詳しくはこちら 【第23回】左脚ブロック(LBBB)の心電図波形の読み方 〈目次〉●左脚ブロックの特徴とは?●左脚ブロックとはどんな状態? 詳しくはこちら 【最終回】QT延長症候群の心電図波形の読み方 〈目次〉●QT延長症候群の特徴とは?●後天性QT延長症候群の原因とは? 詳しくはこちら そのほかの連載はこちら
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