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看護師のプロフェッショナリズムとは?―アンプロ行動を見抜くために
看護現場において、患者ケアの質や医療チームの信頼性、看護師自身のキャリアに影響を及ぼしかねない「アンプロフェッショナル」な行動。今回は、アンプロ行動の前提となる「プロフェッショナリズム」について解説します。 目次●医療専門職教育のプロフェッショナリズムの概念●看護師のプロフェッショナリズムとは?●プロフェッショナリズムはどのように形成される?●アンプロ行動の背景とは?●プロフェッショナルな行動の逸脱の要因 \アンプロフェッショナルな行動とは?/まずはこちらの記事をチェック! 読者のみなさんの多くはアンプロ行動を見ても、「アンプロフェッショナル」という言葉でとらえていないことも多いでしょう。そこで、まずは「プロフェッショナリズム」とは何かについて考えてみたいと思います。 医療専門職教育のプロフェッショナリズムの概念 ここでは、医療専門職教育のプロフェッショナリズムの概念として頻繁に引用される、ArnoldとSternによるプロフェッショナリズムの神殿モデルを紹介します(図1)1。このモデルは、プロフェッショナリズムを土台と柱で表現しています。 図1 ArnoldとSternによるプロフェッショナリズムの神殿モデル (文献1を参考に作成) プロフェッショナリズムを支える3つの土台として、「臨床能力(医学の知識)」「コミュニケーション・スキル」「倫理的・法的理解」があります。プロフェッショナリズムの具体的な4つの要素として、「卓越性」「ヒューマニズム」「説明責任」「利他主義」が示されています。これらが組み合わさることで、プロフェッショナリズムが構成されます。 看護師のプロフェッショナリズムとは? 医療現場におけるプロフェッショナリズムは、専門職としての基盤であり、看護師を含む医療専門職が患者や家族、医療チーム、さらには社会全体から信頼を得るための要素です。 プロフェッショナリズムとは、看護師がもつべき専門的知識や技術、倫理観、社会的責任、そして継続的な自己研鑽を通じて、患者中心の質の高いケアを実現する能力を指します。これは、単なる技術的な能力にとどまらず、倫理的判断力、対人関係能力、チーム医療での協働、社会的責任感といった多面的な要素を含んでいます。 現在改訂中の看護学教育モデル・コア・カリキュラム案では、看護師のプロフェッショナリズムは表1に示すように解説されています2,3。 表1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム案におけるプロフェッショナリズム <基本的な資質・能力の概要>対象を常に尊重し、法律や倫理的なガイドラインに依拠した看護を、自己責任をもって遂行し、対象やチームメンバーに対する責任を果たす <学修目標>1.看護職の専門性を支える法律・倫理の理解2.看護職としての倫理的行動3.看護職としての専門性に関する理解4.看護職としての専門性に関する説明責任5.看護職の特性と価値観を反映した職業的アイデンティティの形成と育成6.看護職としての自己像の確立7.リーダーシップ能力の開発 (文献2,3を参考に作成) 以上、説明したような要素が相互に影響し合い、看護師のプロフェッショナリズムを構成しているわけですが、現実の医療現場では、すべての行動が常にこの理想に則っているわけではありません。新人看護師や中途入職者が、意図せずに、あるいは職場の文化や慣習に慣れていないために、プロフェッショナリズムから外れる行動をとる場面も見られます。 プロフェッショナリズムはどのように形成される? 医療現場におけるプロフェッショナリズムは、専門職としての行動や倫理観を支える基盤ですが、この行動がどのように形成され、どのような状況で逸脱するかを理解することは重要です。 まずは、プロフェッショナルな行動を支える要因について考えてみましょう。プロフェッショナルな行動が発揮されるためには、図2-①の要因が重要とされています。 図2 プロフェッショナルな行動の生じやすさと逸脱の原因 (文献4より一部改変して引用) 自己意思(Self-intent) 医療従事者自身の内面的な動機や意思は、プロフェッショナルな行動を支える重要な原動力となります。これは、自分の役割や使命に対する意識と深く結びついています。 自己効力感(Self-efficacy) 自分の能力を信じ、目の前の課題に対処できるという自信も、プロフェッショナリズムを維持する鍵となります。高い自己効力感は、困難な状況でも冷静な判断と行動を促します。 ポジティブなロールモデル 職場や教育の場で接するポジティブなロールモデルの存在は、理想的なプロフェッショナルな行動の学び・模範となる機会を提供します。これにより、個々の医療従事者は、自分の行動基準を確立することができます。 https://expertnurse.jp/articles/id=17935 アンプロ行動の背景とは? 前回の記事で紹介したアンプロ行動の背景には、何があるのでしょうか? その要因には以下が考えられます。 ①経験不足 ●新人看護師が理論と実践のギャップに直面し、ストレスや混乱を感じる。●中途入職者が、新しい職場文化に適応するまでの過程で戸惑いを感じる。 ②教育の不十分さ ●看護教育の段階で、プロフェッショナリズムが十分に指導されていない。●臨地実習での経験が限定的で、実践的スキルが不足している。 ③職場環境の影響 ●職場の指導体制が整備されていないため、適切な支援が得られない。●忙しすぎる環境で自己研鑽の時間がとれない。 ④個人的要因 ●ストレスや過労により注意力が低下している。●メンタルヘルスの問題がある、自己効力感が低い。 プロフェッショナルな行動の逸脱の要因 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図2に示されているように、プロフェッショナルな行動には多くの変数が影響を与え、これらが個々の医療従事者の行動を左右する重要な要因となっています。一方で、プロフェッショナリズムからの逸脱には、図2-②の要因が関連しています。 ストレスフルな状況 臨床現場での患者さんの死亡や急変、家族からのクレーム対応など、ストレスの高い状況は冷静な判断や行動を妨げる要因となります。 燃え尽き症候群や個人的な苦痛 長時間労働や過剰な業務負担により、医療従事者が燃え尽き状態に陥ることがあります。この状態では、患者さんや同僚に対する配慮が十分に行えず、行動がプロフェッショナルとは言いがたい方向に進むことがあります。 ネガティブなロールモデル 職場環境において、倫理的でない行動をとる同僚や上司の存在は、プロフェッショナリズムの基準を曖昧にし、悪い行動を模倣させる可能性があります(図3)。 図3 ネガティブなロールモデル(知らず知らずにその態度・行動を身につけてしまう) ポジティブなロールモデル高齢者には心理社会的な背景を理解して全人的なケアをしましょうねネガティブなロールモデル忙しいのにあの高齢者はいろいろ訴えが多すぎるわポジティブなロールモデルリハビリに励んでもらえるようモチベーションをアップさせるケアをしましょうネガティブなロールモデルいくら言ってもリハビリやろうとしない。やる気がないのよねポジティブなロールモデルチーム医療が大事。フラットな関係性を保って多職種連携しましょうネガティブなロールモデルメディカルアシスタントって結局、専門知識がないのよね。嫌になるわ (第2回) 引用文献1.デヴィッド・トーマス・スターン編著,天野隆弘監修:医療プロフェッショナリズムを測定する─効果的な医学教育をめざして.慶応義塾大学出版会,東京,2011.2.日本看護系大学協議会:看護学教育モデル・コア・カリキュラム(令和6年改訂版)】本文).https://www.mext.go.jp/content/20250317_mxt_igaku-000040938_1.pdf(2026.4.20アクセス)3.日本看護系大学協議会:看護学教育モデル・コア・カリキュラム(令和6年改訂版)【資質・能力】.https://www.mext.go.jp/content/20250324-mxt_igaku-000040938_4.pdf(2025.4.20アクセス)4.Levinson W,Ginsburg S,Hafferty FW,et al.著,宮田靖志,小泉俊三編著:日常診療の中で学ぶプロフェッショナリズム,カイ書林,埼玉,2018:21. この次に読まれている記事 https://expertnurse.jp/articles/id=18256 https://expertnurse.jp/articles/id=18429 そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2025年4月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像・動画等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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