特集記事
【連載まとめ】看護師が知っておきたいACP
国内外のACPの定義、話し合いの内容やポイント、メリットと課題、看護師に期待される役割について紹介した連載です。看護の場面によって異なるACPのコツも合わせて解説しています。 【第1回】アドバンス・ケア・プランニングの基礎知識 〈目次〉●ACPの定義①ヨーロッパ緩和ケア学会(EAPC)の定義(2017)②厚生労働省の定義(2018)③日本版ACPの定義●ACPで医療者と患者さんが話し合う内容●ACPのメリットと課題●ACPにおいて看護師に期待される役割 【第2回】事前指示とリビング・ウィルの理解 〈目次〉●事前指示(AD)、リビング・ウィル、DNARがあれば、ACPは必要ない?・内容的指示:ACPとリビング・ウィル、DNARの関係・ACPとADの関係●ACPは、できるだけ早く行う?必ず行わなければいけない?・ACP導入・実施の前に行いたいこと・ACPを導入した際に説明したいこと 【第3回】継続的な意思決定支援のポイント 〈目次〉●ACPで決定した方針、一度決めたなら絶対守る?●患者の意思決定能力が十分でなさそうなら、ACP はできない?・厚生労働省のガイドラインにおけるACP・看護師が行いたいACP支援 【第4回】急性期の重症患者へのアプローチ 〈目次〉●病態アセスメントとコミュニケーション能力を身につける●ACPの開始時期は、surprise questionやSPICTを用いて検討する●患者・家族の見ている景色を確認する 【第5回】病院で慢性疾患(心不全)をもつ患者に行うACPのコツ 〈目次〉●患者の心理状態を考えないACPは行わない●再発防止の療養指導の際に、病状に対する適切な説明を行う●患者との関係性を築き、患者が自分の病気と向き合えるようにする●治療や病態に変化があった時がACPの話し合いを始めるタイミング 【第6回】訪問看護で行うACPのコツ 〈目次〉●転換期ごとに意思決定支援を行う●本人の思いをうまく聴き出す 【最終回】介護保険施設で行うACPのコツ 〈目次〉●情報共有シートで、入所者の意思・思いを時間軸で受け止める●本人・家族と、先の見通しを立てながら本人のことを知れる話を繰り返し行う●本人の様子をとらえて、意思を代弁する そのほかの連載はこちら
特集記事【連載まとめ】脳からわかる麻痺の看護
麻痺のある患者さんに対応するには、脳のしくみから麻痺を理解することが大切です。麻痺のメカニズムをイラストともにわかりやすく解説!麻痺に伴う合併症や実際のケアについても紹介しています。 【第1回】麻痺はなぜ起こる?錐体路から脳のしくみをやさしく解説 〈目次〉●麻痺とは?・錐体路(すいたいろ)は「運動の指令を伝える専用道路」・錐体路のスタート地点は「中心前回(ちゅうしんぜんかい)」・錐体路はバラバラにスタートし、「放線冠(ほうせんかん)」で1束になる・錐体路の「どこが障害されるか」で麻痺の出かたに差がつくQ1 “放線冠より上”で障害が起きたら?Q2 “放線冠以降”に障害が起きたら?Q3 “放線冠以降にピンポイントで”障害が起きたら?・麻痺の患者さんは、ほかにどんな合併症をもっている? 【第2回】舌の麻痺に注意!危険な症状のチェックポイント 〈目次〉●活舌が悪くなった…舌の麻痺では何を確認する?●舌の神経路は、手足とは違う走行をしている・手足の神経路は“直行便” 錐体で反対側に移動する・舌の神経路は“乗り換え便” 反対側の脊髄前角部で別の神経に乗り換える 【第3回】顔面麻痺に注意!危険な症状のチェックポイント 〈目次〉●左右で表情が違う…顔面麻痺では何を確認する?●出血が起きたのが「大脳」か「橋」かで、麻痺の出かたが変わる 【第4回】手が握れないのは麻痺?見抜き方と観察ポイント 〈目次〉●手が握れない…“両手”なら原因は麻痺ではないかも・麻痺を疑ったら「指折り試験」で確認を・上肢の麻痺では“バレー徴候”も出る・指で「OKマーク」をつくる検査も●意識状態が悪く、自分で症状を訴えられない患者さんの観察 【第5回】運動障害とは?麻痺のある患者がもつ合併症を解説 〈目次〉●麻痺のある患者さんがもつ合併症●運動障害の1つ、運動失調とは・運動の微妙な調整は、小脳と錐体外路が担っている 【第6回】感覚障害のメカニズムとは?麻痺に伴う合併症を解説 〈目次〉●感覚障害が起こるメカニズム・感覚は「視床」を通って脳の中心後回へ伝わる・特に視床出血後に注意が必要 【第7回】言語障害とは?麻痺に伴う合併症を解説 〈目次〉●運動性失語と感覚性失語・「話せなくなる」失語と、「理解できなくなる」失語・構音障害では、「正しい発音」ができなくなる 【第8回】嚥下障害の原因とは?麻痺に伴う合併症を解説 〈目次〉●嚥下障害が起こる理由は?・ 喉頭蓋の位置関係・「嚥下」をみるときは「摂食」もみる 【第9回】排泄障害のメカニズムは?麻痺に伴う合併症を解説 〈目次〉●排泄障害のしくみ・排便障害のしくみと便秘のリスク 【第10回】高次脳機能障害の種類は?麻痺に伴う合併症を解説 〈目次〉●高次脳機能障害の種類・失認は見たものが「何か」わからなくなる・側頭葉の記憶の貯蔵・物体失認のメカニズム・失行は、麻痺がないのに運動が難しくなる 【第11回】麻痺の合併症:痙縮・拘縮・筋萎縮が起こる原因 〈目次〉●痙縮とは・プラスの神経路とマイナスの神経路●拘縮とは・拘縮の「拘」って、どんな意味?●筋萎縮とは 【第12回】麻痺のある患者に適したポジショニングとは?体位変換のポイント 〈目次〉●不適切なポジショニングは拘縮につながる・プッシャー症状の患者さん●適切なポジショニングは身体認知の向上につながる●臥位・座位でのポジショニングのポイント●体位変換時のポイント 【第13回】麻痺患者の車椅子への移乗・移送のポイント 〈目次〉●車椅子で行動が広がれば、膿瘡性が引き出せる●ベッドからの起き上がり動作のポイント●車椅子に移乗する前のポイント●移乗のため、立ち上がる際のポイント 【第14回】誤嚥を防ぐ食事介助のコツとは?麻痺のある患者への対応 〈目次〉●食事を安全に楽しんでもらうために誤嚥を予防する●食事介助の準備のポイント●食事にかける時間のポイント●食事内容と食べ方のポイント・誤嚥予防に用いられる薬剤 【第15回】麻痺のある患者さんへの清拭・更衣のコツ 〈目次〉●清拭時のケアのポイント●更衣時のケアのポイント●服の着脱時のポイント 【第16回】麻痺のある患者さんの自立に向けたトイレ介助 〈目次〉●排泄動作の流れと各動作のポイント・姿勢を整え、椅子から立ち上がる・下衣を下ろし、便座に着座する・排泄後、後始末をして車椅子に戻る・排泄パターンをつかんだトイレ誘導も重要 【最終回】麻痺のある患者さんのおむつ交換のコツ 〈目次〉●無理な姿勢は骨折につながる●拘縮のある患者におむつをフィットさせるコツ●麻痺側の姿勢にも常に気を配る●ROM訓練などは必ずリハビリ専門職に相談を そのほかの連載はこちら
特集記事ネブライザー付き酸素吸入器による酸素療法と注意点
これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。今回は高流量システムであるネブライザー付き酸素吸入器での酸素療法について。酸素濃度調節ダイヤルを100%にしても、100%の酸素投与はできないので注意が必要です。 ネブライザー付き酸素吸入器で100%の酸素投与はできない! 例えばこんな場合…患者の状態●SpO2低下医師の指示●「インスピロン®ネブライザーで100%酸素投与」の指示●酸素流量計で15L/分の酸素を流す やってしまうと…30L/分以上の高流量が必要なのにトータル流量は15L/分に低下 インスピロン®の酸素濃度は50%まで ネブライザー付き酸素吸入器は、酸素吸入と同時にネブライザー機能を兼ね備えており、開胸術後などで喀痰喀出困難な患者さんに対して、酸素吸入とともに十分な加湿をすることが可能になります1。ネブライザー付き酸素吸入器は「高流量システム」に分類されます(図1)。高流量システムとは、酸素と室内気をあらかじめ混合し、30L/分以上の高流量を作り出すため、患者さんの1回換気量以上の流量が流れるものです。そのため患者さんの呼吸パターンに左右されず、一定の吸入酸素濃度が供給されます。 図1 ネブライザー付き酸素吸入器(高流量システム)の構造●ネブライザー付き酸素吸入器は、ベンチュリ効果*を利用し、酸素濃度調整ダイヤルで酸素と室内気を調整する(下図)●加湿部分では霧吹きの原理で微粒子化した蒸留水と混合酸素を混合する このブロック以降のコンテンツは非表示になります *【ベンチュリ効果】=高速で流れる流体が周りのものを引きつける効果。 一方、病棟での酸素流量計の最大は12~15L/分です。インスピロン®ネブライザーを例にとると、総流量の早見表は表12になります。つまり、このときトータル流量が30L/分以上必要であれば、インスピロン®ネブライザーでは50%の吸入酸素濃度までしか供給できないことになります。 表1 インスピロン<sup>®</sup>ネブライザー総流量早見表 (文献2より引用、一部改変) ではなぜ、酸素濃度調整ダイヤルには70%、100%の表示があるのでしょうか(図2)。これは、乳幼児や小児、あるいは特発性肺線維症などのように1回換気量がきわめて少ない患者さん用に設定されているものなので、注意が必要です。 図2 インスピロン<sup>®</sup>ネブライザーの酸素濃度調整ダイヤル 画像提供:エム・シー・メディカル株式会社 高濃度酸素吸入を行う場合は他のデバイスを検討 酸素濃度調節ダイヤルには70%、100%と表記があり、あたかも高濃度酸素吸入が行えるように錯覚しがちです。 しかし装置の酸素濃度調節ダイヤルに表示されているような高濃度酸素吸入を成人の患者さんにはできないため、酸素濃度60%以上の高濃度酸素吸入を行う場合は、他のデバイスの検討を医師に伝えるようにしてください。 引用文献1.日本呼吸器学会 肺生理専門委員会/日本呼吸管理学会 酸素療法ガイドライン作成委員会 編:酸素療法ガイドライン.メディカルレビュー社,大阪,2006:38-39.2.エム・シー・メディカル株式会社:インスピロン酸素療法製品総合カタログ.https://www.mcmed.co.jp/cms/wp-content/uploads/2024/03/a3fd5c2d6303ec4d81a97b60c9fcb4d3.pdf(2025.6.20アクセス) さらに学ぶならこちら「本当に効果がある酸素療法ができるようになる!」の記事一覧そのほかの連載はこちら 次回:酸素流量計をアウトレットに接続したままにする危険性(7月23日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2017年6月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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