20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
患者が理に合わないと思われる訴えをする時
問題はしばしば看護チームの
対応のまずさにある
全スタッフの出席する病棟カンファレンスが開催された。そこでは、 15~20分おきの尿意の原因について心身両面からの検討がされ、排尿の方法によって尿意を訴える間隔に差があるかどうか、尿自体に頻尿の原因となるような所見はないかなどが話し合われた。(中略)
結局、ナースらの関心がこの婦人に強く向いたところで、尿意の訴えは減少した。カンファレンスで共有した方針に沿って看護チームメンバーの姿勢が変化したためである。
この時のカンファレンスの教訓は、“患者が理に合わないと思われる訴えをする時、問題はしばしば看護チームの対応のまずさにある”ということである。その後この教訓は、ナースコールを頻繁に押す患者や、不定愁訴の多い患者の場合に役立てられている。
(出典:『看護カンファレンス 第2版』11ページ、医学書院)
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