20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

ゼミ形式の学習方法が
最も高度な学習形態であった

 東京看護学セミナーでの20年にわたる学習法とその成果から、ゼミ形式の学習方法が、もっとも高度な学習形態であることは、私自身のこれまでの学びの過程で実感してきたことでもあった。セミナーでは、指導者のいない自主的学習集団を標榜し、テーマに添って定例の学習や共同研究を続けていた。講師を招く学習も行ったが、たとえば、武谷三男による技術論講座では、決して一方的な講義はなく、いつでも受講者の自発的なプレゼンテーションに基づいて、求めている疑問の解明に応じる師の姿があった。

 問題意識を煮詰める過程で読んだ文献や図書の行間からの学びが、討論過程で活かされ次のステップへの足がかりとなった。

(出典:『看護実践 経験知から創造へ 健和会臨床看護学研究所20年の歩み』124ページ、看護の科学社)

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