検査・治療の帰室後の急変に注意!今回はERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)の目的や検査の流れ、帰室後の状態と注意点をわかりやすく解説します。

ERCPとは?胆道疾患の診断などを目的に実施

 内視鏡を使用し、十二指腸側から胆管や膵管を造影する検査を内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography、ERCP)といいます。内視鏡とカテーテルを用いて本来の胆管や膵管の流れとは逆方向から造影して観察します。それでは、なぜ胆管や膵管の流れを見る必要があるのでしょうか?

 ふだん、胆管と膵管は図1のように合流して十二指腸へとそれぞれ胆汁および膵液が排泄されます。例えば何らかの原因(腫瘍や結石など)で胆管に問題が生じると胆汁の流れが悪くなり、上流の胆管が拡張します。胆汁の流れが悪くなると、胆汁をうまく排泄できなくなり黄疸(閉塞性黄疸)となります。

図1 胆汁・膵液の流れ

胆汁・膵液の流れ

 ERCPは閉塞性黄疸の原因検索や、以下の膵臓・胆道・乳頭部の疾患の診断目的で行われます。
●膵臓疾患
膵臓腫瘍、膵管狭窄、膵嚢胞、膵石
●胆道疾患
総胆管結石、急性胆管炎、胆道狭窄・拡張、乳頭腫瘍、胆道腫瘍、閉塞性黄疸

もともとのリスク状態

●腹痛
●悪心
●黄疸

口腔から内視鏡スコープを挿入、体位には苦痛を伴う

 ERCPは、入室より1時間程度で終了します(下記参照)。

この記事は会員限定記事です。