11月に発売された『「解剖」+「はたらき」とリンクする 整形外科の疾患と治療』。スポーツ診療にも精通した部位別スペシャリストの医師たちが、頻度の高い慢性疾患と外傷をていねいに解説した1冊です。
 そんな本書の試し読み記事を、全3回でお届け!第1回は「腰痛圧迫骨折(骨粗鬆症性)」についてです。

【第2回】整形外科ナースに向けて解説!肩の慢性疾患:腱板断裂
【第3回】整形外科ナースに向けて解説!膝関節の慢性疾患:変形性膝関節症

1 病態

 骨粗鬆症に起因する骨折のなかで最も多い骨折です。特に閉経後の高齢女性に多くみられます。
 圧壊により変形が高度になった場合や、骨癒合不全や偽関節となると腰部痛が持続します。遅発性に下肢麻痺を生じるケースでは、手術が必要となることがあります。

腰椎圧迫骨折の原因
●軽微な外傷
尻もち、転倒など
●いつのまにか骨折
特に背中が痛くなった経験がないのに、背骨がつぶれて骨折している(押しつぶされたように変形している)状態

KEY WORD

偽関節▶異常な可動性と痛み。骨折部が6か月以上癒合しない状態のことで、本来関節ではない部分が関節のように動くことをいう。

腰椎圧迫骨折の病態

2 症状

 腰背部痛と下肢のしびれや痛み、筋力低下などをきたすことがあります。
 安静に寝ていると痛みは軽度ですが、寝起きの動作や立ち上がり動作で痛みが悪化します。痛みが強いと腰が曲がってくるようになり、身長も低下します。
 骨癒合すると痛みは和らぎますが、高度に腰が曲がってしまうと疲れて腰が痛くなる(疲労性腰痛)ことや、逆流性食道炎のような通過障害をきたすこともあります。

3 検査

 単純X線写真で通常は診断できますが、変形のない場合もあり、早期発見と確定診断にはMRIが有用です。またMRIは、偽関節発生リスクなど予後判定にも有用とされています。

腰部圧迫骨折の MRI