20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
医療技術の進歩が
看護の初歩的な技術を
後退させた側面が確かにある
尿路感染の機会は、安易な留置カテーテル挿入により各段に増えてきた。また、カテーテル挿入者に対する膀胱洗浄も、感染の契機になると指摘されている。そこで、感染予防の点からも経口的な水分補給がきわめて大切である。だが、輸液の進歩による経口摂取軽視の風潮が、感染を助長している面もある。
消毒薬がどのようであろうと、感染予防の基本が流水のもとでの物理的な手洗いであり、種々の処置や検査の過程での操作にあるとしたら、感染予防、とりわけ院内感染の予防に対する看護師の責任は重いと言えよう。医療技術の進歩が看護の初歩的な技術を後退させた側面が確かにある。
(出典:『看護技術の現在 看護の時代2』18ページ、勁草書房)
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