20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
新たな発想は包丁を手にしたときや
まさに今味見の瞬間といったときに
生まれるものです
食べることへの関心と、食事を作ることへの興味は、子ども時代から続いています。不条理な戦時下での空腹体験も強く影響していますが、乏しい食材をあれこれ工夫して食膳を整えた祖母から受け継いだことの多さを思うこの頃です。(中略)
共働き主婦としての数十年間、できるだけ手をかけないで美味しい食事を作ることは、厳しい三交代制の看護師時代から現在までの、ふつうの妻ではない、ふつうの母親ではなかった私の密かな義務感でもありました。さりとて調理をすることは決して苦痛ではなく、多忙であればあるほどリフレッシュの機会でもありました。
それどころか、新たな発想は包丁を手にしたときや、まさに今味見の瞬間といったときに生まれるものです。「習うより慣れろ」通り、計量スプーンは飾り物。何時でも、お塩ぱっぱ、胡椒ガリガリ、お醤油タラーっという感じで、結構満足できる味になるから不思議。
(出典:『看護実践の科学』29(13)-96、看護の科学社)
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