最近の看護師国家試験はどんな問題が出ている?ひさびさに過去問題を解いて、看護の現場にかかわる言葉や法律・制度の変化を学びましょう!

最近、出題されている言葉の意味

問題1 患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、患者が社会生活に必要な技能や能力を獲得する支援を意味するのはどれか。
1.リカバリ
2.ストレングス
3.レジリエンス
4.エンパワメント

(第112回午前問題66 )

答え:4

自らの健康管理に積極的にかかわることを支援する

 設問の指す言葉は選択肢4のエンパワメント。リカバリは特に、精神疾患からの回復プロセスを指す。ストレングスは患者がもつ回復力や強み、レジリエンスは困難やストレス、逆境に直面した際に適応し、立ち直る力をいう。

問題2 ジェンダーの定義について正しいのはどれか。
1.生物学的な性
2.社会的文化的な性
3.自己認識している性
4.性的指向の対象となる性

(第111回午前問題61)

答え:2

社会的・文化的に形成された性の概念

 生物学的な性(Sex)は、生まれつきの性別(男性・女性など)を指す。自己認識している性はジェンダー・アイデンティティ(gender identity)であり、ジェンダーの概念とはやや異なる。性的指向(sexual orientation)は、恋愛や性的な関心の対象(異性・同性・両性など)を指す。

問題3 子どもに医療処置を行う際、看護師が行うディストラクションはどれか。
1.処置後に子どものがんばりを認める。
2.人形を用いて子どもに処置を説明する。
3.子どもの対処行動のパターンを把握する。
4.子どもの注意を処置ではなく他のものに向ける。

(第113回午前問題56)

答え:4

子どもの恐怖や苦痛を軽減する方法

 ディストラクション(distraction)とは、医療処置中の子どもの注意を痛みや不安からそらし、別のものに向けることで、恐怖や苦痛を軽減する方法である。絵本を見せる、おもちゃを持たせるなども有効である。「人形を用いて子どもに処置を説明する」(選択肢2)のは、プレパレーション(処置前の準備・説明)である。

問題4 患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する治療を選択できるようにしていくのはどれか。
1.心理教育
2.共同意思決定
3.ストレングス
4.アドヒアランス

(第113回午前問題64)

答え:2

患者の主体性をより意識した共同意思決定(SDM)

 共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)は、患者・家族・医療者が協力して、患者にとって最も望ましい治療を選択するプロセスを指す。医療者は患者に十分な情報を提供し、患者の価値観や希望を尊重しながら意思決定を支援する。
 心理教育とは、患者や家族に対し、病気や治療に関する正しい知識を提供し、理解を深めるための教育的アプローチである。ストレングス(strengths)は個人の強みや資源に焦点を当て、問題解決や成長を促すアプローチである。アドヒアランス(adherence)は、患者が医師の説明を理解し、納得したうえで治療計画に参加することである。

新しい法律や制度

この法律、知ってる?

次の法律のうち最も新しく制定されたのはどれか。
1.未成年者喫煙禁止法
2.麻薬及び向精神薬取締法
3.アルコール健康障害対策基本法
4.ギャンブル等依存症対策基本法

(第111回午後問題31)

答え:4

2018年に制定されたギャンブル等依存症対策基本法

 ギャンブル等依存症対策基本法(2018年制定)は、国や地方自治体がギャンブル依存症の対策を推進する責務を規定している。カジノを含む統合型リゾート(IR)の導入に伴い、ギャンブル依存症対策の必要性が高まり制定された。未成年者喫煙禁止法(1900年制定)は、満20歳未満の者が喫煙することを禁止している。
 麻薬及び向精神薬取締法(1953年制定)は、麻薬・向精神薬の輸入、製造、販売、所持、使用などを厳しく規制している。アルコール健康障害対策基本法(2013年制定)は、国や地方自治体に対し、アルコール健康障害対策を推進する責務を規定している。

予防接種

定期予防接種について正しいのはどれか。
1. BCG接種前にツベルクリン反応を実施する。
2.ロタウイルスワクチンは不活化ワクチンである。
3.ポリオウイルスワクチンの定期接種は廃止された。
4.麻疹ウイルスワクチンは就学までに4回接種する。
5.ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンは筋肉内注射する。

(第112回午前問題85)

答え:5

HPVワクチンは筋肉内注射で接種

 HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、筋肉内注射で接種する。
 以前はツベルクリン反応(結核感染の有無を確認する検査)を実施してからBCG接種を行っていたが、現在の定期接種ではツベルクリン反応は実施せず、生後5~8か月の乳児に直接BCGワクチンを接種する。
 ロタウイルスワクチンは生ワクチンである。
 定期接種としてのポリオワクチンは廃止されておらず、現在は不活化ポリオワクチン(IPV)が定期接種として実施されている。
 麻疹ワクチンは、1歳と就学前の1年間(5~6歳)に2回接種するのが定期接種のスケジュールである(麻疹風疹混合ワクチン〈MRワクチン〉として接種)。

障害者総合支援法

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づき、精神障害者に適用されるのはどれか。
1.障害基礎年金
2.一定割合の雇用義務
3.精神障害者保健福祉手帳
4.自立支援医療(精神通院医療)

(第112回午前問題67)

答え:4

自立支援医療(精神通院医療)は、 障害者総合支援法に基づく制度

 自立支援医療(精神通院医療)は、障害者総合支援法に基づく制度であり、精神障害者が医療費の自己負担を軽減できる制度である。精神疾患を理由に通院している患者が対象となり、原則として自己負担が1割になる。
 障害基礎年金は、国民年金に加入している人が対象であり、精神障害者に限らず、身体障害や知的障害のある人も含まれる。障害者総合支援法ではなく、国民年金法に基づく制度である。
 障害者雇用促進法に基づき、事業主には一定割合の障害者を雇用する義務がある。精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に基づく制度である。

DV法

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について正しいのはどれか。
1.配偶者暴力相談支援センターは被害者の保護命令を出すことができる。
2.配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
3.配偶者からの暴力を発見したときは、保健所へ通報する。
4.加害者の矯正が法の目的に含まれる。

(第111回午後問題63)

答え:2

法律上の配偶者だけでなく、 事実婚(内縁関係)や離婚後の元配偶者も含まれる

 保護命令を出せるのは裁判所であり、配偶者暴力相談支援センターにはその権限はない。配偶者暴力相談支援センターは相談支援やシェルターの提供、警察・関係機関との連携を行う。DVを発見した場合は、警察や配偶者暴力相談支援センターに通報する。DV防止法の主な目的は、被害者の保護と支援であり、加害者の矯正は法の目的には含まれていない。加害者への対応は、別途、自治体や支援団体のプログラムで行われることが多い。

がん対策基本法

がん対策基本法で定められているのはどれか。
1.肝炎ウイルス検査の実施を推進する。
2.受動喫煙のない職場環境を整備する。
3.学校等でのがんに関する教育を推進する。
4.がん診療連携拠点病院にがん相談支援センターを設置する。

(第113回午後問題31)

答え:3

学校におけるがん教育の推進が明記されている

 がん対策基本法では、学校におけるがん教育の推進が明記されており、がんの予防や早期発見に関する知識を広めることが求められている。
 肝炎ウイルス検査の推進は、肝炎対策基本法に基づく施策である。受動喫煙防止は健康増進法に基づいて進められている。がん診療連携拠点病院にはがん相談支援センターの設置が義務づけられているが、厚生労働省の施策である。

労働安全衛生法

職員数が300人の病院の看護師の働き方に関するマネジメントで、労働安全衛生法に基づいて規定されているのはどれか。
1.1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査を行う。
2.8時間を超える夜勤の時は1時間以上の休憩時間を確保する。
3.生理日に就業が著しく困難な場合は休暇の請求ができる。
4.妊娠中は請求すれば時間外労働が免除される。

(第112回午前問題73)

答え:1

年1回のストレスチェックが義務化

 労働安全衛生法では、従業員50人以上の事業場に対して、年1回のストレスチェックを義務づけている。
 労働基準法では、6時間を超える労働に対して45分以上の休憩(6時間以上8時間以内の場合は45分、8時間を超える場合は1時間)を義務づけている。ただし、夜勤特有の休憩時間の規定は労働安全衛生法では定められていない。
 生理日に就業が著しく困難な場合の休暇の請求は、労働基準法に基づく「生理休暇」の規定である。妊娠中の時間外労働の免除は、労働基準法に基づく「母性保護規定」に関するものである。

育児・介護休業法

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉における介護休業の取得で正しいのはどれか。
1.介護休業は分割して取得することはできない。
2.介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。
3.要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
4.介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。

(第111回午前問題30)

答え:3

要介護状態にある家族を介護するために取得可能

 介護休業は分割して最大3回まで取得可能(法改正により柔軟な取得が認められている)。介護休業の取得期間は通算93日(約3か月)まで。介護休業は、家庭で介護をするための制度であり、施設に入所している家族の面会を理由に取得することは認められていない。

看護師等の人材確保の促進に関する法律

看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている、離職した看護師の復職の支援に関連する制度はどれか。
1.看護師等免許保持者の届出
2.特定行為に係る研修
3.教育訓練給付金
4.業務従事者届

(第111回午前問題74)

答え:1

離職した看護師が復職しやすいようにする看護師等免許保持者の届出制度

 看護師等免許保持者の届出制度は、離職した看護師が復職しやすいように、都道府県ナースセンターが支援を行う制度。免許を持っているが現在就業していない看護師等が、定期的に届出を行うことで、就業支援の情報提供を受けることができる。2015年から努力義務化された。
 特定行為研修は、看護師がより高度な医療行為を行うための研修であり、復職支援を目的とした制度ではない。主に医師の指示のもとで行う診療補助の拡大を目的としている。
 教育訓練給付金は、雇用保険の制度で再就職やスキルアップを目的とした職業訓練の支援制度であり、看護師免許の取得や復職支援のための直接的な制度ではない。
 業務従事者届は、看護師が就業している場合に都道府県へ提出する義務のある届出であり、離職者の復職支援とは関係がない。

自殺対策基本法

自殺対策基本法について正しいのはどれか。
1.自殺対策強化月間を設けることを定めている。
2.国の責務としてゲートキーパーの養成を定めている。
3.民間団体による地域自殺対策推進センターの設置を定めている。
4.事業主が職場のハラスメントの防止に必要な措置を講じることを義務付けている。

(第113回午前問題63)

答え:1

毎年3月は「自殺対策強化月間」

 自殺対策基本法は、自殺対策を総合的に推進し、自殺の防止や自殺者の親族等に対する支援の充実を図ることを目的としている。自殺対策強化月間を設けることを定めている。
 ゲートキーパーとは日本語では「門番」で、「自殺を未然に防ぐために、悩んでいる人を見守り、声をかけ、支援へつなぐ人」である。ゲートキーパーの養成は自殺対策の重要な要素だが、自殺対策基本法において国の責務として明記されているわけではない。また、民間団体による地域自殺対策推進センターの設置についての規定は、自殺対策基本法にはない。
 職場のハラスメント防止に関する措置は、労働関連法規で定められている。

※この記事は『エキスパートナース』2025年定期購読特典の記事を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。