褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回は排泄物で浸軟した皮膚のケアについて紹介します。
この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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排泄物で浸軟した尾骨部D3褥瘡へのケア方法は?
〈症例〉
D3-e3s3i0g1n0p0:7(点)
●70歳代、女性。
●誤嚥性肺炎で乳井に、入院前より障害があり、日常生活自立度C1。
●褥瘡部位は尾骨部で、創周囲に浸軟を伴う。

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創周囲を保護し排泄物を接触させないようにする
「浸軟」とは「ふやけ」のことです。浸軟の原因が失禁によるものであれば、創部、創周囲は排泄物で汚染されています。
そこで、創周囲皮膚を含めて、創部に排泄物を接触させない環境をつくります。例えば、ハイドロコロイドドレッシング材で被覆し、さらにポリウレタンフィルムで覆います。 ポリウレタンフィルムを貼付するときは、排泄物が入り込まないように、殿裂の皮膚をしわがないように広げて貼付します。
排泄物による汚染はそのつど洗浄し、軟膏を塗布する
排泄物に汚染されたら、創部を創周囲皮膚も含め洗浄し、水分を拭き取ります。創部は浸軟しているので、吸水性のある基剤の軟膏(ユーパスタコーワ軟膏など)を塗布します。
排泄物による汚染があれば、そのたびに洗浄し、軟膏を塗布します。
(第15回)

