大手企業などで春闘の妥結結果が公表され、「満額回答」「組合の要求以上」という結果がニュースを賑わせています。ベースアップやボーナス(一時金)などで「賃上げ」を行う企業が増えているなかで、医療従事者の給料は上がるのでしょうか。

そもそも、看護師の給料の平均はどのくらい?

 そもそも、看護師の平均的な給料はどのくらいなのでしょう。2020年5月の民間調査によると、看護師の平均賃金は25万8,500円(月給)という数字が出されています。

 しかも地域差が大きく、東京、神奈川、大阪は高く(29~30万円)、宮崎、熊本、佐賀県(20~22万円)はそこから10万円も下がるというデータが出されています。全産業の平均給与は36万円、医療職は33万円ですから、医療職全体でも待遇は決していいとは言えません。

2024年度診療報酬改定で実施される医療関係職種の賃上げ

 4年にもわたるコロナの影響もあって、看護師の離職は増え、どこの医療機関も人材不足に悩んでいます。そこで、国では医療関係職種の処遇改善(賃上げ)に本格的に取り組むこととし、今年の診療報酬改定でプラス改定を決めました。2024年度にはベースアップ分で2.5%の賃上げをすることになりました。

 具体的には、今回の診療報酬改定で新設された「外来・在宅ベースアップ評価料」です。これは(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれています。評価料(Ⅰ)では、初診時6点、再診時2点がつきます。これによって、看護師、看護補助者、薬剤師などの2.3%の賃上げを目指しています。

 しかし、(Ⅰ)はこのように一律点数であるために、看護師の配置数が多い医療機関では十分な処遇改善が行えない可能性があります。このような病院は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)を算定して1.2%の賃上げを可能にしています。

実際どうなるかは、自分の給与明細を確認しよう

 これらは原則的に、「基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げであること」「賃金改善を実施する項目以外の賃金項目の水準を低下させないこと」が決められています。つまり、「基本給は上がったけど手当を下げる」などのことをしてはいけないのです。

 ただし、医療機関によってできる処遇改善の度合いが違うことも考慮されていること、また、どの職種の賃金をどのくらい上げるかは、医療機関が決めることになっていますから、病院の経営者次第ということになります。

 今回の診療報酬改定の施行は6月1日からです。もちろん経過措置はあるでしょうが、ご自分の給与明細もチェックしておいたほうがいいでしょう。

 詳しくは、厚生労働省の「令和6年度診療報酬改定について」をご覧ください1

※『エキスパートナース』2024年6月号(5月20日発行)では、特集「2024年度 診療報酬改定 ナースがおさえる8つのこと」を掲載予定です。

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https://www.shorinsha.co.jp/news/n100876.html

1.厚生労働省ホームページ:令和6年度診療報酬改定について.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

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