2020~2021年ころから慢性透析患者総数の増加傾向の鈍化、人口100万人あたりの透析患者有病率の減少などがみられていますが、世界的規模から日本での透析患者が多い事実は変わりません。しかしそのようななかで、透析治療において優秀な生存率を確立しているのは、透析医療者による功績にほかなりません。

 2024年6月7~9日に、第69回日本透析医学会学術集会・総会が神奈川県にて開催されました。日本透析医学会(武本佳昭理事長)は1968年に人工透析研究会として発足し、透析療法を中心とした血液浄化療法に関する学術の発展に寄与することを目的として活動しています。

 同学術集会のテーマは「前進 腎代替療法 ~次世代のinterprofessional academismを目指して~」。「interprofessional academism」=「チーム医療の叡智」の意で、医療チームが在宅透析や施設透析、腎移植のすべてを通して腎代替医療の担い手となり、腎臓病を抱える患者さんへの医療を生涯通じて支えるべき、といった考えのもとつけられました。

最先端の治療から緩和治療まで、透析医療の議題は多岐にわたる

 講演・ポスター展示ともに非常に多くの発表がなされ、最先端の治療やケアに関すること、次世代を見すえた課題への取り組みについても多くの講演で取り上げられていました。

 8日(土)には、日本腎不全看護学会と日本透析医学会の合同企画シンポジウム「Successful aging/terminal stageを目指した腎不全看護」が開催され、高齢患者にスポットを当て、「患者のもてる力の支援」「意思決定支援」「ターミナルステージでの支援」などについて各演者の経験を交えた発表が行われました。
 ほか講演でも、現代におけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)やCKM(保存的腎臓療法)、緩和的透析といった患者の終末期を意識した内容を含んだ発表・質疑も活発に行われ、熱心に聞き入る参加者の姿も多く見られました。。

 次回、第70回日本透析医学会学術集会・総会は、2025年6月26日(木)~29日(日)に大阪にて開催予定です(※6月26日は、理事会、総会<評議員のみ出席>)。

講演会場を行き来する、多くの参加者。
会場に設定されたフォトスポット。参加者らが自由に撮影できる。

○学術集会概要
学会名:第69回日本透析学会学術集会・総会
テーマ:前進 腎代替療法 ~次世代のinterprofessional academismを目指して~
会期:2024年6月7日(金)~9日(日)
会場:パシフィコ横浜
会長:酒井 謙(東邦大学医学部腎臓学講座 教授)

○学会情報
一般社団法人 日本透析医学会
HP:https://www.jsdt.or.jp/