20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
看護の実践は
平和あってこそ実現する
ものである
私は、満州事変が始まった年に生まれ、日中戦争をはさんで太平洋戦争の終結までの15年間、戦時体制のもとで過ごした。戦争は、人々の生きる権利を無視し殺人を合法化する。希望も夢も強制的に奪い去る。あの大戦で、日本だけでも230万人の戦死者と80万人の民間犠牲者、56万人の未亡人を出した。(中略)
生命の安全を守り、人間らしくあることを保障する看護師として、心身の不具合の程度のいかんにかかわらず、その命が幼くても高齢であっても、良心に恥じない看護、人々のQOL に資する看護、被災者の悲嘆の諸相に向き合い寄り添う看護の実践は、平和あってこそ実現するものであることを、繰り返し主張したい。
(出典:『看護実践の科学』39(1)-1、看護の科学社)
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