川嶋みどり 看護の羅針盤 第135回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　人類が共同生活をはじめた昔から、生命をおびやかす自然の脅威と闘う過程で、安全な住居を作ったり、調理の方法を身につけた。そして、乳幼児や老人、傷ついたり病に倒れた人々に対して、いたわりなぐさめた。痛みや熱に対しても、水で冷やしたり、焼いた石であたためる方法をあみ出した。いわば今日の看護の原型を原始時代の生活の中に見ることができる。（中略）

　看護実践は、看護師の身体的諸器官を使って、患者の身体・精神・生活面のよりよい変化を目ざして働きかける過程である。その根底に、積極的な生命の肯定と、患者の人権を尊重する立場がつらぬかれていなければならない。

（出典：『目でみる患者援助の基本 第2版』4ページ、医学書院）

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら