2025年は戦後80年。原爆投下直後の長崎を舞台に、人々の命を救おうと奔走した看護学生たちを描いた映画『長崎―閃光の影で―』が公開中です。
日本赤十字社の看護師たちによる手記が原案
原案は、日本赤十字社の看護師たちによる手記「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」。当時、各地から約500人の看護師が長崎に召集され、被爆者の救護にあたったといいます。
本作の中心となるのは、看護学生の田中スミ(演:菊池日菜子さん)、大野アツ子(演:小野花梨さん)、岩永ミサヲ(演:川床明日香さん)。3人は空襲による休校を機に、大阪から長崎へと帰郷します。
家族や大切な人との再会を喜ぶスミ。優秀なアツ子は日本赤十字社長崎支部に自ら通い、ミサヲは父とともに礼拝へ。戦禍のなかにも希望を見いだして過ごしていました。そこへ、原爆が投下されたのです。

極限状態での懸命な救護活動
一瞬で廃墟となり、助けを求める人や亡骸であふれ返る長崎の町。3人は救護所で再会し、未熟ながらも日本赤十字社の看護師とともに救護にあたることに――。海水を汲んでつくる医療用生理食塩水、麻酔なし・ノコギリでの足の切断。そんな医療態勢もままならない状況での、1か月におよぶ救護活動が始まります。

3人で焼け野原を歩くなか、アツ子とミサヲが本音をぶつけ合うシーンが印象的。原爆投下時に足を負傷したアツ子は、多くの命のはかなさを目の当たりにした絶望感から敵への憎しみを叫びます。一方で、信仰心から「赦したい」と口にしながらも気持ちが揺れ動くミサヲ。3人の誰も悪いわけではないのに、言い合いをして怒り、悲しみ、涙を流す姿が胸を打ちます。
また、救護所の看護師たちも葛藤を抱えています。責任者として気丈にふるまい続ける婦長のトキ子(演:水崎綾女さん)や、子どもの安否がわからないまま働くキヨ(演:呉城久美さん)など。看護師として、一人の女性として、ときに多面的な顔を見せる様子が、まっすぐな3人の視点を通して描かれます。
死にゆく人ばかりの救護所で、ひと筋の光のように見えるのが新しい命の誕生。目が見えなくなった妊婦の出産に、スミが立ち会います。生まれてきた子の存在は、スミが前を向くきっかけになったのではないでしょうか。
生き残った者にできるのは、生きること。そして忘れないでいること。忘れてはいけないことを子どもたちに伝えていく使命を、本作は思い出させてくれます。

福山雅治さんが主題歌のプロデュース・ディレクションを担当
主題歌は「クスノキ ―閃光の影で―」。長崎県出身の福山雅治さんが被爆クスノキを題材とし、2014年に発表した楽曲をアレンジしたものです。福山さんがプロデュース・ディレクションを行い、スミ役の菊池日菜子さん、アツ子役の小野花梨さん、ミサヲ役の川床明日香さんが歌唱しました。
本作には、原案に体験を寄せた元看護学生の山下フジヱさんが特別出演。語りは長崎出身で原爆を体験した美輪明宏さんが担当しています。監督・共同脚本を務めたのは、長崎出身の被爆3世である松本准平さん。

『長崎―閃光の影で―』
7月25日長崎先行公開/8月1日TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国公開
出演:
菊池日菜子
小野花梨 川床明日香
水崎綾女 渡辺大 田中偉登
呉城久美 坂ノ上茜 田畑志真 松尾百華 KAKAZU
加藤雅也 有森也実 萩原聖人 利重剛 / 池田秀一 山下フジヱ
南果歩 美輪明宏(語り)
原案:「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
監督:松本准平
脚本:松本准平 保木本佳子
主題歌:「クスノキ ―閃光の影で―」(アミューズ/Polydor Records)
作詞・作曲:福山雅治 編曲:福山雅治/井上鑑
歌唱:スミ(菊池日菜子)/アツ子(小野花梨)/ミサヲ(川床明日香)
制作プロダクション:SKY CASTLE FILM ふればり
配給:アークエンタテインメント
後援:長崎県 長崎市 公益財団法人 長崎平和推進協会
公式サイト:https://nagasaki-senkou-movie.jp
公式X:@nagasaki_senkou
2025年/日本/日本語/109分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/映倫G
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
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