人生の旅路で出合う本は、ときに道しるべとなり、ときに心を癒す力をもっています。
このシリーズでは、気になるあの人の「残りの人生でぜひ読んでみたい」「もう一度読み返しておきたい」と心に刻んだ、かけがえのない一冊をご紹介します。
それは、新たな視点を与えてくれるものかもしれませんし、過去に戻りながら自分を見つめ直す鍵となるかもしれません。
あなたにとっての「宿題書」は何ですか?
人生を豊かにする読書の旅へ、一緒に出かけましょう。
看護師のおともさんの「人生の宿題書」
『新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート』
日本看護協会出版会編集部編、日本看護協会出版会、2021年

『新型コロナ病棟ナース戦記 最前線の現場で起きていたこと』
倉原優著、メディカ出版、2021年

『救命』
犬養楓著、書肆侃侃房、2022年

難しいお題ですね……。すでに買っていて、いつかしっかり読もうと考えているのがこちらの3冊です。
①『新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート』
②『新型コロナ病棟ナース戦記 最前線の現場で起きていたこと』
③『救命』
①②は読むのにパワーがいるだろうなと感じています。コロナ禍は、看護師としてあれほど大きな感染症の渦に巻き込まれたこともなかったし、本当に死ぬかもしれないと思って働いた数年間でした。家を出るたび、「もう帰ってこられないかもしれない」と。1人1人の文章を、じっくりと読んでみたいですね。
③は、大阪の救命救急センターで働く救急科専門医が、コロナ禍に詠んだ詩を収めた詩集。途中まで読んだのですが、同じく前線にいた人間にとっては苦しかったですね。患者、家族、職場などへの苦悩が伝わってきます。
3冊とも、もう少し時間が経ったり、気持ちの区切りがついたりしたら読めるかもしれませんね。もしくは次の感染症の渦がやってきたときに、「前はどうだったっけ?」と思い出すために読むのかも。次の感染症禍で自分がもう前線を退いていたら、コロナ禍の危機感を振り返ることができると思います。
初出:『別冊エキスパートナースプラス』(2025年、照林社)