ユマニチュードの概要
●ユマニチュードは、「あなたは大切な存在です」と患者に伝えながらケアを届ける技術
● すべてのケアを、 ひと続きのシークエンスとして実施する
ユマニチュードは、 認知症患者以外にも効果があるとされている
ユマニチュードは、フランスで生まれた40年あまりの実績をもつ知覚・感情・言語による包括的なケア技法です。ケアをするときに相手の能力を奪わないという原則をもとに、「あなたは大切な存在です」というメッセージを相手が理解できる形で届けるための方法でもあります。
“高齢者のための”“認知症の人向けの”というように紹介されることが多いですが、どなたにでも使うことができます。
例えば、ICUの患者さんや、自閉スペクトラム症をもつ小児に対しても、ユマニチュードを行うことでよい効果が得られたことが報告されています。
ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」というコミュニケーションの要素を複数同時に組み合わせながらケアを実施する、という「マルチモーダル・ケアコミュニケーション技法」です。
さらに、すべてのケアについて「患者さんのところを訪れて、その方にケアを行い、その場を去るまで」を1つの物語(シークエンス)として実施します。
この技法の導入によって、認知症の行動・心理症状やケアに対する拒否の減少、看護師の職務に関する満足度の増加と離職率の低下、ICUのせん妄発症率や身体抑制の減少などの研究結果も報告されています。