この記事は『がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと』(西村元一著、照林社、2017年)を再構成したものです。
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ただ休むよりも、役割や居場所があることが力になる

 今回の入院では、たくさんの方がお見舞いに来てくださいました。また、このような状況にもかかわらず「回復したら、また一緒に仕事ができるように席を空けておくよ!」と言ってくださった方々もおられ、その言葉が闘病への意欲をもたらしてくれたことは間違いありません。

 「無理はしなくてもいいよ、ゆっくり休んだら!」と言われる方が大半ですが、やはり「何か役割があること」「自分の居場所があること」が今後療養するうえでの目標にもなりますし、生きていることを実感できるのではないかと今は思っています。当然、病状によって違ってくると思いますが……。

 ただ今後は、できるだけやりたいことだけに絞り、自分自身の時間、そして家族や仲間との時間をもっと大切にしていきたいというのが実感です。
 
 先日、幼なじみである国際医療福祉大学の高橋泰教授がお見舞いに来てくれました。いろいろ世間話をしたあとに「10年前と今はどういうふうに治療が変わったと思う?」と聞かれたので、「明らかに治療成績は今のほうが向上していると思うよ。そして10年前にはチーム医療なんてほとんどなかったと思う」と答えました。

 薬物療法は明らかに進歩してきており、手術に関しても器具や術後管理がこの数年で大きく変化してきています。そして何よりも、現在普通に見聞きする「チーム医療」は、ここ10年ほどで一般化されたと言っても過言ではないと思います。