褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回はMDRPU(医療関連機器褥瘡)の定義や予防法、対応について紹介します。

MDRPU(医療関連機器褥瘡)とは

medical device related pressure ulcer:医療関連機器褥瘡

MDRPU(医療関連機器褥瘡)の定義
医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡(self load related pressure ulcer)と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する。なお、尿道、消化管、気道等の粘膜に発生する創傷は含めない1

MDRPU(医療関連機器褥瘡)の評価方法
医療関連機器褥瘡の重症度、経過評価は、DESIGN-R®を用いてもよいとされている1
改定 DESIGN-R® 2020についてはこちら

MDRPU予防のためのマスクフィッティングとは

 NPPV(非侵襲的陽圧換気)では、マスクフィッティングの成功が呼吸状態を改善させる鍵となります。「だからマスクはしっかり装着したい!とはいえ、強すぎるマスクの締めつけはMDRPU発生の原因となる……」こんな矛盾に困ったことはありませんか?
 ここでは、適切なマスクフィッティングや皮膚の保護に役立つポイントを紹介します。

 急性期の病態にある患者さんは、頻拍・頻呼吸で冷や汗をかいており、とても苦しそうに見えますよね?

 しかし、だからといってマスクを強引に装着してはいけません。マスクをすぐに受け入れられる患者さんもいますが、そうでない患者さんの場合は、マスクを嫌がってしまい治療がうまくいかないからです。 患者さんの理解を得て、治療に協力してもらうことは、NPPVを成功させるために最も大切な要素です。
 以下に示す手順を参考に、時間をかけてマスクを受け入れてもらいましょう。

NPPV導入時の手順

●患者さんの手にマスクを当て、「少し強めの風が来ます」と説明して送気を感じてもらう
●最初は設定圧(PEEP)を低く設定し、医療者がマスクを手に持ち、患者さんの顔に当てる
●しばらく陽圧換気に慣れてもらう。嫌がるときは、酸素マスクに戻して休憩を挟む
●患者さんが慣れたところでマスクをストラップで固定し、目標の設定圧まで上げる

NPPV(非侵襲的陽圧換気)について詳しく知るならこちら

 マスクサイズの選択、フィッティングのポイントは、図1図2に示しました。装着後の管理についてもチェックしてください。

図1 フルフェイスマスクのサイズ選択のポイント

フルフェイスマスクのサイズ選択のポイント

図2 基本的なマスクフィッティング

基本的なマスクフィッティング
NPPV 装着後の管理のチェックポイント

●患者さんの容認性がよく、マスク装着による痛みがない。呼吸に同調している
●マスクサイズが適切であり、左右均等に装着できている
●ストラップがよじれていない。耳介を圧迫していない
●鼻根・口唇部等からの過剰な空気漏れがなく、リーク量が適切である
●マスククッションにめくれや捻れがなく、全体が均等な強さで装着できている
●マスク内に過剰な水滴がない
●定期的に皮膚の評価を行い、マスクと皮膚を清潔に保っている(1日3回以上)
●経鼻胃管を挿入している場合、皮膚保護材等を使用して皮膚を保護している

リークはあったほうがいい!?

 マスクフィッティングを行うとき、「リークをなくさなければ!」と思っていませんか? じつは、「リークが少ない」=「よいフィッティング」ではありません。

 NPPV専用装置は、リークすることを前提に設計されているため、ある程度のリークは許容できます。

 一般的には20~30L/分のリークが適切といわれ、それより少ない場合はストラップを締めすぎているかもしれません。40L/分を超えるリークがある場合は、うまく呼吸に同調しない恐れがあるため、フィッティングを見直してみてください。 適切なリーク量は機種やマスクの種類等によって異なるため、臨床工学技士に確認しましょう。

皮膚保護材はどこに貼る?

 表1に示したように、マスクの種類によってMDRPUの好発部位は異なるため、好発部位を保護するように皮膚保護材を使用します。

 しかし、保護材の貼付によってリーク量が増え、呼吸同調性が悪化してしまっては本末転倒です。リーク量や呼吸状態を確認しながら、適切なフィッティングを心がけましょう。 保護材貼付後も、発赤や浸軟がないかこまめに観察し、皮膚を清潔に保ちます。

表1 主なマスクの種類・特徴とMDRPU好発部位

主なマスクの種類・特徴とMDRPU好発部位

MDRPU(医療関連機器褥瘡)への対応方法は?

①皮膚保護材の変更

 治癒促進を目的とした皮膚保護材を使用します(表2)。創の場所や大きさによって、使用する保護材の種類も異なるため、皮膚・排泄ケア認定看護師に相談しましょう。

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