褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回はMDRPU(医療関連機器褥瘡)の定義や予防法、対応について紹介します。

MDRPUとは

medical device related pressure ulcer:医療関連機器褥瘡

①定義
医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡(self load related pressure ulcer)と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する。なお、尿道、消化管、気道等の粘膜に発生する創傷は含めない1

②評価方法
医療関連機器褥瘡の重症度、経過評価は、DESIGN-R®を用いてもよいとされている1
※DESIGN-R®【第10回】褥瘡の評価を参照

効果的かつMDRPUを起こさないマスクフィッティングとは

 NPPV(非侵襲的陽圧換気)では、マスクフィッティングの成功が呼吸状態を改善させる鍵となります。「だからマスクはしっかり装着したい!とはいえ、強すぎるマスクの締めつけはMDRPU発生の原因となる……」こんな矛盾に困ったことはありませんか?
 ここでは、適切なマスクフィッティングや皮膚の保護に役立つポイントを紹介します。

よいマスクフィッティングのコツ

 急性期の病態にある患者さんは、頻拍・頻呼吸で冷や汗をかいており、とても苦しそうに見えますよね?

 しかし、だからといってマスクを強引に装着してはいけません。マスクをすぐに受け入れられる患者さんもいますが、そうでない患者さんの場合は、マスクを嫌がってしまい治療がうまくいかないからです。 患者さんの理解を得て、治療に協力してもらうことは、NPPVを成功させるために最も大切な要素です。

 以下に示す手順を参考に、時間をかけてマスクを受け入れてもらいましょう。

NPPV導入時の手順

●患者さんの手にマスクを当て、「少し強めの風が来ます」と説明して送気を感じてもらう
●最初は設定圧(PEEP)を低く設定し、医療者がマスクを手に持ち、患者さんの顔に当てる
●しばらく陽圧換気に慣れてもらう。嫌がるときは、酸素マスクに戻して休憩を挟む
●患者さんが慣れたところでマスクをストラップで固定し、目標の設定圧まで上げる

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