病状増悪時の対応の標準化を目的に各種推奨が示される
3月27日、日本集中治療医学会RRS運用指針作成ワーキンググループより『Rapid Response System運用指針』が公開されました¹。Rapid Response System(RRS:院内迅速対応システム)は、患者の容態変化を早期発見し適切な介入を行う医療安全管理システムで、本指針では「患者の重篤有害事象を軽減すること」が目的とされています¹。
本指針の推奨文は「組織体制」と「RRSの運用」から構成されています。組織体制については病院管理者が責任者となって運営委員会を設置し、主治医チームとRRSの連携による医療安全管理体制の充実を図れる環境を整備することのほか、運営委員会としてRRSの計画・監督・質改善を行うこと、各施設で最適化された運営マニュアルをつくることなどが推奨されています¹。
RRSの運用については運営委員会主導のRRSの維持・運営や、全職員へのRRS関連教育・トレーニング実施が推奨されているほか、RRSの起動基準も例示されました(表)¹。また、運用にあたり主治医チームとMET*¹/RRT*²の相互連携が推奨されています¹。本指針ではMET/RRTに「重症患者管理の経験を有する医師もしくは看護師を含むこと」が推奨されるなど、看護職の重要性も示されました¹。
*1【MET】medical emergency team:医師を1名以上含み、気管挿管などの二次救命処置をベッドサイドで開始できる能力を備えた対応チーム¹。
*2【RRT】rapid response team:医師を必ずしも含まず、起動対象となった患者の初期評価をし、基本的な初期対応を行ったうえで、必要に応じて医師の緊急招集などを行うチーム¹。
表 RRSの起動基準(運営マニュアルに含める際の記載例)
A:気道
気道閉塞疑い、ストライダー
気管チューブ・気管切開カニューレの異常
B:呼吸
努力呼吸、不規則な呼吸パターン
呼吸数9回/分以下、30回/分以上
SpO₂:92%以下、10L/分以上の酸素投与量
C:循環
心拍数40回/分未満、130回/分以上
収縮期血圧90mmHg以下、200mmHg以上
尿量4時間で50mL以下
D:意識
急激な意識レベルの低下、覚醒しない患者
持続、または繰り返す痙攣
その他
何らかの懸念、明らかな出血
(文献1より一部改変して引用)
- 1.日本集中治療医学会RRS運用指針作成ワーキンググループ:委員会報告 Rapid Response
System運用指針.日本集中治療医学会雑誌 2025;32:1-14.
https://www.jsicm.org/publication/pdf/JSICM_RRS_20250315.pdf(2025.4.20アクセス)