代表的な不整脈の心電図波形が読めるように、波形の読み方の要点を図解付きでわかりやすく解説!今回は心房細動(AF)の波形の読み方を紹介します。また、心房細動(AF)による、脳梗塞や塞栓症のリスクや観察方法についてもおさえておきましょう。
心房細動の特徴は?
心房細動は、RR間隔は不規則で、P波がない波形です(①②)。基線に小さな揺れ(f 波)が出るのが特徴です(③)。心房の筋のさまざまな場所から刺激が出るため、このような不規則な波形となります。
QRS波の幅は正常ですが、心室内伝導障害があれば、刺激が迂回するぶん幅が広くなります(④)。
図1 心房細動の読み方


心房細動による影響
心房の動き(収縮)が一定でないので、心室に送り込まれる血液量が低下します。心室に血液が十分に溜まる前に拍出してしまうので、結果的に心拍出量が低下して、血圧が低下することがあります。
血圧の低下により、主要臓器への血液供給が低下することで、不可逆的な身体への影響を与えることがあり危険です。
心房内で血流がよどみ、血栓を形成しやすい状態です。脳梗塞など塞栓症のリスクが高いため、FASTチェックや意識レベルの確認を行いましょう(表1・図2)。
表1 脳梗塞の観察方法
意識レベルの変化
●普段の意識レベルと比較する
●GCS「8点」以下は重症、すぐドクターコール
Face:顔面麻痺
●真正面から観察し、目や口元の左右差を見る
●頬に触れて、感覚を聞く
Arm:上下肢麻痺
麻痺出現の有無を見るため、四肢運動を確認する
Speech:構音障害
●話しにくさの自覚症状の有無を確認する
●「パ」で唇の動き、「タ」で舌の動き、「カ」でのどの動きを確認するとわかりやすい
Time:いつから?
●いつごろから自覚したか確認する
●発症して4.5時間までは、t-PA(血栓溶解療法)ができる可能性があるので、急ぐ必要がある
図2 脳梗塞の観察方法(意識レベルの確認+FAST)

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