国内での研究をもとに、市民の意識向上の必要性を訴える
3月27日、日本循環器学会救急啓発部会は、心臓突然死を減らすことを目的とした声明「Strategies for
Reducing Sudden Cardiac Death by Raising Public Awareness」の日本語版を発表しました。同声明では「エビデンスに基づく胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の普及」といった市民向けの心肺蘇生教育などの介入、政策への提言、今後必要と想定されるエビデンスなどを示しています¹。

同声明によると、国内では年間8万人以上の心臓突然死が報告されており、海外でも心臓突然死は医学的・社会的に重大な問題とされています。そして、心臓突然死予防と心停止患者の社会復帰向上を目的としてこれまでの研究などから国内の現状を示し、「心原性院外心停止の改善の必要性」や「前駆症状の早期認識、早期治療の重要性」などについて説明されています(参照:日本循環器学会「STOP MI キャンペーン」 https://stop-mi.com)。それらと関連し、致死性不整脈の前駆症状、AEDの配置等について市民へ周知する必要があるとし、啓蒙活動の例も紹介しています(表)¹。
表 利便性を高めるAEDの設置について
*ただAEDを設置するだけでなく、市民に実際に使用できるようになってもらうためにこれらのことを考慮する必要がある
(AEDの配置にあたっては)以下の点に配慮することが望ましい
●心停止発生から5分以内に電気ショックができる場所に設置する
●建物の入り口付近など、誰でもすぐに見つけられる場所に設置する
●24時間いつでも使える場所に設置する
●心停止発生のリスクが高い場所に設置する
(文献1を参考に作成)
その他、政策提言として「マスメディアおよびソーシャルメディアを活用した啓発活動の促進による無症状患者の致死性不整脈予防」や「日本全国を網羅するAEDマップへの登録と救急医療サービス支援システム(EMS)への組み込み」などを推奨しています¹。
日本循環器学会救急啓発部会 委員の西山知佳先生(京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻先端中核看護科学講座 准教授)のコメント
心停止は、いつ、どこで、誰にでも起きる可能性があります。救急・循環器・集中治療領域以外で働いておられる方も必見です。
さらには、助産師、保健師、養護教諭、教員、行政職、スポーツ関係者など、どなたにも読んでいただきやすいように、できるだけ平易な表現を使い、イラストも交えて作成しました。
- 1.日本循環器学会救急啓発部会:市民意識の向上による心臓突然死減少へのアプローチ~一般社団法人 日本循環器学会 救急啓発部会からの提言~.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/Statement_JA_A4.pdf(2025.4.20アクセス)

