低流量の酸素投与時、酸素加湿は必要?1回換気量に占める供給酸素の割合や、酸素加湿による弊害、口渇の原因などを紹介しながら解説します。

●酸素加湿に関する学会・協会の見解
●鼻腔の役割と酸素加湿の必要性
●1回換気量あたりに占める供給酸素の割合
●口渇の原因

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Q. 定流量の酸素投与時、酸素加湿は必要ないって本当?

ひとこと回答
低流量酸素投与時は、1回換気量あたりの配管からの酸素が占める割合が少ないため、
必ずしも加湿は必要とされません。

酸素加湿に関する学会・協会の見解

 酸素加湿は、すべてのケースで必要というわけではありません。例えば、米国呼吸療法協会(AARC)では、上気道が正常であれば「経鼻カニューレで4L/分以下の酸素流量では加湿は必ずしも必要ない」1 と記載されています。

 また、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会、日本呼吸器学会では、「鼻カニュラでは3L/分まで、ベンチュリマスクでは酸素流量に関係なく酸素濃度40%までは、あえて酸素を加湿する必要はない」2 と記載されています。

鼻腔の役割と酸素加湿の必要性

 鼻腔は、豊富な血管をもつ粘膜で覆われています。鼻粘膜は線毛をもつ線毛円柱上皮からなり、粘膜を分泌する杯細胞が存在します。

 鼻腔を通る空気は、鼻粘膜に豊富にある血管によって温められ、湿った粘膜の上を通過する間に加湿されます。空気と鼻粘膜の接触する面積がかなり大きいため、空気の加温・加湿が効果的に行えます。
 人は通常、天然の加湿器である鼻腔を介して呼吸をしているため、鼻腔が正常に機能している場
合には、必ずしも酸素加湿を必要とはしません
。

 しかし、口呼吸や鼻腔がバイパスされてしまう気管挿管・気管切開下の場合は、天然の加温・加湿が機能しないまま、空気が肺に入ってしまいます。そのため、加温加湿器や人工鼻などによる加湿が必要になるわけです。加温加湿器の場合は、相対湿度にも注意が必要です3。

1回換気量あたりに占める供給酸素の割合

 1回換気量400mL、平均吸気時間1秒の患者さんに経鼻カニューレ3L/分の酸素を投与している場合は、配管から吸入する酸素流量は50mL、1回換気量として補足する室内空気は350mLとなります。したがって、1回換気量に占める供給酸素の割合は12.5%になります(図1)。

図1 1 回吸気量に占める酸素流量の割合(1 回換気量 400mL 、平均吸気時間 1 秒の患者さんの場合)

1 回吸気量に占める酸素流量の割合

 これが、同じ患者さんで、8L40%ベンチュリマスクを使用している場合は、図1の計算式のように、1回換気量に占める供給酸素の割合は24.0%となります。

 このことから、低流量やベンチュリマスク8L40%までの酸素投与では、1回換気量に占める供給酸素の割合は少なく、鼻腔周囲の室内空気を吸入する割合のほうが約75 ~ 85%と多いことがわかります。
 つまり、酸素加湿よりも室内の湿度を十分保つほうが効果的であるといえます。

 実際には、低流量や高流量にかかわらず酸素加湿を行っていない施設もありますが、患者さんから鼻閉感・鼻痛・口渇の増強・排痰困難などの自覚症状はないといわれています4。
 また、酸素加湿によって起こる下記のような弊害もあります5。

酸素加湿による弊害

①酸素加湿器用水の細菌汚染
②加湿器からの酸素漏れ
③騒音による不眠
④加湿器用蒸留水の購入費用とその交換業務

(文献5より引用)

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