外来での話。診察して方針を決め、処方せんを入力しそれがプリントアウトされるまでの間に10数秒間の待ち時間があります。そのわずかな間に雑談をするようにしています。
ハムスターを飼い始めたとか、ホットヨガを始めたとか、いろいろなことを教えてくれます。もちろんコロナ、あるいはワクチンへの不安を吐露される方もいます。
個人的な話をしてくれるのが一番好きなのですが、一応診療中なので悩みを語る人が多いと言えば多く、それを聞いていると、処方せん印刷が終わっても話は終わりません。悩みの多くは、人間関係です。そのせいで体の症状になっています。
基本、「自分ごと」というのはがまんできるものなのですが、他人のことは思い通りにいきません。自分を一番大事にして、人から十分距離を置くようにアドバイスするのですが、皆良い人なので他人に気を使う癖が抜けないようです。
ポン・カチャン。話が長くなっても、私が処方せんに印鑑を押すときの音、それが雑談の終わりの合図。私との雑談ごときで、またお互い自分のためにがんばろうという気になってくれれば嬉しいなと思っているのですが。
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この記事は『エキスパートナース』2021年9月号連載のコラムを再構成したものです。
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