『エキスパートナース』読者から高い支持を集める連載記事、國松淳和先生の「症候学~症状から察する技術~」。毎月、症候をテーマに深く掘り下げた解説が掲載される注目のコンテンツです。

 そして、この記事の最後には、密かな人気を誇るコラム「今月の國松先生」、通称「こんくに」があります。このコラムでは、國松先生がユーモアと知識を交えた自由な視点で、医療や生活にまつわる話題を語っています。

2025年1月号のこんくに

 今回は、この「こんくに」の中から人気のあった記事をランキング形式でご紹介します!2024年に話題となったコラムの中から、編集部が選んだベスト5をご覧ください。どのようなテーマが支持を集めたのか、今年のトレンドや心に響く内容を振り返る絶好の機会です。

 それでは早速、ランキングを発表します!

第5位 中年への応援メッセージ

 第5位にランクインしたのは、「加齢について考えざるをえない」と、ドキッとするフレーズからはじまる2024年7月号掲載のコラムです。現在の國松先生のXのアイコンの裏話も交えながら、「今を輝かせて生きよう」という中年へのメッセージに勇気づけられます。

 暗い話をすると、最近は加齢について考えざるをえません。中高年は嘆き、若年者も美容に走るのを見ると、成人以上のどの世代も加齢に焦っています。となるとこれは本能です。生命体としての本能が、加齢(死 !? )に抗う気持ちにさせているのかもしれません。やはり今という瞬間を輝かせて生きるしかないってことになります。

 さて、先日ある著名なイラストレーターに、私の顔を描いていただきました。じつはこういう体験自体が初めてでした。あっという間に、いえ正確に言うと迷いなく筆が走り、一枚の絵が描かれました。

 すごい。感動しました。顔なので、もっと気恥ずかしい気持ちになると思っていたのですが、そんなことは全然なく、良い意味で変な気持ちになりました。初めての体験でした。現物は後送にしたのでまだ画像で見ている毎日ですが、嬉しくて楽しくて何回も見ちゃいます。

 イラストレーターの力すごい! 私も心に響かせる仕事をしたい!届いたら額装屋さんに行って額装をあれこれ考えてみたいと思います(これも初)。アイコンなどもこれにする予定なので、またいずれ公開しますね。

 まだまだ楽しいことはあるので加齢に負けずがんばろ〜!

(エキスパートナース2024年7月号より)

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第4位 生存に有利な体質とは…?

 第4位は、「もはやコラムが1つの勉強記事なのでは…?」というほどの勉強的な要素が詰まった回です。ときどき、本編と肩を並べるほどのわかりやすい医学知識の解説が届くのがこんくにの魅力の1つでもあります。そして、基礎知識に加えて國松先生の「病気になった人のみかた」まで加えられており、読み応えたっぷりです!

 ウイルスにかかり風邪をひくと、めちゃ簡単にいうと、ウイルス侵入によってインターフェロンというサイトカインが誘導されます。もちろんこれはウイルス増殖を止めるためです。

 一方インターフェロンは、気分を落とすなどして行動を抑制的にします。風邪をひくと、なんだかだるくて億劫になりますがあれはインターフェロンのせいなんですね。

 “ウイルス抑制プロジェクト”発動中は、体が炎症していて負担が大きいです。それならば、他の身体的活動を控えて安静にしていてほしいところです。でも、人間には社会的な都合というものがあり、よほどでなければどんどん行動してしまいます。

 そこでどうするかというと、インターフェロンを出し、食欲や気分を落として疲労感を催させるなどして、生理的のみならず精神的に足を引っ張ることで行動を抑制します。この様子はsickness behaviorといって名前もあります。

 風邪をひくとインターフェロンが出やすい個体のほうが生存に有利といったような考え方は、合目的ではありますが私は好きです。風邪をひいた患者さんを診てるときに、「だるい」「つらい」と言われると私は、この人は生存に有利な体質なんだな、などと思っていたり思っていなかったりします。

(エキスパートナース2024年6月号より)

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第3位 私の訪問診療雑感

 第3位は、國松先生の訪問診療のとらえかたを語る回です。本来、優劣をつけるものではないはずで、個々人に合わせた選択があっていいはず。そんな「物事に対するあたりまえのとらえかた」を思い出させてくれます。

 今日は私の「訪問診療雑感」。家族が足の不自由な患者を連れて買い物や受診を手伝ったり、その道々で会話したり、会話がなくてもお互い不機嫌でも一緒にいたり。こういうのはすごくよい時間なのではと思う。私は、あまりすぐに訪問診療にもっていかず、ギリギリまで通院したいという人をギリギリまで通院で診るようにしています。ほんとにギリギリなので、入院したらそれまでという人もいらっしゃいます。

 自宅で死にたい(あるいは看取りたい)という人もいると思いますが、それが理想だと思うことは自然でそれはまあいいとして、在宅で診るということが美化されすぎているように私には思えます。病院に入院した人にも尊厳がある。病院で看取ることになるのはよくないと思わせる風潮ってどうなの? と思います。

 急性期医療に疲れちゃったみたいな事情で訪問診療をやるっていう本音を否定はしないけど、「訪問診療なら寄り添える」なんて言う人の寄り添えなかった理由は、急性期医療のせいではないと思いますよ。急性期医療だって普通に心は通わせられます。今の持ち場でがんばることもすばらしいことだし、弱音を吐くことも自然。よくないのは、ズレた(=錯誤した)理想をもつことです。

(エキスパートナース2024年9月号より)

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第2位 ドラゴンボールの思い出

 2024年の忘れられない出来事といえば、3月1日、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』で知られる漫画家の鳥山明先生が逝去されたことです。日本国内のみならず、世界中に大きな衝撃を与えましたが、國松先生からも思い出のコメントが届きました。國松先生は、すでに当月分のコラムを書きあげていたものの、一報を受けて急遽差し替えた思い出の回です。

 ドラゴンボールの話です。どのシーンが好きかというテーマで全編を浅くレビューしてみたんですが、どの場面もよくて絞り切れません。全部よいです。

 すぐ思いついたのは、未来から来たトランクスが登場した場面です。あれは本当に衝撃でした。なんというか「秩序の崩壊」でした。当時の自分には頭をついていかすのに必死でした。

 あとは細かい場面ですが、例えば人造人間16号をカプセルコーポレーションでブルマが修理してるところです。ブルマが「ドクター・ゲロは天才」という話を修理しながらしているのですが、それをわかるブルマたち(その場にお父さん=ブリーフ博士もいるのがポイント)も天才じゃんって思いました。天才は天才を解するんですね。

 そしてブルマといえば髪型の変遷ですよね。でも、私は服装のほうが好きです。多彩なコーデが描かれていて注目です。正直、全部好きです(キャラとしてはランチさんとか18号が好きです)。特に「サイヤ人って働かないのかしら」とベジータの愚痴を悟飯に言っているときの服装が最高です。

 ほっこり編として、悟飯がビーデルさんに舞空術を教えてる場面も好きです。字数の関係で今回はここまで。鳥山先生、ありがとうございました。

(エキスパートナース2024年5月号より)

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