どこで知ったのかはわかりませんが私が趣味で布(洋服)が好きなことを知り、メールなどのお便りの追伸や冒頭で、あるいは久々に顔を合わせた人などから「今日の布はいいですね」「布ネタをいつも楽しみにしてます」とか言われます。布で何が好きですかとか聞かれると、めんどくさいのでリネンと答えます。質の高いリネンは風合いと着心地が最高です。

 ところで私は理念が嫌いです。医師・看護師のことを、資格名としてではなく、「医療従事者」を指して言うとき、われわれは臨床実践者であって患者ケア質向上を突き詰める専門職と考えるべきです。

 つまり「理念」とは程遠い存在にならなくては駄目です。よく看護師さんで、「この病院ではあたしの目指す看護はできない」「私の考える看護とは違う」とか言ったり、そう言って辞めていかれる人がおられますが、そういうのは外で言ってほしいです。

 普段の何気ないケアやアセスメントや、誰にも気づいてもらえないくらい細部にこだわった配慮が廻り廻ってよい結果になったとき、とても嬉しくないですか?人に褒められるよりも幸福度がやばいです。

 患者ケアに従事する専門職をするのなら、自分が理念系ナースになっていないか見直しましょう。私の布好きは、かっこいいと思われたいからではなく、とにかく好きだからです。

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この記事は『エキスパートナース』2022年3月号連載のコラムを再構成したものです。
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