認知症患者さんの起き上がりの介助の際は、介助者の腰痛や腱鞘炎、患者さんの褥瘡などのリスクに注意が必要です。適切な介助を行うコツを写真とともに紹介します。
認知症患者さんの起き上がり介助のNG例
ベッドから起き上がる際に、頸部と膝窩部に手を入れて患者さんの身体をV字にし、一気に抱え上げている場面をよく目にします(図1)。
この方法は一見、身体とベッドの接地面積を少なくし回転を利用することで、手っ取り早く効率的に動かせているように見えますが、実際には患者さんのすべての重さが介助者にかかっており、介助者に腰痛や腱鞘炎などを引き起こす危険性が高くなります。
図1 よく行う起き上がりの介助の例

また、患者さんにとっても瞬時に抱え上げられて恐怖を感じ全身が緊張するだけでなく、仙骨・尾骨に圧やズレが集中して褥瘡が発生しやすくなり、反り返った頸椎・腰椎の捻挫を生じるリスクもあるなど、きわめて負担が大きくなります。
この方法が繰り返されて苦痛や緊張が蓄積されると、やがて患者さんの反り返った不良な座位姿勢が強まり、結果的には移乗がしにくく、頸部が固くなり食事もとりにくく、車いすにもフィットしにくい身体となってしまい、生活全般にさまざまな制限が生じます。
認知症患者さんの起き上がり介助の正しい方法
側臥位からゆっくり股関節を屈曲させて下腿をベッド下へおろし、ベッドの背上げ機能を用いて上体を起こして、そこから患者さんの体幹が前かがみになるように(前方へ向かっておじぎをするように)しながら介助すると、反り返ることなく起き上がることができます(図2)。
この方法であれば、患者さんに恐怖感や苦痛を与えることなく、かつ前かがみで移乗や食事がしやすい座位姿勢につなげることができます。
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