電子血圧計を使用する際に注意したい点を紹介。自動血圧計が普及してきた背景や、正確性を検証する方法、不整脈患者への使用について解説します。

自動血圧計が普及してきた背景とは?
WHO(world health organization、世界保健機関)が2020年までに水銀体温計と水銀血圧計の廃止を求めたことで1、水銀レス血圧計が販売されるようになりました(図1)。
図1 水銀レス血圧計の例(液晶で水銀柱のイメージを表した血圧計)

しかし臨床現場では、水銀レス血圧計よりも電子血圧計が普及しているのではないでしょうか。
皆さんが看護学生のとき、“患者さんのバイタルサインを測定する前に、水銀血圧計の動作確認をしなさい”と教わりませんでしたか?「減圧ネジはスムーズに動くか?」「水平な状態でコックを開いた際に目盛りがゼロを示しているか?」など、テキストに書いてありました。
これはいうまでもなく血圧を正確に測定するためです。一方、電子血圧計はこのような事前の点検は必要ないのでしょうか?
自動血圧計の正確性の検証が必要
2016年2月に世界高血圧連盟と国際高血圧学会は合同で、自動血圧計とカフの製造や販売に一定の規制を求める声明を公表し、日本高血圧学会と日本高血圧協会を含む各国の高血圧関連組織19団体も同声明を支持しています2。いったい何が問題なのでしょうか?
声明によると、自動血圧計の正確性とカフに主な問題があるそうです。
自動血圧計は脈波を検出してそれをもとに血圧値を算出するオシロメトリック法が主流で、収縮期および拡張期血圧の算出には、各メーカーが独自に開発したアルゴリズムを使用しています。
自動血圧計の精度を検証するために国際的なテスト基準やプロトコルはありますが、認可当局の規制がゆるく、テストの標準化は進んでいないようです。正確性を確認するためには企業内および企業外でのテストが必要ですが、多くの国や認可当局は自動血圧計の精度に関して外部検証を要求していません。
そして、カフの幅と長さは上腕の周囲径に応じて変更しなければなりませんが、1サイズしかないものは正確性が十分に検証されていないかもしれないそうです。水銀血圧計の場合は上腕動脈にゴム嚢の中心を合わせますが、自動血圧計の場合、そのマークすらないものがあることが問題だと指摘されています。
声明によりこれから製造される自動血圧計は正確性が期待できますが、現在使用している自動血圧計は正確性の検証が必要です。正木ら3を参考に、アネロイド式血圧計(図2)や水銀レス血圧計を利用して正確性を検証しておきましょう。
そして自動血圧計は電池で動いているため、測定前の電池残量確認は必須です。
図2 アネロイド血圧計/携帯型の例

①上腕周囲径の40%、もしくは上腕の長さ2/3のカフを選択する
②同一対象に対して、自動血圧計と水銀レス血圧計もしくはアネロイド式血圧計で各2回ずつ血圧測定を行い、平均値をとり比較を行う
(文献3を参考に作成)
不整脈患者への自動血圧計の使用は要注意
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