20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら
特定の行為の手助けをする
資格などに目を眩ませず
看護本来の道を歩もうではないか
あの大災害からはや9カ月 ( 註:2011 年時点 )、国レベルでの復興の具体策の歩みはあまりにも緩慢である。仮設の環境はこの冬を越すには厳しく、特に高齢者や乳幼児の健康不安がある。多様な背景のボランティアが、さまざまなサービスを提供しているが、これらを調整する機能も未確立である。
いずれにしても仮の住宅や仮のサービスではなく、本格的な地域の再生を確実に行うことが求められている。人々の健康に責任を負う看護職者として、ケア提供のシステムの構築に向けて、職能の持てる力を発揮すべきである。
(狭義の)医療の特定の行為の手助けをする資格などに目を眩(くら)ませず、看護本来の道を歩もうではないか。新しい年を日本の看護の時代の夜明けにするかどうかは、今を生きる看護師たちが決めることである。
(出典:『看護実践の科学』37(1)-1、看護の科学社)
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