川嶋みどり 看護の羅針盤 第119回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　看護には、長年のあいだ恵まれない地位に甘んじてきた歴史がある。そのことが、看護師の社会的自立願望に強く働き、先輩らは地を這うような苦しみを重ねて、悪条件を切りひらく努力をしてきた。（中略）

　それにしても、看護師が自分の労働の対価を知ることには意味がある。専門的な知識を駆使しながらの個々の実践が、どのくらいの費用を生み出すかの試算をするくらいの経済感覚はもちたいものである。投入する労力の多さは人一倍でも、目に見える独自の価値を生み出せず、これが看護の評価に影響してきたとも言えるからである。

（出典：『看護時鐘 のどもと過ぎた熱さをいま一度』16～17ページ、看護の科学社）

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