入退院支援では、まず「スクリーニング」を行って支援の必要性を判断します。外来における入院前のアセスメントや、患者・家族からの情報収集、スクリーニングを行う項目について紹介します。

※この記事は『エキスパートナース』2025年11月臨時増刊号「入退院支援&社会資源の最新ポイント」の内容を抜粋したものです。

入退院支援の必要性を判断するスクリーニング

 外来あるいは入院後早期に患者・家族と面談し、対話を繰り返しながら患者の生活を整えて、療養を安定させるための支援をします。
 退院して生活の場に戻ることは自然なことですが、ときには“病気が完全に治らないこと”や“障害がありながら暮らすこと”が受け入れがたい患者・家族もいます。そのような患者・家族が「病院に見放された」という思いを抱かないよう、できる限り不安を軽減することが必要です。
 ここでは図1のうち、Step1の内容について解説していきます。

図1 入退院支援・調整のための4ステップ
入院支援・調整のためのステップの図

Step1 スクリーニング:入退院支援の必要性を判断する

 すべての患者に入退院支援が必要とは限りません。そのため、まずは外来あるいはできるだけ早期に、入退院支援が必要となりそうな患者を“ざっくりと”把握します。入院前に行う外来でのアセスメント(表1)やスクリーニングにあたっては、患者・家族から情報収集を行いましょう(表2)。

表1 外来における入院前評価
外来における入院前評価の表
表2 退院支援か必要がどうかのスクリーニング
令和6年度診療報酬【入退院支援加算の対象の見直し】より引用

 入院前に事前に患者・家族と面談し下記内容を評価した場合は、入退院支援加算に加えて、入院時支援加算1(240点)または入院時支援加算2(200点)の算定が可能です。また、令和6年度改定で退院困難スクリーニング項目に、「コミュニケーションに特別な技術が必要な障害を有する者」および「強度行動障害の状態の者(行動障害により特別に配慮された支援を必要とする者)」が追加されました。知的障害や自閉スペクトラム症、認知症など、重度障害により特別なコミュニケーションを要するときに、障害福祉サービスや入所施設等と事前に調整を行った場合は、入院事前調整加算(200点)の算定がさらに可能になりました。

 なお、入院前からかかわっているケアマネジャーや訪問看護師の存在がわかったら、その際は、患者・家族に「退院に向けた準備を進めるために、ケアマネジャー(または訪問看護師)さんと相談しますね」と説明し了解を得たうえで、早期に来院してもらいカンファレンスを行いましょう(家族を通じてケアマネジャーから来院日時の連絡をもらうとよいでしょう)。

 入退院支援が必要と判断したら、患者・家族と情報を共有しながら必要性を理解してもらいましょう。

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202511増刊号表紙

エキスパートナース2025年11月臨時増刊号
入退院支援&社会資源の最新ポイント

宮本千恵美 著、行田菜穂美 著
B5・132ページ
定価:1,980円(税込)
照林社

本書は、さまざまな社会資源(制度・サービス)から看護師向けに情報を抜粋して作成したものです。情報は2025年9月現在のものです。最新の情報、市区町村ごとの制度については担当窓口でご確認ください。
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