看護師にとって負担になりがちな委員会活動を、前向きに楽しむための活用術を解説。自分のメリットにつなげる活用方法や、楽しく進めるためのコツを紹介します。
委員会活動が「大変」だと感じる理由は?
多忙な看護師の業務には、患者さんへのケアに関するもの以外に「委員会」の業務があります。なかには他部門・他職種が参加する委員会もあり、予定を看護師間だけで調整するのに比べて、委員会に参加するためのタイムマネジメントで苦戦することが多々あります。
しかし、診療報酬に関係する施設基準を満たすために設置が必要な委員会もあり、経営的な側面、医療や看護の質の確保をする側面から参加が避けられない場合があります。また、委員会の設置によって専門性をみがいたり、管理者への道が広がったりなど、キャリア形成に活用できる側面もあります。
本特集に際して、『エキスパートナース』編集部が同誌モニターにアンケートを行いました。その回答によると、委員会活動が「大変」だと感じる理由は、圧倒的に「時間・業務の調整が大変」というものでした。上記理由も含めた、委員会活動が「大変」だと感じているモニターからの具体的なコメントを紹介します。
●委員会の仕事を、休憩時間なども使ってやらないといけない
●委員会に入っているからといって、日常業務を軽減はしてもらえない
●業務時間内に終わらず、持ち帰り残業になる
●委員会活動に協力を得られずストレス
●委員会から伝達しているにもかかわらず、スタッフが実行してくれない(記録委員会)
●いろいろな職種や経験年数の人が集まるため、人間関係が大変
そこで今回は、「委員会」の存在をポジティブな視点からとらえ、有意義な時間として活用してもらえるようにまとめてみました。
委員会活動に限らず、どのような仕事も「嫌だな~」と思って雑にやってしまうと、それは“雑用”になってしまいます。しかし、その業務によって得られることにスポットを当てると、「楽しい」時間になるかもしれませんね。本特集が、みなさんにとっての委員会活動を楽しいものに変えていく一助となりますと幸いです。
委員会活動のポジティブな活用方法
近年、医療現場は細分化・複雑化してきており、今後はますます医療DX(digital transformation:「デジタルトランスフォーメーション」の略。具体例としてはオンライン予約や問診・診療、または医療や福祉現場の業務の効率化などに用いられる)が進んでいきます。こうした時代においては、他の職種の専門性を把握したり、理解したりすることが大切です。報告や連絡をする機会があったときに同じ患者さんの、同じ状況の情報でも、理学療法士に報告する内容と管理栄養士に報告する内容は、視点を変化させる必要があります。そのような“視点”を理解するためにも、コミュニケーションが重要となります。
そうしたなかで、委員会を組織内での「ちょうどよいコミュニケーションの場」「専門性を高める場」「多職種の友人をつくる場」としてとらえてみてはいかがでしょうか。視野が広がり、日々の看護にすぐに取り入れられるアイデアをゲットすることができます。看護以外から得られた視点という意味では、筆者の以前の勤務先で、患者さん用洗面台の詰まりを修理してくれた担当者が、患者さんの異変に気づき、看護師に報告してくれたことがありました。このように、看護師以外の職種や立場の人と話し合う機会をもつことで、看護師の視点からでは見えていなかったことに気づかせてもらうことができます。
また、委員会にはさまざまな職種や経験年数の職員が集まるため、コミュニケーションの難しさや人間関係の複雑さ、院内ヒエラルキーを感じてしまうこともあります。そのようなときも、自分の偏狭(へんきょう)な価値観やこだわりに気づき、「何をすべき人材」として委員会メンバーにいるのかという自分の役割、つまり、患者さんやその家族に最善の医療や看護を提供することにつながるということを再認識する機会になります。
委員会のメンバーに選ばれたということは、その理由があるはずです。参加によって何かしらの成果を得ることを求められています。例えば、上司があなたを委員会のメンバーに選んだとしましょう。その背景には、「タイムマネジメントができるようになる」「委員会に行く間に他のメンバーに業務の依頼を交渉し、1人で何もかも背負い込まないようになる」などの課題克服への期待があるかもしれません。他にも、管理者・教育者・研究者として期待している可能性もあります。それらの点について、上司との話し合いをしておくことが大切です。
委員会活動を楽しく進める方法
委員会活動をさらに有意義な時間にするために、委員会自体の進行方法に問題はないかを見直しましょう。
「配布された資料を読むだけ」「プレゼンを聴くだけ」「可決するだけ」といった時間の使い方はもったいないです。どの委員会においてもいえることですが、参加者が主体的に意見を述べ、建設的に話し合い、学び合える委員会をめざす必要があります。
私事で恐縮ですが、先日、とある公立中学校の職員会議に出席する機会がありました。そこには、校長先生をはじめとする教職員はもちろんのこと、地域の人や市会議員、生徒会の代表など、まさに多様なメンバーが参加し、混合でグループワークを行いました。とても有意義でした。こんな会議なら何度でも行きたくなります。議長である校長先生はファシリテーターの役割に徹し、メンバーの活発な発言を促していらっしゃいました。
時間は、誰にとっても等しく有限なものです。“むだづかい”にならないよう、注意が必要です。上記職員会議では、課題に対して意見交換を行って、全体の方向性を決定するというプロセスを1時間でやり遂げました。オンラインでできるものはオンラインで行い、メールなどの伝達ツールで事足りるものはそれで情報共有して時間を節約しましょう。
「委員会がマンネリ化している」という声が挙がると、なかには「委員会を見直す委員会が必要」と言い出す組織があるかもしれません。それを防ぐため、例えば自発的に新しい画期的な委員会を提案するとしましょう。そのためには、いずれにしてもまず委員会メンバーに入ることが必要です。
- 1.全日本病院協会ホームページ:みんなの医療ガイド 病院の機能と組織.
https://www.ajha.or.jp/guide/6.html(2026.3.10アクセス)
2.厚生労働省:資料 医療安全に関する体制について.
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1118-8g.pdf(2026.3.10アクセス)
3.厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要 【ポストコロナにおける感染症対策】.
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001224802.pdf(2026.3.10アクセス)
4.日本看護協会ホームページ:認定看護師.
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html(2026.3.10ア
クセス)
5.尾原和啓:モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書.幻冬舎,
東京,2017.
※この記事は『エキスパートナース』2024年8月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。

