さまざまな人と接する機会の多いナースが、円滑な関係構築のためにできる“ちょっとした言葉選びの工夫”を紹介します。今回は、患者さんから、行動変容への意欲を引き出す方法です。

患者さんから、望ましい行動への意欲を引き出すには?

患者さんの意欲1

患者さんの行動を正したくなる“看護師の”間違い指摘反射

 糖尿病の治療で入院した患者さんで、先日の検査ではHbA1cは12%だったとします。その患者さんが、売店で甘いジュース数本をがぶ飲みしているのを目撃したら、多くの看護師は「絶対にやめてください」と言いたくなると思います。

 看護師には、その行為がもたらす悲劇を想像しうる知識と経験があり、間違ったその行動をどうにか正そうという「間違い指摘反射」が起こり、そう言いたくなるのです。

 しかしその一方で、そう言われた患者さんが「絶対にやめる」ことはあまりないのも現実です。 

「絶対○○してください」などの言い方は逆効果

 みなさんの子どものころを思い出してみてください。親御さんに「テレビを消して勉強しなさい!」と強く言われたとき、「そのとおりだ! 勉強しよう」といつも素直に思えたでしょうか?正しいことを言われたとしても、むしろ「うるさいな」と反発するような考えや感情が沸き起こることのほうが多かったのではないでしょうか。

 じつは、患者さんも同じです。

「変わりたい」考えも、「変わりたくない」考えも、同時に頭のなかにある

 自分にとって望ましい行動が何であるかを知っているとき、人間には「変わりたい」と「変わりたくない」が同時に頭のなかに存在します。

 例えば、皆さんが減量しようと間食を控えることを決意したとします。そんなときに限っておいしそうなお菓子が休憩室に置いてあります。「食べたい」と「食べないようにしたい」という相反する考えが皆さんの頭のなかをいったりきたりするかもしれません。

 このように、「変わりたい」と「変わりたくない」という両方の感情が存在することを両価性といいます。行動変容に対する意欲を引き出すには、人間にこの両価性があることを念頭に、望ましい行動をとるほうへ「変わりたい」考えの発言が増えるよう話を聴き、患者さんが自らの発言によって「変わりたい」考えを強めていくようにしていきます。

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