さまざまな人と接する機会の多いナースが、円滑な関係構築のためにできる“ちょっとした言葉選びの工夫”を紹介します。
理不尽なクレーム対応のコツ
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“私のせいじゃない”クレームを受ける
「食事がまずい」「あの看護師の態度が悪い」「高い入院費をとって、さらにテレビを観るのにも金をとるのか」など、理不尽なものも含め、患者さんにとって身近な看護師は、クレームを受けやすい立場にあります。
例えば、「いつまで待たせるんだ」と言われても、外来が終わらず医師が来棟しない、混み合っていて検査に呼ばれないなど、看護師1人の力ではどうにもできないことも多いでしょう。
このようなとき、皆さんは「理不尽極まりない」と感じるかもしれません。
クレーム対応のコツ
相手がすでに感情的になっているのであれば、後回しにせずできる限り早くお話を伺います。相手が感情的になるほど、こちらの返す言葉が不適切であった場合に感情を逆なでし、最初は無関係だったあなた個人へのクレームにすら発展しかねません。
相手が感情的になっているときの、聴き方のコツはいくつかあります。
①落ち着いた声でゆっくり話すこと
相手が感情的だと、ついこちらも大声になってしまいがちですが、それは相手の感情を逆なでしかねません。こちらが低い声でゆっくり話すことで、相手の感情がさらにヒートアップすることを避けられます。
②相手から斜め45度の角度で、片腕ぶん以上離れた位置を保つこと
相手のパーソナルスペースに入りすぎず、万が一相手に暴力を振るわれても逃げられる空間を確保し、双方の物理的・心理的な安全を保ちます。
③相手の感情のピークが過ぎるのを待つこと
人間が激しい感情のままいられるのはせいぜい数分程度です。相手の話をじっと聴きながら、感情的なピークが過ぎるのを待ちます。
④「不快な思いをさせたこと」を謝罪の対象にすること
状況があいまいなときに謝罪した場合、事実はどうであれ、後で落ち度の根拠にされてしまう恐れがあるためです。相手の感情のピークが過ぎるまでは黙って聴くか、相手の言葉を繰り返します。
例えば、「こっちの都合を全然考えない」と繰り返し言われるようであれば、「ご都合を伺わなかった」などと繰り返します。
次に、「いつ看護師が来るかわからず、不安なお気持ちだった」など、相手のそのときの感情を想像して確認していきます。ある程度、状況がわかった段階で「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」と謝罪します。
時間をおいた対応が望ましい場合も
一方で、繰り返し感情的に苦情を言う患者さんの場合は、苦情を言うことでしか医療スタッフとのコミュニュケーションがとれなくなっている、本当に伝えたいことは「病気への怒り」などまったく別のことである可能性があります。
「苦情を言う」患者さんはスタッフから避けられがちです。しかし、「苦情を言う」ときだけ、その患者さんにかかわる方法は苦情を助長しかねません。
このような患者さんからの「苦情」は、安全を確認したうえでその場を離れ、時間をおいてから対応するなど即時のかかわりを減らします。そのうえで「苦情」の対応以外のかかわりを増やします。
本当に伝えたいことを話せるよう、「言いたいことを想像して確認する」聞き返しのスキルで話を聴いていきましょう。
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この記事は『エキスパートナース』2023年3月号連載を再構成したものです。
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