さまざまな人と接する機会の多いナースが、円滑な関係構築のためにできる“ちょっとした言葉選びの工夫”を紹介します。今回は、前と言っていることが変わる先輩への対応です。
- ●前と言っていることが変わる先輩への対応は?
・現場でよく起こる“言った・言わない”論争
・上司や先輩によって言うことが違う場合
●前と言っていることが変わる先輩への正しい対応
・3つの選択肢を提示し、相手に選ばせる
・指摘したいときは枕詞を使う
前と言っていることが変わる先輩への対応は?

現場でよく起こる“言った・言わない”論争
「患者さん・患者さん家族との対応」をテーマに言い換え方をお伝えしてきましたが、今回は特別編として、看護師がよく遭遇する“スタッフ間での言い換え”についてご紹介します。
「片づけはすぐするように言ったよね」「片づけはいいから薬の確認を早くやって」など、状況により優先順位が変わることは多々あるとはいえ、頻回に指摘内容の変わる上司や先輩に振り回されることがあると思います。
その際に、「△△はいいんですか?」「この前は△△と言われていましたよね?」と尋ねると、言われた相手は、「批判された」「この前と違う状況なのがわからないのか」などと腹を立て、“言った言わない”の議論へ発展しかねません。
先輩看護師
「片づけじゃなくて薬の確認してくれる?」
後輩看護師
「え?点滴の片づけはいいんですか?」
先輩看護師
「いいから早く!」
上司や先輩によって言うことが違う場合
さらに困るのは、上司や先輩によってやり方や優先順位の考え方が違う場合です。「○○さんにこうしろと言われました」と言えば、「言われたらそのままやるんだ」「自分の頭で考えて」など、あなたへの批判として返ってきかねません。
かといって、その日にどのスタッフがいるかによってやり方を変えるのは大変ですし、患者さんへの看護の妨げとなる恐れすらあります。
患者さんへのケアに直接の関係がなくても、看護研究や委員会資料の作成で複数の上司・先輩から相反するコメントをもらい、何度書き直しをしても終わらないなど、大幅な時間と労力のロスが生じる場合もあります。
そういった状況に耐えかねて、無理に“私の考え”“私のやり方”を通せば、人間関係が悪化するリスクもあります。
前と言っていることが変わる先輩への正しい対応
3つの選択肢を提示し、相手に選ばせる
「△△はどうしましょう?」と“開かれた”質問(【第10回】参照)で相手に尋ねることで、相手は、「指示した内容とは異なる△△」について考え始めます。
このタイミングで「いくつか案を考えてみたので、お伝えしてもよいでしょうか?」とあなたの考えを提示する許可を得ます。そのうえで、あなた自身が許容できるやり方や優先順位で、複数の案を提示します
いくつか提示して相手に選ばせれば、相手の主導権は維持されますので、相手の気分を害しにくいかと思います。
案の提示のしかたのコツとして、「時間はかかるけれど質がよい」「時間も質もそこそこ」「かかる時間が短いけれど質が悪い」といった3つの選択肢を提案してみてください。
心理的に、真ん中の「時間も質もそこそこ」を選びやすいことがわかっています。最も選んでほしいものを真ん中の順番で伝えるとよいでしょう。
先輩看護師
「片づけじゃなくて薬の確認してくれる?」
後輩看護師
「わかりました。では点滴の片づけはどうしましょう?薬の確認の後でよいですか?」
先輩看護師
「片づけは〇〇さんに頼むからあなたは薬のほうをやって」
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