褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。低体温症となった結果、下肢にチアノーゼを引き起こした症例について、血流を改善するための足浴や保温、ポジショニングについて紹介します。
この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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血流の低下が褥瘡発生のリスクになる
〈症例〉
●70歳代、女性。偶発性低体温症、肺炎。既往歴は不明。
●自宅廊下で倒れているところを訪問者が発見し、救急要請。
●病院到着時は、32℃と低体温で、血圧が測定できず徐脈を認めた。
●PCPSによる体温管理と循環管理が開始されたが翌日には離脱し、自己心拍補助目的でノルアドレナリンの持続投与が開始された。
●搬送時から下肢には冷感とチアノーゼが認められていたが、入院3日間にはさらに高度なチアノーゼが確認された。

身体局所における血流の低下は、褥瘡発生のリスク要因です。この患者さんは低体温症となった結果、下肢にチアノーゼを引き起こしています。
また、搬送翌日までPCPSが用いられていますが、このような補助循環治療の合併症として下肢の循環障害が起こることがあります。大腿部に挿入されたカテーテルにより、末梢側が阻血に陥ることが原因です。
加えて、救急医療の対象となる患者さんには、未受診・未治療のまま潜在的に末梢動脈疾患(PAD)などを保有している人も少なくありません。 そのため、下肢の循環障害が疑われる場合は医師に報告し、触診あるいはドプラなどを用いて足背動脈を確認し、冷感の有無や体表温度の左右差などについて観察することが重要です。
褥瘡・創傷ケア:末梢循環改善のための足浴
足浴は、温めた湯の温熱効果により、足の血管を拡張させることで血流を増加させ、代謝を高めて末梢循環を改善します。特に、炭酸泉足浴の効果が高いとされています1。
湯の温度は、組織損傷や血圧低下などのリスクを低減させるため、あまり高くせず、体温と同程度(37℃程度)にします。
ノルアドレナリン(カテコラミン製剤の一種)の効能である末梢血管収縮作用によって血圧を維持している場合は、保温によって末梢血管が拡張し、薬理効果と相反する影響(血圧低下)を及ぼす可能性について考慮することが重要です。
全身を温めることによる急激な保温は避け、万一の急変に備えて医師と血圧管理の指標について話し合っておき、足浴中はバイタルサインの変化を集中的にモニタリングします。
ベッド上での足浴のしかた
ベッド上で臥床している患者さんの足浴は、マットレスの上で下肢や足浴用ベースンを安定させることが難しく、周囲へのコンタミネーションを招いたり、患者さんの安楽を損ねることにつながります。
そのような場合、図1の方法を用いると容易に実施できます。
図1 ベッド上での足浴

①患者さんの膝を立て、その下に大きめのクッションを挿入して下肢を安定させる
②クッションなどを用いて堤防をつくり、囲いの中に大きなビニール袋(45L)を設置する
③ビニールの中に 37 ℃程度の湯をはり、下肢を湯につけて温める
褥瘡・創傷ケア:末梢被覆による保温
例えば、オルテックスを下肢全体に巻きつけた上からストッキネットで被覆する(図2)などの方法でも末梢を保温することができます。 下肢を強く締めつけない程度の、厚手でやわらかい素材のソックスなどを使用することもできます。
図2 下肢を締めつけずに保温できる用品の例


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