褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回は尾骨部の評価スケールd2褥瘡のケアについて紹介します。

この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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おむつ着用の場合の尾骨部d2褥瘡のケア方法は?

〈症例①〉
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●80歳代、女性、パーキンソン病、身長140㎝、体重30kg
●日常生活自立度C2、ブレーデンスケール10点、ウレタンマットレス使用中。
●骨突出部に一致した1㎝程度のびらんがある。
●ジスキネジアがあり、臀部はおむつや寝具とこすれる体動がみられる。
●おむつ内排泄のため、陰部、臀部は浸軟しやすい状況にある。

*【ジスキネジア】無意識的で反復的な体の動きのある障害。

おむつ着用の場合の尾骨部d2褥瘡の症例写真

改定 DESIGN-R® 2020を用いた褥瘡の評価についてはこちら

 褥瘡の発生原因としては、るいそうによって骨突出が顕著なこと、ジスキネジア、体位変換やおむつ交換の際の尾骨への物理的刺激や、おむつや排泄物による浸軟や化学的刺激等が考えられます。 創面を保護することで湿潤状態をつくり創傷治癒を促進します。

透明で観察ができ、剥離刺激の少ないドレッシング材を貼る

 創表面の保護(摩擦防止、疼痛緩和)と排泄物の汚染を防ぐためにドレッシング材を選択しました。真皮までの創傷に用いるハイドロサイト®薄型(ポリウレタンフォーム)を創から2cmほど広い面積で貼付します。ハイドロサイト®薄型は半透明状のため、貼付後の観察が可能なうえ、皮膚への密着が弱く、剥離時の刺激が少ないです。

 その他、アブソキュア® – サジカル(ハイドロコロイド)、デュオアクティブ®ET(ハイドロコロイド)も適用です。

 ハイドロコロイドは滲出液を吸収し、白くやわらかくなるため、交換時期が判断しやすい特徴があります。おむつ内排泄のため密着が弱く、排泄物の汚染や、パットやおむつとの摩擦により辺縁から剥がれしまうため、マルチフィックス®(ポリウレタンフィルム)で保護しました。これにより、創部と保護剤の密着を高め、創部の汚染を防ぐことができます。

 この症例では数日後に治癒しましたが、予防のためマルチフィックス®の貼付は継続しました。

不安定な座位姿勢によるずれが原因の尾骨部d2褥瘡のケア方法は?

〈症例②〉
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●60歳代、男性、胃がん。
●がん性腹膜炎でオピオイド使用中。腹水貯留。
●失禁はないが、パンツタイプのおむつを着用。
●混乱により支持動作ができないことがあり、短時間で寝たり起きたりしている。
●形状が布施栄兄な褥瘡。
●ずれ力や自力での座位保持が難しく、褥瘡が発生した。

不安定な座位姿勢によるずれが原因の尾骨部d2褥瘡の症例写真

 尾骨部は、座位や頭側挙上時に圧迫されやすいです。皮膚のたるみによって臀部同士が重なり、密着し擦れ合うことも、尾骨部褥瘡が発生する要因となります(図1)。

図1 臀部どうしの擦れによる褥瘡の発生

臀部どうしの擦れによる褥瘡の発生

 この症例には、あまりドレッシング材は向きません。スムーズに起き上がることができず臀部が擦れたり、座位姿勢が保持できないことで、貼付したドレッシング材がズレたりめくれたりするからです。

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