褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回はIAD(失禁関連皮膚炎)の定義や褥瘡との違い、ケアの方法について紹介します。
この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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IAD(失禁関連皮膚炎)とは?
incontinence associated dermatitis:失禁関連皮膚炎
IAD(失禁関連皮膚炎)には、消化酵素と細菌が関与しています。定義、評価方法は下記の通りです。
①IAD(失禁関連皮膚炎)の定義
排泄物(尿または便、あるいは両者)の付着に関連して生じる皮膚障害1
②IAD(失禁関連皮膚炎)の評価方法
IAD 重症度評価スケール(IAD-set)を用いる
IAD重症度評価スケール(IAD-set)

IAD(失禁関連皮膚炎)と褥瘡の違いは?
褥瘡
●褥瘡の定義
身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる2
※上記は2005年のもの。2024年現在、定義は日本褥瘡学会で検討中
●褥瘡の主な発生原因
摩擦、ずれ、圧迫
●褥瘡の発生部位
骨突出部
●褥瘡の辺縁、形状
明確
褥瘡の症例写真

IAD(失禁関連皮膚炎)
●IAD(失禁関連皮膚炎)の定義
排泄物(尿または便、あるいは両者)の付着に関連して生じる皮膚障害1
●IAD(失禁関連皮膚炎)の主な発生原因
排泄物(尿や便)や皮膚の浸軟
●IAD(失禁関連皮膚炎)の発生部位
会陰部または性器周辺の皮膚、肛門周辺やパッドや下着が接触する皮膚または皮膚のしわ部分
●IAD(失禁関連皮膚炎)の辺縁、形状
放散
IAD(失禁関連皮膚炎)の症例写真

臀部の創傷=褥瘡とは限らない
一般に、臀部の創傷=褥瘡と思いがちですが、IADの可能性もあります。「定義」を見比べてもわかるように、この2つは発生原因が大きく異なります。
また、創傷が発生する部位にも違いがあります。褥瘡の発生部位は骨突出部位に多いのですが、IADは、排泄物の付着する範囲すべてで発生する可能性があります。多くはおむつが接している範囲です。
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