クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎で下痢をするのはなぜ?【排泄ケア:第14回】
編集:豊原敏光
医療法人社団医王会 朝倉健生病院 大腸・肛門病センター センター長
編集:高木良重
福岡大学 医学部看護学科 講師、がん看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師
執筆:石井美紀子
医療邦人済世会 河野名島病院 副看護部長、皮膚・排泄ケア認定看護師
イラスト:オオイシ チエ
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POINT
●抗菌薬によって正常な腸内細菌叢(そう)が損なわれ、クロストリディオイデス・ディフィシルによって毒素が発生し、下痢の原因になる。
●院内感染が感染の原因となることもあるため、標準予防策を実施する。
クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎はどんな病気?
クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)は嫌気性グラム陽性桿菌で、大腸の常在菌の一種です。芽胞を形成し、環境に長期存在します。クロストリディオイデス・ディフィシルに感染することによって生じるのが、クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎です。
クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎は、入院患者に最も多くみられる下痢症の原因です。抗菌薬使用に伴う下痢の20 ~ 30%、腸炎の50 ~ 75%、偽膜性腸炎の90%の原因菌とされています。
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この記事の関係者
編集
豊原敏光とよはら としみつ
医療法人社団医王会 朝倉健生病院 大腸・肛門病センター センター長
1980年山口大学医学部卒業。1986年九州大学医学博士(ヒルシュスプルング病セロトニン神経の組織化学的研究)、1988年マギル大学薬理学教室・モントリオール小児病院実験外科(ラット小腸移植と移植腸薬理学的研究)、1995年福岡高野病院、2003年福西会病院を経て2019年4月より現職。郷里で専門医療を展開中。
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高木良重たかき よしえ
福岡大学 医学部看護学科 講師、がん看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)、福岡高野病院、福西会病院、福岡国際医療福祉大学での勤務を経て、2023年10月より現職。病院内での皮膚・排泄ケア領域の活動のみならず、地域でのストーマや褥瘡などの研修や近隣施設等との連携強化に向けての活動を行っている。
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石井美紀子いしい みきこ
医療邦人済世会 河野名島病院 副看護部長、皮膚・排泄ケア認定看護師
1982年福岡赤十字看護専門学校卒業、1998年クリーブランドクリニック分校聖路加国際病院ETスクール卒業。1999年皮膚・排泄ケア認定看護師認定。2006年福岡赤十字病院専門外来看護師長を経て現職。専門・認定看護師統括マネージャー、認定看護管理者。ストーマケア、フットケア、スキンケア、創傷ケア等の実践と教育に注力している。
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