代表的な不整脈の心電図波形が読めるように、波形の読み方の要点を図解付きでわかりやすく解説!今回はⅡ度房室ブロック(Ⅱ°AVB)の波形の読み方です。ウェンケバッハ型、モビッツⅠ型、モビッツⅡ型の波形の特徴を紹介します。

ウェンケバッハ型(Wenckebach型)/モビッツⅠ型(MobitzⅠ型)の特徴とは?

 Ⅱ度房室ブロック(Ⅱ°AVB)のうち、ウェンケバッハ型モビッツⅠ型は房室の伝導障害のため、PQ間隔が1拍ごとに延長していきます(①)。その後、突然QRS波が脱落します(②)。つまり、P波とQRS波の間が、少しずつ離れていってしまう状態です。

 Ⅰ度房室ブロックと同様に、QRS波の形に変化はありません。

図1 ウェンケバッハ型(Wenckebach型)/モビッツⅠ型(MobitzⅠ型)

ウェンケバッハ型(Wenckebach型)/モビッツⅠ型(MobitzⅠ型)

ウェンケバッハ型/モビッツⅠ型の治療・対処方法

 健常若年者の場合は、治療は不要です。基礎疾患のない場合、予後は良好です。ただし、以下の場合はペースメーカー植込みが推奨されています。

●慢性で症状のあるもの
●運動や硫酸アトロピン負荷で伝導が不変もしくは悪化するもの
●徐脈による進行性の心拡大を伴うもの

モビッツⅡ型(MobitzⅡ型)の特徴とは?

 モビッツⅡ型は、PQ間隔は正常ですが、突然QRS波が脱落します(①③)。Ⅲ度房室ブロックへ進展することが多く、より重症度は高くなります。

図2 モビッツⅡ型(MobitzⅡ型)

モビッツⅡ型(MobitzⅡ型)

モビッツⅡ型の治療・対処方法

 モビッツⅡ型は、ウェンケバッハ型よりも重症なⅡ度房室ブロックであり、症状の有無にかかわらずペースメーカーの適応となります。
 予後不良で、Ⅲ度房室ブロックへ進展することが多いです。

 突然の意識障害とそれに伴う外傷のリスクが高く、患者本人への説明や入院時の安全管理が必要です。

Ⅲ度房室ブロック(Ⅲ°AVB)の心電図波形の読み方は?

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