輸液フィルターを使用する際、禁忌に指定された薬剤以外は通しても問題ないのでしょうか。輸液フィルターの目的や、フィルター禁忌の薬剤について解説します。

Q. 禁忌に指定されている薬剤以外は、輸液フィルターを通してもいい?

ひとこと回答
インラインフィルターを通してはいけない薬剤以外にも、「フィルターに吸着する薬剤」や「フィルターを変性させる薬剤」は、通してはいけません。
また、投与量が少ない輸液(5μg/mL)や、投与総量が少ない(5mg 以下)薬剤も、フィルター通過の可否を確認してから使用することが必要です。

輸液フィルターの目的は?

 インラインフィルター(フィルター)とは、中心静脈ラインや持続点滴時に使用するフィルターのことで、輸液セットに組み込まれた一体型タイプ(図1)と、フィルターを輸液セットに接続するタイプがあります。

図1 インラインフィルターの一例①輸液セットと一体型のタイプ

シュアプラグ®AD輸液セットの画像
シュアプラグ®AD輸液セット(画像提供:テルモ株式会社)

〈インラインフィルターの一例②輸液セットに接続するタイプ〉
●テルフュージョン® ファイナルフィルターPS(テルモ株式会社)

 フィルターの使用目的は、以下の4つです。
①輸液に混入した異物(アンプルのガラス片、バイアルのゴム栓のコアリングなど)の捕捉
②配合変化によって生じる沈殿物の捕捉
③微生物の捕捉
④空気塞栓の防止

 一般の医療現場で使用されている中心静脈(CV)ライン用のフィルターの孔径は0.2μmのもので、このフィルターには輸液をろ過する親水性膜と、輸液中に混入した空気のみを除去する疎水性膜が組み合わさっています。この2つの構造が、前述した①~④の機能を果たしています1

輸液フィルター使用時の注意点

 フィルターを使用する際に注意を要する薬剤は以下の通りです。

主な輸液フィルター禁忌の薬剤

輸液フィルター孔径(0 . 2μm)より粒子が大きい薬剤
●イントラリポス®(脂肪乳剤)
●ディプリバン®(全身麻酔・鎮静用剤)
●ファンギゾン®、アムビゾーム®(抗真菌薬)
●サンラビン®(抗悪性腫瘍薬)

この記事は会員限定記事です。