Q. チアノーゼはどうして起こるの?
ひとこと回答
チアノーゼは、末梢組織での酸素需要亢進や末梢循環不全を示しています。毛細血管での還元ヘモグロビンが 4~5g/dLまで増加することによって起こります。
チアノーゼと還元ヘモグロビン値
チアノーゼを起こす還元ヘモグロビン(酸素を失ったヘモグロビン)の量を回答で「4~5g/dL」と示しましたが1,2、もっと細かく記載されている文献3によると、チアノーゼを起こす動脈での還元ヘモグロビンの最小量は2.38g/dLで、このときの毛細血管や細静脈では4.24g/dLです。
また、中心性チアノーゼでは、動脈血での還元ヘモグロビンの量は3.48±0.55g /dLが平均的で、このときの毛細血管もしくは細静脈では5.3g/dLです。
よく見る「チアノーゼは還元ヘモグロビンが5g/dL以上になると起こる」と書かれた文章には、「毛細血管もしくは細静脈において」という前置きが隠されていることに注意しなくてはいけません(表1)。
貧血では出現しづらく、多血症では起こりやすい
チアノーゼは、酸化ヘモグロビンや酸素飽和度によって出現するのではなく、還元ヘモグロビン量の増加によって出現します。よって貧血患者では、へモグロビンの酸素飽和度が非常に低くても、チアノーゼは出現しにくくなります(表2)3。
逆に、多血症(赤血球増加症)のように、ヘモグロビン総量が高ければ高いほど、酸素飽和度が高めを維持しているにもかかわらず、チアノーゼを起こす傾向は強くなります。
またチアノーゼは、メトヘモグロビン(ヘム鉄が三価に酸化されたもの、酸素結合不可)やスルフヘモグロビン(ヘモグロビンと硫化水素を反応させると生じる、酸素結合不可)などが血中に存在するときにも観察されます。
メトヘモグロビン血症の患者においては、特有の茶色っぽいチョコレート様の色調となります。