事例紹介をもとに、看護介入をナラティブに伝えます。今回は患者さんの生活支援を考えるきっかけとなった“帰宅への同行”の事例をめぐるQ&Aを紹介します。
今回の事例:【第32回】患者さんの生活支援を考えるきっかけとなった“帰宅への同行”

〈目次〉
この事例を選んだのはなぜ?
Aさんへの支援で大切にしたことは?
認知症だと考えた根拠は?
どのようにアウトリーチを進めればよい?

事例をめぐるQ&A

この事例を選んだのはなぜ?

松本 山元さんがこの事例を選んだ理由を教えてください。

山元 高齢者が単独で暮らしておられる場合、支援開始のタイミングを計ることは重要です。認知症の疑われる高齢者の場合は特に、症状により状況をうまく周囲に伝えられず、支援開始につながらないことも少なくありません。

 認知症高齢者の支援環境を整えていく、そのきっかけとして、看護による細やかな観察は重要なのだと、改めて学ばせていただいた事例として選びました。

Aさんへの支援で大切にしたことは?

松本 Aさんへの支援をしていくうえで、どのようなことを大切にしていましたか?

山元 今回、Aさんから「同じマンションの友人によくしてもらう」という言葉が聞かれたものの、具体的にどのようなかかわりを持っているかは語られませんでした。外来での様子にAさんの独居生活が危うくなっていることを感じましたが、「大丈夫です」と答える様子から、自ら周囲に支援を求める可能性は低いだろうと感じました。

 私は現在、入退院調整を主な業務とし、院内外を横断的に活動しています。外来を受診した患者さん(特に独居高齢者や夫婦のみで暮らす高齢者)に介護保険の申請を提案し、地域包括支援センター*1まで同行することもあります。

 地域包括支援センターを紹介する際は、「行ってみてください」や「相談してみてください」でなく、確実に支援者へつなげられるよう、必要時は自ら出向いてつなぎの役割を果たすようにしています。支援の必要性を認識していない場合、相談へつながらないことが少なくないからです。

 今回のAさんの場合も、かかわり始めた私が、つなぎの役割を果たす必要性を感じました。

 地域包括支援センターへつなげることをきっかけとして開始した支援では、Aさんのこれまでの生活を“支援”という名のもとに脅かさないよう心掛けました。 具体的には、Aさんが“受け入れてくれる”支援を考え、C病院、地域包括支援センターを軸として支援がゆっくりと広がっていくよう配慮しました。

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