患者さんの体験・心理についての「研究」を原著者に紹介してもらい、臨床で活用したいこころのケアを探ります。今回は、回復過程における重症外傷患者さんの心理についての研究です。

重症外傷患者さんは境遇をどうコントロールしている?

回復過程における重症外傷患者さん

PTSDは患者さんがコントロール感を喪失することで生じる

 思いがけない交通事故や労働中の事故に遭い、救命救急センターに搬送される重症外傷患者さんのなかには、命は助かっても心理社会的な健康問題により社会復帰ができない人がいます。

 この背景として、患者さんが、衝撃や苦痛(ストレス源)を思うように制御できているという「コントロール感」を失うことが重要な要因であると言われています(後述)。

 しかし、患者さんが受傷直後から回復する過程において、そのときどきで状況をどのようにコントロールしたいかというコントロール感がどのようなものであるかは明らかになっていませんでした。

 また、療養中の重症外傷患者さんに最も多くかかわっている看護師のケアは、患者さんのコントロール感に重要な役割を果たしていると考えられました。 そこで、重症外傷患者さんに、そのときどきで体験したことを思うままに語ってもらい、回復過程におけるコントロール感の推移と、それを支える看護師のケアについて探究しました。

本研究は、以下の倫理的配慮のもとに実施されたものです。
●本研究は、調査実施施設の研究倫理審査委員会の承認を受けて行っています。
●対象者には口頭および文書で研究目的・方法・参加の自由・拒否や途中辞退の自由・個人情報の保護などを説明し、同意をいただいて実施しました。
●面接時には、精神的心理的な状態に常に注意を払いながら行いました。

研究の方法

疑問(調べたこと)
●患者さんは各回復過程で、どのようなコントロール感を抱いている?

研究対象
●事故により重症外傷を被った患者さん14名(男性 11名、女性3名、平均年齢41歳〈21~69歳〉)
●それぞれ気管挿管や人工呼吸器装着、連日の苦痛を伴う創傷処置などの侵襲的な治療を体験している

研究方法
●研究者が、看護師として患者さんのケアに携わりながら表情や行動を観察(参加観察)
●退院間近となったころに面接を行い、療養中の体験を自由に語ってもらう

発見:患者さんの心理的・身体的回復過程に応じて7段階のコントロール感がある

 心理的・身体的な回復過程における患者さんのコントロール感には、以下の7つのテーマがあることがわかりました(図11

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