患者さんの体験・心理についての「研究」を原著者に紹介してもらい、臨床で活用したいこころのケアを探ります。
【第1回】不穏・興奮・せん妄などを呈する患者さん[前編]研究から明らかになったこと
【第16回】血液透析を行う慢性腎不全患者さん[後編]研究結果からみる実施したいケア
重症外傷患者さんは境遇をどうコントロールしている?
PTSDは患者さんがコントロール感を喪失することで生じる
思いがけない交通事故や労働中の事故に遭い、救命救急センターに搬送される重症外傷患者さんのなかには、命は助かっても心理社会的な健康問題により社会復帰ができない人がいます。
この背景として、患者さんが、衝撃や苦痛(ストレス源)を思うように制御できているという「コントロール感」を失うことが重要な要因であると言われています(後述)。
しかし、患者さんが受傷直後から回復する過程において、そのときどきで状況をどのようにコントロールしたいかというコントロール感がどのようなものであるかは明らかになっていませんでした。
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