日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化を紹介!今回は持続皮下インスリン注入療法(CSⅡ)で用いるインスリンポンプを取り上げます。血糖管理におけるメリット、導入時の注意点、SAP療法などについて解説します。

●CSIIとは
●CSIIの普及とSAP療法の開始
●CSIIの特徴とメリット
●CSIIの適応と導入時の指導
●CSIIのデメリットと注意点

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CSIIとは

 「CSII」とは持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulininfusion)を指します。体外のインスリンポンプ(インスリンを持続的に注入するための在宅治療用小型シリンジポンプ)(図1)を用いて、持続的に皮下組織にインスリンを投与する治療法です。
 主に1型糖尿病など、インスリン分泌能が著しく低下した糖尿病患者の治療に用いられます。

図1 インスリンポンプの例①注入量をプログラミングして使用する機種

●各種インスリン注入量のプログラミング機能が付加されている装置。食前に「現在の血糖値」「摂取する糖質量」をポンプに入力すると、「残存インスリン」を考慮して“推奨ボーラス量”を自動計算する機能があり、スマートポンプとも呼ばれる

ミニメドTM780G インスリンポンプ

ミニメドTM780G インスリンポンプ(画像提供:日本メドトロニック株式会社)

トップ シリンジポンプ TOP- 8200

トップ シリンジポンプ TOP- 8200(画像提供:株式会社トップ)

CSIIの普及とSAP療法の開始

 インスリン分泌が枯渇または著しく低下した糖尿病患者には、健常人のインスリン分泌パターンを再現するために、「速効型」あるいは「超速効型」のインスリンと「持効型」のインスリンを組み合わせた頻回注射法で血糖コントロールをします。しかし、低血糖や高血糖を繰り返す不安定型糖尿病は少なくありません1

 1978年、Dr.Pickupらがポータブルインスリンポンプで持続的に皮下組織にインスリンを注入することで安定した血糖コントロールができると報告し2、ポンプの開発が進み、CSIIの普及が始まりました。

 日本では2015年、リアルタイムでグルコース値の変動を視認できる「パーソナルCGM(持続血糖モニター)」機能を搭載した新型ポンプ(図2)が登場し、「5分ごとの皮下間質ブドウ糖濃度を表示するCGM」と「CSII」を併用する、SAP療法(sensoraugmented pump)が始まりました。

図2 インスリンポンプの例②血糖変動をリアルタイムに把握でき、インスリン投与量を調節できる機種
ミニメド 620G システム(画像提供:日本メドトロニック株式会社)※2018年に終売

ミニメド 620G システム

CSIIの特徴とメリット

 CSIIは、基礎分を持続的に注入(ベーサル)しながら、各食前に追加注入(ボーラス)ができるため(図3)、生理的なインスリン分泌に近い治療が可能です。
 特に、「持効型」では再現できない夜間のインスリン分泌パターンをプログラムすることにより、暁現象(眠前のインスリン不足による血糖値上昇)も抑制しやすく、夜間から午前中の血糖値を安定させることができます。

図3 ポンプによるインスリン注入のイメージ

ポンプによるインスリン注入のイメージ
(日本メドトロニック株式会社資料より引用、一部改変)

 追加注入についても簡単なボタン操作だけで、ペン型注射に比較すると簡易です。また食事ごとの炭水化物量に応じた追加注入量の設定が可能なため、食事内容・生活パターン・体調の変化があっても、ポンプの機能をうまく利用することでそれらに対応することができます。

 最新のデバイスでは、CGMで得られたグルコース値に連動してインスリンの注入量を自動的に調整するオードモード(AID:Automated Insulin Delivery)機能を備えた「ミニメド 780G システム」(日本メドトロニック株式会社)が販売され、AID療法(自動インスリン注入療法)が始まり、1型糖尿病治療に進化をもたらしています。

 頻回注射法よりライフスタイルに余裕をもつことができ、旅行、交替制勤務、運動量が日々異なる場合などでも、血糖コントロールとQOLの高い生活との両立がしやすくなると期待されています。

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