心不全と急性冠症候群(ACS)の観察ポイントや、症状、初期対応を解説。呼吸困難を起こすキラーディジーズとして、注意が必要です。

●心不全の症状とは?
●心不全のメカニズム、特徴的な所見は?
●心不全での初期対応
●急性冠症候群(ACS)の症状とは?
●急性冠症候群のメカニズム、特徴的な所見は?
●急性冠症候群での初期対応

「見逃せない救急症候」の記事一覧

心不全の症状・観察ポイント

●右心不全・左心不全で症状が異なる(表1-①②)1
●低心拍出による症状も起きる(表1-③)1

表1 心不全の症状・観察ポイント

①左心不全
症状
●呼吸困難/夜間発作性呼吸困難
●労作時息切れ
●起坐呼吸
●咳嗽
●喘鳴
●動悸

所見
●断続性副雑音(coarse crackles、水泡音)
●血痰、ピンク色の泡沫状痰
●酸素化の悪化
●Ⅲ音・Ⅳ音の聴取

②右心不全
症状
●腹部膨満感
●食欲低下
●心窩部不快感
●悪心・嘔吐
●便秘

所見
●肝腫大(肝うっ血)
●頸静脈怒張
●体重増加
●全身浮腫
●胸水・腹水

③低心拍出
症状
●倦怠感
●意識障害

所見
●末梢循環不全(四肢の冷感、チアノーゼ)
●低血圧
●身の置きどころがない様子

(文献1を参考に作成)

心不全のメカニズム、特徴的な所見は?

労作時の息切れと喘鳴

 心不全は、さまざまな基礎疾患が原因となりポンプ機能が低下することで起こります。心臓のポンプ機能の代償機転が破綻し、心拍出量低下や末梢循環不全、肺・体静脈系のうっ血をきたし、全身の循環障害をきたす病態です。

 労作時の息切れや喘鳴を伴う呼吸困難は心不全に特徴的です。左心系のポンプ機能の低下により肺がうっ血し、肺水腫となって起こります。その他、臥位となって数時間後に呼吸困難となる夜間発作性呼吸困難や起坐呼吸を認めます。聴診では水泡音を聴取し、ピンク色の泡沫状痰の場合、心不全を考えます。

 左心不全と右心不全によって症状が異なりますが、左心不全に右心不全を合併していることが多いため、問診や身体所見の観察を行い、症状を把握します。また、左心系のポンプ機能が低下すると、全身への心拍出量も低下し低心拍出症状を認めます(表1-③)。

心不全の既往がある場合、悪化の原因・誘因を探る

 心不全の既往があり徐々に増悪した場合は、塩分や水分の過剰摂取、過度な労作の有無を確認します。そのほか、感染、手術、妊娠、基礎疾患(肝疾患、腎疾患、不整脈など)が誘因となります。
 また、心筋梗塞や肺塞栓では、発症と同時に心不全となる場合があり、発症様式も重要な情報となります。

心臓の状態の確認とともに、虚血性心疾患の有無も検索する

 心不全が考えられたら、胸部X線検査や心臓超音波検査の準備を行います。また、心不全は虚血性心疾患が原因で発症している可能性もあるため、12誘導心電図検査や採血でトロポニン、CK(クレアチンキナーゼ)、CK-MBの検査を行います。
 また、心不全の確定診断に用いられる血液検査項目として、ナトリウム利尿ペプチドの採血も行います。

心不全での初期対応

心臓の状態の確認とともに、虚血性心疾患の有無も検索する

この記事は会員限定記事です。