患者さんの体験・心理についての「研究」を原著者に紹介してもらい、臨床で活用したいこころのケアを探ります。
【第32回】小児がんの患者さん[後編]研究結果からみる実践したいケア
小児がん患者さんはどのように病気に適応している?

病気体験を必ずしもつらいものと捉えていない
子どもの生活環境には、将来のネガティブな、あるいは望ましくない転機をもたらす確率を高める多くのリスクが存在します。
このリスクとは、以下のように多岐に渡ります。
●家庭内・外環境:虐待や貧困、いじめや不登校
●個人内要因:エリクソンの発達段階における発達課題*1(例えば、基本的信頼vs.不信)など
●ライフイベント:受験・学業生活や就職など
●ネガティブイベント:予期できない事故、災害など
*1【エリクソンの発達段階における発達課題】自我の発達段階についての理論。人生を8段階に区分して、「乗り越えるべき課題(発達課題)」と「危機(社会心理的危機)」が設定されている。
これらのリスクに対して、同じようなネガティブな体験をしても、うまく適応するプロセスを「レジリエンス」と呼びます。
小児がんの子どもたちは、病気体験のなかでさまざまなつらい体験を強いられますが、病気という逆境のなかで、レジリエンスを発展させていることがわかってきています。
今回、小児がん患者さんの病気体験におけるレジリエンスの構造を明らかにすることを目的とし、レジリエンス発展のための看護介入を検討するため、研究に取り組みました。
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